【乳酸菌】ビフィズス菌とヤクルト菌の抗アレルギー効果に期待大!

世の中にアレルギーに悩む人は多いですね。アレルギーの改善ということになると、対症療法的なものはもちろんですが、漠然と「体質改善で根本的に治るんじゃないか」と期待している人も多いでしょう。

体質改善と言えば乳酸菌を利用できないかと考える人も結構いるんじゃないかと思います。実際のところ、乳酸菌を摂ってアレルギーを改善することって可能なのでしょうか。

乳酸菌は免疫に影響を与えるから期待は持てるかも

これまでにも他の記事でお話してきたとおり、乳酸菌の働きによって免疫機能を改善できる可能性は示されています。アレルギーも免疫機能に関わることですので、もしかすると改善できるかも知れません。

そう考えて研究をしている例もたくさん見受けられますし、その研究成果を持って商品化に取り組んでいる例もあるのです。ただ、消費者の私たちがメーカーの情報に気づいていないだけということもあるでしょう。

超メジャーなアレルギーと超メジャーなヨーグルト

何にでも「超」を付けるのは一昔前の女子高生みたいでどうかと思うのですが、実際「超」を漬けたくなるぐらいメジャーな症状と商品の組み合わせです。

まずアレルギーと言えば最初に思い浮かぶのがスギ花粉症です。「アレルギーと言えば?」と言うアンケートで統計を取ったら、絶対に上位に食い込んでくるでしょう。

一方、「ヨーグルトと言えば?」と言うアンケートでは、最近の商品ラインナップの豊富さからある程度分散するでしょうが、「森永ビヒダスヨーグルト」と「明治ブルガリアヨーグルト」は双璧じゃないでしょうか。

このビフィズス菌をメジャーな乳酸菌にした、森永ビヒダスプレーンヨーグルトBB536には、スギ花粉症の緩和に役立つビフィドバクテリウム属ロンガム種ロンガム亜種BB536株(ビフィズス菌BB536)が100g中20億個以上含まれています。

森永乳業食品基盤研究所の岩淵紀介氏らの研究によると、ビフィズス菌BB536は、複数のメカニズムを通じて花粉のシーズンも、そうでないシーズンにおいてもスギ花粉症を軽減できたと報告しています。

私たちの身体の中にはT細胞という免疫細胞が働きの性質ごとに何種類かありますが、そのうちのヘルパーT細胞と言う物には1型(Th1)と2型(Th2)と言う2つのタイプが存在します。Th1は感染防御や白血球による免疫を担当しています。

一方、Th2は炎症を起こすことで感染性の異物を排除します。このTh1とTh2について、Th2が優位になるとアレルギー症状が強く現れます。ビフィズス菌BB536はTh2が増えることを抑制してアレルギーによる症状を軽減します。

また、ビフィズス菌BB536は整腸作用によって間接的に免疫を調整したり、菌体成分自体にも免疫調整作用があることが見出されました。つまり、死んだビフィズス菌BB536にもアレルギー緩和作用が見つかったのです。

(参照:ビフィズス菌による抗アレルギー作用|>森永乳業株式会社 食品基盤研究所 岩淵紀介氏ほか)

森永乳業がビフィズス菌の第一人者かどうかは判りませんが、少なくとも1977年にビヒダスを発売して40年、多くの研究の成果を上げてきたのは間違いないでしょう。

また、日本で最初に食料品としてのヨーグルトを発売したのは、いまでもヨーグルトメーカーとしておなじみで、現在は伊藤園の子会社であるチチヤス乳業です。

しかし、三大乳業の中で戦前からヨーグルトを発売していたのは森永だけです。あの盧溝橋事件の起こった月に新発売したの言うのですから歴史を感じますね。

そのようなことから、この記事だけに限らず、ビフィズス菌の話題になると、どうしても森永乳業の情報が多くなるかと思います。

そう言えば、森永製菓からビフィズス菌BB536を配合した、全粒粉ピスケット入りのクランチチョコが発売されていますね。

ビフィズス菌は様々な方面からアレルギーを抑制する

上で紹介したビフィズス菌BB536は、Th1/Th2のバランスを、Th2を抑制することでTh1側に傾け、アレルギーの症状を抑えていますが、他にも幾つかのメカニズムやそれに関与する菌株が知られています。

これと同じ働きは、ビフィドバクテリウム属ブレーベ種M-16V株(ビフィズス菌M-16V)やビフィドバクテリウム属ビフィドゥム種G9-1株(ビフィズス菌G9-1)でも見出されています。

どちらもヨーグルトなどには使われていませんが、ビフィズス菌M-16Vは乳児のアレルギー治療用に粉薬にしたものが使われています。

そして、ビフィズス菌G9-1は、あの有名な整腸剤である新ビオフェルミンSの構成成分の一つになっています。新ビオフェルミンSに抗アレルギー作用は謳われていませんが、もしかすると可能性があるかも知れませんね。

また、アレルギー性喘息や食物アレルギーによる炎症や抗体値の上昇に対して、ビフィドバクテリウム属ラクティス種Bb-12株や、ビフィドバクテリウム属ロンガム種AH-1206株が抑制的に働いたという報告もあります。

このことは、こうしたビフィズス菌がアレルギーだけでなく、自己免疫疾患や炎症性腸疾患などの難病の改善にも役立つ可能性を示してくれています。

腸内環境が整えられると花粉症が軽快する

さらに、私たちが最もありそうだと感じる「腸内環境の整備」によってアレルギーを改善してくれる可能性も見つかっています。

スギ花粉症の人の腸内微生物層の構成では、バクテロイデス属の基準種であるフラジリス種と、インテスティナリス種というものが花粉症の発症や悪化に関係していると考えられています。

花粉症の人の便を調べたところ、ビフィズス菌の整腸作用によってこれらの菌が増加しなくなっていることが見つかりました。つまり、腸内環境が整ったことでアレルギーに関与する悪玉菌を押さえ込めたということですね。

もちろん、この現象についてはビフィズス菌だけでなく、ほかの乳酸菌によって腸内環境が整えられることでも、同じように改善が見られる可能性は充分にあります。

生きて腸まで届かなくてもビフィズス菌はアレルギーを抑える

皮肉なことに、ビフィズス菌BB536は生きて腸まで届くことを売りにしていますが、このBB536を超音波で破砕して殺し、その細胞壁の成分を動物実験に用いたところ、炎症に関わる免疫グロブリンが抑制されました。

また、DNA成分を取り出して投与したところ、やはり炎症性のサイトカインなどを減らしたというデータが得られています。

つまり、生きて腸までたどり着けなかったビフィズス菌も、しっかりアレルギー抑制には役立っていたということです。

こうして見ると、ビフィズス菌には強い抗アレルギー性が見られるようですね。ではほかの乳酸菌はどうなのでしょう。

もう一つの超メジャー乳酸菌や新発見の乳酸菌にも抑制効果

またしても超メジャー乳酸菌です。でもラクトバチルス属カゼイ種YIT9029株(通称:乳酸菌シロタ株、あるいはヤクルト菌)なら「超メジャー」の名に恥じない乳酸菌だと思います。このヤクルト菌にもアレルギー抑制作用が見つかっています。

一方で、1990年に信州のクランベリーから見つかり、その効果についての研究発表が行われたのが2016年という、最新のアレルギー抑制乳酸菌と言うのもあるんです。

ヤクルト菌は早くからアレルギー改善効果に注目されていた

ヤクルト本社の中央研究所は1995年頃からヤクルト菌によってアレルギー性疾患を改善できる可能性について研究していたということです。

同研究所の志田寛氏によると、ヤクルト菌は体内のマクロファージに働きかけて、情報伝達物質の一つであるインターロイキンのIL-12の産生を強く促すということです。

このIL-12は、まだ抗原になる物質に遭遇したことのないナイーブCD4T細胞をTh1と言う、抑制型のT細胞へと成熟させる働きがあります。

その結果、Th2と言う炎症によって免疫効果を表すT細胞と抑制型のTh1細胞のバランスが改善され、IgEと言う抗体の働きが弱められることでアレルギー症状が抑えられるのです。

ヤクルト菌は、マクロファージに食べられてしまうのですが、ヤクルト菌の細胞壁は非常に消化されにくく、その結果マクロファージを強く刺激してIL-12の産生を促しているものと考えられています。

(参照:Lactobacillus casei YIT 9029(乳酸菌シロタ株)のアレルギー抑制効果:作用機序と臨床応用への可能性|株式会社ヤクルト本社 中央研究所・志田寛氏)

この、菌体を構成している物質によって、体内でTh1の産生を増やし、Th1/Th2バランスを改善してアレルギー症状を抑えるという働きは、先に紹介したビフィズス菌BB536と同じメカニズムです。

また、その他のメカニズムについても研究途上であるようですが、他の物質などとの組み合わせによってアレルギーを改善する可能性も示唆されています。今後の研究が楽しみですね。

クランベリーから見つかった乳酸菌にもアレルギー抑制効果

1990年、東京農業大学岡田早苗教授によって信州のクランベリーから採取された、ラクトコッカス属(乳酸球菌属)ラクティス種T-21株(通称:リフレクト乳酸菌T-21)は、日清食品の研究所で分析され、アレルギー症状を緩和する効果が認められました。

日清食品のニュースリリースによると、リフレクト乳酸菌T-21は、やはりTh1/Th2バランスを改善させることでアレルギー症状の緩和に効果を持っているということです。

しかもそれだけではなく、通年性鼻炎で3週間、花粉症で4週間の服用で効果が見られるという、比較的短期間で効き目を発揮することが確認されています。

これはマスト細胞から分泌されるインターロイキンのIL-5によって活性化される、好酸球の増殖を抑える働きに関係する可能性があります。

(参照:新発見の「T-21乳酸菌(特許出願中)」の摂取により花粉症・通年性鼻炎の症状が緩和されることをヒト試験で実証|日清食品ホールディングス株式会社・2016.3.16ニュースリリース)

この乳酸菌については、2017年1月に日清食品からサプリとして販売されていて、ヨーグルトや乳酸菌飲料などにはなっていないようです。

ヤクルト菌は乳酸桿菌、T-21は乳酸球菌と、代表的な乳酸菌にもアレルギー抑制効果があるようですね。

アトピー性皮膚炎に効果が期待される乳酸菌もある

アトピー性皮膚炎もアレルギーの基本的な部分ではTh1/Th2バランスなど、他のアレルギーと共通する要素も多いのですが、様々な研究の中では、アトピー性皮膚炎に特に効果が期待できる乳酸菌についての物が見受けられます。

やはり有名な乳酸菌飲料メーカーから発表されている研究について、2つ見てみましょう。

妊娠中の女性が摂ることで赤ちゃんをアトピーから守る乳酸菌

タカナシ乳業もヨーグルトのメーカーとしてよく知られていますが、フィンランドのバリオ社と提携したLGG乳酸菌と、自社開発のTMC0356菌を配合した「おなかへGG!」と言うヨーグルトを販売しています。

この乳酸菌について、ヨーロッパでの臨床実験を紹介する形でリリースされたタカナシ乳業の情報によると、ラクトバチルス属ラムノーサス種LGG株(LGG乳酸菌)は、アトピー性皮膚炎発症リスクを半分に下げたとあります。

家族や本人にアトピー性皮膚炎の既往がある妊婦さんに、出産予定日の2~4週間前からLGG乳酸菌を摂ってもらって、出産後も6か月間は継続したということです。これは母乳への影響を考えてのことかもしれませんね。

その結果、出産前から出産後6ヶ月の間LGG乳酸菌を摂った人のお子さんでは、乳酸菌を摂らなかった人に比べて、2歳の段階でも、4歳の段階でも、アトピー性皮膚炎の発症率は半分に抑えられていました。

(参照:LGG乳酸菌による子供のアトピー性皮膚炎発症予防作用について|タカナシ乳業|[Kalliomaki et al. (2001) The Lancet 357, 1076-1079])

アトピー性皮膚炎を抑制したメカニズムについての分析はありませんでしたが、統計的に有効性が示された例です。

「おなかへGG!」ヨーグルトは、乳酸菌を関与成分として認可されたトクホの第一号ですが、実は私はスーパーやコンビニで見たことがありません。しかし、楽天市場では購入できるようですので、興味のある人はチェックしてみて下さい。

カルピスの乳酸菌は発症したアトピーを抑える

カルピス(アサヒカルピスウェルネス株式会社)は、ラクトバチルス属アシドフィルス種L-92株(L-92乳酸菌)を配合した乳酸菌飲料やサプリメントを発売しています。

その情報提供サイトによると、やはりL-92乳酸菌も、基本的にはTh1/Th2バランスの改善でアレルギー症状を緩和しているようです。しかし、統計的な研究によると、幼児から成人まで、広い範囲でアトピー性皮膚炎の症状を緩和したというデータがあります。

二人の研究者の先生が、小児でも成人でもそうした効果を確認しているということを学会で発表しています。

注目すべきは、その有効期間の長さです。たいていこうした症状の改善というものは、最初に一定の効果が見られた後横ばいになることが多いのです。しかし、L-92乳酸菌は投与開始から少なくとも24週間は改善し続けたというデータがあります。

(参照:カルピス由来健康情報質・専門家も注目!アレルギーと「L-92乳酸菌」|カルピス)

ほぼ半年に渡って症状の改善が続くというのは良いですね。乳酸菌食品を取り続けるモチベーションにも繋がります。商品としては乳酸菌飲料の「カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」とサプリメントの「アレルケア L-92」がありますね。

乳酸菌飲料はコンビニなどでも見かけたことがあります。

アトピーも深刻な症状に悩まされる人が多いものですから、日常的な乳酸菌の利用で改善できるのなら、試してみる価値はありそうですね。

症状の軽減の基本は共通する

さまざまな乳酸菌利用食品を調べてみると、アレルギーに関して緩和効果を持っているものの大半はTh1/Th2バランスの改善によって症状を抑えていることが判ります。

そして、その効果は菌体成分によることもあれば、乳酸菌の持つ整腸効果に由来することもあります。菌体成分については菌株ごとにさまざまなものがあるでしょうから、特定の乳酸菌にしか有効性が見られないこともあるでしょう。

一方で、整腸効果によって腸管免疫を通じた免疫機能の調整がアレルギーを軽減してくれるのであれば、その部分では多くの乳酸菌にその効果を期待できるといえますね。

普段から乳酸菌利用食品をしっかり摂って、お腹の調子を良くしている人は、それだけでアレルギーを遠ざけていると言えるでしょう。

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