甘酒ヨーグルトでダブル発酵の健康効果!ただ混ぜるだけでOK

甘酒ヨーグルトと言うものに人気が集まっているようです。甘酒も発酵食品ですし、ヨーグルトも発酵食品です。一方、培地になるものが牛乳と米と言う、動物性と植物性のものですから、栄養素的に相互補完の関係も期待できます。

発酵を行う菌もヨーグルトに使われる乳酸菌と、米麹に使われるコウジカビと言う、生物分類の最も上位で異なっている2つですので、互いに持っていないものを補いあえる関係と言えるでしょう。

それに第一、混ぜるとおいしいですしね。

甘酒ヨーグルトは健康に良い

甘酒もヨーグルトも、健康的な飲食物であることは疑いようもありません。探せば異なる菌の相乗効果に関する論文があるかもしれませんが、そこまで掘り下げなくてもいいでしょう。

発酵食品の歴史的な食経験から、乳酸菌・酵母とコウジカビの組み合わせが悪くないことはよく知られているのです。安心して組み合わせを楽しんで下さい。

飲む点滴と呼ばれるのは主に麹甘酒

甘酒は米で作った粥に米麹を加えて、60℃くらいに保温した上で12時間ぐらい発酵させたものです。麹が持っている酵素によって、米のでんぷんが分解され、ブドウ糖に変化することで甘みが生まれます。

この時に、麹由来のビタミンB群やオリゴ糖、アミノ酸なども甘酒の中に入りますので、栄養価が期待できるのです。

この麹による甘酒は「飲む点滴」などと言う呼び名もありますが、ここでちょっと注意してほしいことがあります。実は「飲む点滴」と言うのは誉め言葉でなないのです。

成分が、ブドウ糖溶液を中心にビタミンB群などを配合したことが点滴に似ていると言うだけの意味です。点滴は口から栄養が摂れない時に、緊急避難的に血管に直接栄養を流し込むものです。

点滴より、普段の食事から色々な物を摂った方が健康に役立つことは言うまでもありませんね。ですから、飲む点滴に頼るのではなく、きちんとした食事をすることの方が大切なのです。

もちろん嗜好品として口にするなら、清涼飲料水より健康的であることは言うまでもありません。もともと江戸時代には夏バテ防止の飲料として売られていたぐらいですからね。

酒粕甘酒も栄養価が高く味もよい

一方、酒粕をお湯に溶いて作る「酒粕甘酒」と言う物もあります。酒粕をお湯に溶いた上で、砂糖で甘みを付けたものです。酒粕には日本酒の半分くらいアルコールが残っているので、お湯の量によってはアルコール分が感じられますので、そこは注意しましょう。

酒粕は日本酒醸造の最終段階で、液体成分である酒を絞った残りの固形成分です。ですので、栄養価的には酒そのものよりたくさん含まれていると考えて差し支えありません。

糖化され残った米の成分や、アルコールになった残りのブドウ糖、アルコールそのものはもちろん、麹や酵母の菌体成分であるビタミンやアミノ酸などが酒粕を構成しています。

ですから、酒粕から作った甘酒も、決して麹甘酒に後れを取ることはありません。問題はアルコール分だけですね。大人ならこちらの方が好きと言う人も多いでしょうが、子供に飲ませる場合は、充分煮切るなどの工夫が必要です。

また、みりんを作った粕である「こぼれ梅」から作る甘酒もおいしいですね。普通の酒粕より入手が難しいのが玉に瑕です。

初詣の神社などで振舞われる甘酒は、どちらかと言うと酒粕甘酒が多いように思いますが、麹甘酒がないわけでもないようです。

ヨーグルトの栄養は牛乳の持つものがそのまま含まれている

例えば、甘酒にはほとんど脂質が含まれていません。トータルで見ればミネラル分より少ないくらいです。それに対して、ヨーグルトには原料の牛乳由来の乳脂肪がそのまま含まれています。

ビタミンもミネラルも、圧倒的にヨーグルトの方に多く含まれます。一方で、すぐにエネルギーになる糖質は甘酒の方が数倍多く含まれています。つまり、甘酒とヨーグルトは、栄養価的に相互補完的な良い組み合わせなのです。

菌についても相互補完的かも

ヨーグルトを作っている菌は、ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種(通称:ブルガリア菌)とストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)と言う2つの乳酸菌です。

これに、様々な機能性乳酸菌、例えばビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属菌)や、ガセリ菌(ラクトバチルス属ガッセリー種)などを添加していることも多いですね。

こうした乳酸菌は、生きて腸まで届けばそこで乳酸を作り出して、腸内細菌のうち悪玉菌が増殖しにくく、善玉菌が増殖しやすい環境を作り出してくれます。

さらに、胃酸で殺菌されてしまった乳酸菌は、腸の中にある免疫器官で免疫を調整する働きを担ってくれることはすっかり有名になりましたね。

真菌類は消化酵素で人間をサポートする

一方、酵母やコウジカビは、様々な栄養素を消化する消化酵素を分泌します。最も大きな働きを持っているのは、コウジカビが出すアミラーゼです。これはでんぷんをブドウ糖に分解します。

このおかげで、清酒酵母が分解できないでんぷんを、ブドウ糖に変えてアルコール発酵できるようにしています。同時に麹甘酒では、お米のでんぷんを甘い味に変えてくれているわけです。

お酒のうまみと言うのもよく話題になりますが、これも酵母やコウジカビが持っているたんぱく質分解酵素によって、酒米に含まれる微量のたんぱく質がアミノ酸になってうま味を出しているのです。

たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて吸収されますから、ここでも消化の助けになってくれているのです。

ひとことでいえば、ヨーグルトと甘酒はベストマッチングという事になりそうですね。

ヨーグルトと甘酒は完成品を混ぜて飲むのがお勧め

時々、ヨーグルトと甘酒の原料を混ぜて、乳酸菌とコウジカビを入れて発酵させないといけないと思っている人がいるようですが、そんなことは全くありません。

シンプルに完成品を混ぜて好みの味にする方がずっといい状態になります。酵母なら乳酸菌との共生発酵は可能ですが、そもそも乳酸菌とコウジカビでは発酵条件が異なりますので、共生発酵はちょっと難しいでしょう。

もともと乳酸菌が増えないように発酵させるのが甘酒

環境中には自然に存在する乳酸菌がたくさんいます。ですから、甘酒を作るべく米で作った粥に麹を入れて発酵を開始すると、自然の乳酸菌が入り込んで乳酸発酵を始めてしまう可能性もあります。

特にラクトバチルス属プランタルム種のような、植物性乳酸菌は米の汁を発酵させることができるうえ、自然によく存在しています。

それが原因で甘酒が酸っぱくなってしまうのを防ぐため、甘酒の仕込みは乳酸菌が死滅するか不活性化する60℃くらいの温度をキープして行います。

逆に乳酸菌に温度を合わせると、麹による発酵に時間がかかりすぎてしまう結果になります。

また、完成した甘酒に乳酸菌を入れて発酵させるという事を考える人もいますが、市販のヨーグルトを種菌にしたのでは、乳成分を持たない甘酒を乳酸発酵させるのは難しいかもしれません。

なお、ある大学で地方創生研究の一環として、米と大豆から豆乳ヨーグルトと甘酒の混合食品を作る研究が行われていますが、ここでは植物性乳酸菌と酵母の濃度をコントロールして、2層に分かれた不思議なヨーグルトを作っています。

さすがにこれは個人の家庭で作れるレベルを超えていますから、面白そうですが、まねをするのは無理でしょう。

効果を期待するなら冷たくするか人肌程度で飲む

このように、ヨーグルトも甘酒も完成された発酵食品ですから、共生発酵などと言う高度なテクニックを考えるより、製品として完成したものを合わせて飲む方が便利で効果的です。

ただし、先にお話ししたように甘酒の通常の温度では、乳酸菌が死滅する恐れがありますので、甘酒ヨーグルトとして飲む場合には、冷たく冷やすか37℃くらいまでの温度にして飲んだ方が効果が高まります。

また、甘酒とヨーグルトの比率は、味を見ながら決めればOKです。自分の好みの味になるようバランスをとって混ぜて下さい。その際に砂糖や甘味料を追加して甘さをコントロールしたり、しょうが汁などでアクセントを付けるのももちろんOKです。

和風ラッシーとして、辛味の強いカレーのお供に飲んでもおいしいですよ。

麹甘酒ヨーグルトであれば、二日酔い対策にも良いでしょう。酒粕甘酒では迎え酒になりかねませんので、避けておいて下さい。

ヨーグルトと甘酒にかかわる菌は根本的に異なる

上でも少し触れましたが、ヨーグルトはほとんどが乳酸菌で作られるのに対して、甘酒はコウジカビで作られます。酒粕甘酒の場合、酵母も関係してきますね。

これらの菌に関して、少しだけ解説を追加しておきましょう。

乳酸菌と酵母は切っても切れない関係

ヨーグルトの発酵にかかわるのは乳酸菌と酵母です。もちろん現在では乳酸菌だけによる発酵で、ヨーグルトが作られることの方が圧倒的に多くなっています。

それでも、例えば日本の食品規格を決めている食品衛生法において乳製品の規格の細則を定めた、いわゆる「乳等省令」を見ると、ヨーグルトを含む発酵乳には「乳酸菌または酵母」が一定数含まれていることを規定しています。

このことは、ヨーグルトの原点に近い「ケフィア」を見れば、乳酸菌と酵母の関係が見えてきます。現在、日本では法の定めによって、ヨーグルトなどは完全に密封された容器でしか流通させることができません。

ですから、流通段階でも菌が生きていると、二酸化炭素が発生して容器が破裂する恐れのあるケフィアは流通させることが困難です。そのため、日本においてケフィアは、スターター(種菌)の状態で販売されることが中心になっています。

日本でわりあいメジャーなケフィアスターターを紹介しましょう。

ホームメイドケフィア商品イメージ
(出典:ケフィア・ホームメイドのお勧め|カナダ・ローゼル社日本総代理店 中垣技術士事務所)

このスターターには8種類の菌が配合されています。

  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種 (乳酸球菌)
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種 (乳酸球菌)
  • ラクトコッカス属ラクティス種ジアセチラクティスbv. (乳酸球菌)
  • リューコノストック属メセンテロイデス種クレモリス亜種 (乳酸球菌)
  • ラクトバチルス属プランタルム種 (乳酸桿菌)
  • ラクトバチルス属カゼイ種 (乳酸桿菌)
  • ジゴサッカロマイセス属フロレンティヌス種 (酵母)
  • サッカロマイセス属セレビシエ種 (酵母)

このように中温発酵(室温程度がベスト)が中心になる乳酸球菌、高温発酵(35~45℃くらいがベスト)が中心になる乳酸桿菌、温度帯が広い酵母の3種類が配合されています。

この配合はもちろん、伝統的なケフィアを分析して得られたデータによる配合でしょうが、実際にははるかにたくさんの種類の乳酸菌や酵母が見つかっています。

酵母とコウジカビはどちらも真菌類

もともと「菌」と言う漢字の訓読みは「きのこ」です。また、私たちが習慣的に使う言葉の「バイキン」は、漢字で書くと「黴菌」、つまり「カビ」と「キノコ」という事になります。

しかし、私たちがバイキンと呼ぶときのイメージは、病原性を持つ細菌ですね。英語やドイツ語、ラテン語から日本語に翻訳するときに、全部に「菌」と言う文字を当ててしまったので混乱が生じています。

私たちも時々使う「バクテリア」と言う言葉が、日本語に訳されて「細菌」になります。真正細菌と呼ぶこともあります。いわゆるバイキンのイメージに一番近いのはこれでしょう。もちろん乳酸菌も真正細菌です。

一方、「○○マイセス」と言う名前を持っている微生物は、カビやキノコなどの仲間です。マイセスはもともとキノコと言う意味なので、日本語で菌と言う文字を当てるのは正しいですね。

しかし、細菌の存在感が大きくなってしまったので、本来の菌と言う意味で、こちらのことを真菌と呼ぶことが一般的です。

アルコール醸造にかかわる、もっとも有名な酵母であるサッカロマイセス・セレビシエもこのひとつですし、その前段階で働くコウジカビも同じ真菌仲間です。

真正細菌と真菌類はよく似たものだと考えられがちですが、細胞の構造が全く異なるため、生物として異なるものであるという扱いを受けています。真菌類は人間と同じグループですが、真正細菌はすべてが単細胞生物です。

真菌が本来の菌なら、細菌に真正細菌とつけるのはどうかって感じがしますが、これは「アーキア」と言うグループが「古細菌」と訳されるのに対応した表現なんですよ。

難しいことを考えずに一緒に摂ればOK

健康への効果と言う意味では、ヨーグルトと甘酒の器を並べて一緒に摂ればそれで問題ありません。しかし、それではあまりに味気ないので、混ぜて一つのメニューにしようというのが甘酒ヨーグルトです。

ですから、あまり難しいことは考えずに、好みの味になるよう、甘酒を冷ましてから適当に混ぜてやればいいのです。おいしさ最優先で行きましょう。
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