痩せる乳酸菌はどれ?乳酸菌ダイエットで体重コントロール


乳酸菌はヨーグルトなどの発酵食品からだけではなく、カプセルや顆粒など、サプリメントの形で摂ることができるようになっています。こうしたものの多くは、美容効果を謳っていることが多いですね。

手短に言うと「乳酸菌で痩せられる」と言う効果で売っているということです。ではどのような乳酸菌をどう利用すれば、本当に痩せることができるのでしょうか。

すべての人が誰でも痩せられる効果は乳酸菌にはない

どんな人であっても、それを摂れば必ず痩せられる菌というものは、少なくとも乳酸菌には存在しません。あるとすればそれは病原菌です。例えば食中毒菌であれば、誰が食べても必ず痩せられるでしょう。

乳酸菌に期待できるのは「生き物として見た場合、不健康に太っている状態の解消」と言う効果なのです。ここで重要なのは「不健康に太っている」と言う部分で、「美容的に太っている」と言うことではないと言うことに注意して下さい。

乳酸菌の便秘解消効果は痩せることには直接関係しない

乳酸菌で痩せるというと、まず思い浮かぶのが便秘の解消ですね。確かに乳酸菌は便秘状態の腸の状態を改善してくれます。でも、間接的な影響はいざしらず、便秘自体は直接肥満に関わるものではありません。

例えば便秘で腸の状態が悪くなると、基礎代謝が下がるから太るなんて言う意見を見ることがありますが、基礎代謝の85%までが骨格筋・肝臓・脳・心臓・腎臓・体脂肪によって使われるエネルギーです。いずれも便秘には関係しませんね。

もしかすると大腸によって使われる基礎代謝の部分があるかもしれませんが、もともと大腸はエネルギーを血液から得ずに、大腸内部で作られるエネルギーに頼っていますから、あまり肥満とは関係しないでしょう。

ですから、乳酸菌を摂ったことによって得られる直接的な減量効果は「溜まっていた便が排泄される」と言う部分ぐらいしかないと考えて差し支えありません。

乳酸菌の働きによって間接的に肥満を抑制できる

乳酸菌は、腸の中で食物繊維やオリゴ糖などの難消化性炭水化物を栄養として、乳酸などの有機酸を分泌することはよく知られていますね。もちろんブドウ糖や乳糖などの糖質も栄養として利用します。

ただ、大腸の手前にある小腸で、でんぷんや砂糖、乳糖などの消化性糖質は、ブドウ糖などの単糖類に消化され吸収されてしまうため、乳酸菌が棲んでいる大腸にまではあまり回ってこないのです。

さて、この乳酸に代表される有機酸は、腸を刺激して蠕動運動を活発にし便秘を解消してくれますし、大腸の上皮細胞に吸収されて、大腸自身のエネルギーとしても使われます。

東京農工大学大学院の木村郁夫特任准教授によると、これらの有機酸はGたんぱく質共役受容体という細胞膜上のシグナル受容体のうち、GPR41・GPR43などを介してシグナル伝達分子としても働き肥満に影響を与えるとしています。

(参照:創薬応用を目指した脂肪酸受容体の機能解析|東京農工大学大学院農学研究院テニュアトラック特任准教授・木村郁夫博士)

エネルギー消費や中性脂肪吸収に関わる受容体

GPR41は有機酸からのシグナルを受け取ると、交感神経を活性化してエネルギー消費量を増やすと同時に、脂肪細胞への脂肪の蓄積を抑制します。まさにダイエット効果が期待できる副次的な働きですね。

一方、GPR41はβヒドロキシ酪酸からのシグナルを受け取るとエネルギー消費量を減らす事もわかっています。βヒドロキシ酪酸はいわゆるケトン体で、糖質が不足した時にエネルギー物質として、脂質から作り出される物質です。

ですので、糖質制限によって血糖値を下げる糖尿病治療を行っている人は、エネルギー消費の減少に気をつけておく必要があるかも知れませんね。

GPR43も有機酸からのシグナルを受け取ると、GLP-1と言うホルモンの分泌を促進します。GLP-1は消化管ホルモンで、膵臓からのインスリン分泌を促進します。インスリンが働くと血糖値が下がりますから、糖尿病の予防改善に有効です。

さらに、GLP-1はアポリポプロテインB-48と言う補酵素が腸で作り出されるのを阻害して、中性脂肪の吸収を抑制します。ここでも肥満解消に役立つ可能性があります。

基本は乳酸菌で腸内環境を整えること

これらの受容体を動作させる有機酸の多くは、乳酸ではなく酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸です。ですから乳酸菌ではなくプロピオン酸菌や酪酸菌のほうが、ダイエットには役立ちそうに見えます。

しかし、ことはそれほど単純ではありません。プロピオン酸菌や酪酸菌の中には乳酸を利用するものもありますし、乳酸菌が優勢になることによってプロピオン酸菌や酪酸菌が、いわゆる悪玉菌によって排除される可能性が低くなるという面もあります。

ですので、マイナーな存在であるプロピオン酸菌サプリなどを探して服用するのも悪くありませんが、同時に乳酸菌食品で腸内環境を整えることを忘れてはいけません。

乳酸菌で痩せるというのは、意外に複雑なのですね。でも、たとえ間接的にであれダイエットに効果があるのは間違いなさそうですよ。

どの程度の肥満が解消するのかは個人差がある

ヨーグルトをはじめとする乳酸菌に関わる食品に、どの程度のダイエット効果があるかは一概に言えません。乳酸菌食品は「やせ薬」ではないのです。

乳酸菌を医薬品化したものはありますが、それらは目的が違います。多くの場合、抗生物質を使用したことによって、腸内細菌叢の乱れが生じる・生じた時に、それを補正するのが目的です。

エンテロノンRやビオフェルミンRのような商品名で、抗生物質と一緒に処方されることが多いですね。最後についているRは「耐性」乳酸菌であることを示すResistantの頭文字で、抗生物質に強い乳酸菌と言う意味です。

痩せるのではなく健康になると考えるべき

先にお話したように、Gたんぱく質共役受容体GRP41は、食物繊維や難消化性でんぷん、オリゴ糖などを含む炭水化物が大腸に送り込まれてきた時、乳酸菌などによってそれが代謝され出て来る有機酸に反応します。

つまり、栄養が足りている時には、糖質と同時に食物繊維なども摂れるのが自然ですから、乳酸菌などの善玉菌が腸の中で優勢であれば、炭水化物を摂るとエネルギーを消費し、中性脂肪の吸収を抑えて、体重を減らす方向に向かいます。

しかし、たんぱく質は摂れていても、野菜不足で脂質・糖質が多い食事をしていると、乳酸菌など善玉菌が有機酸を作り出す原料になる食物繊維が不足して、分泌される有機酸の量も少なくなります。

また、善玉菌自身も餌が足りずに飢え死にして、絶対数が減ってしまうということにもなりますね。さらに、有機酸が減るとpHが上昇して、悪玉菌にとって繁殖しやすい環境が整います。

そうなると、ますます腸内細菌から乳酸菌などの善玉菌の割合が減ってしまうことになるのです。もちろん悪玉菌が増えることで、下痢や便秘、さまざまな体調不良が現れる、不健康な状態にもなりますね。

そうしたことを総合的に見ると、食物繊維などの難消化性炭水化物の摂取量が足りない生活をしていると、お腹の中で有機酸を作ってくれる善玉菌がどんどん減ってしまうということになります。その結果、エネルギー消費が減り、中性脂肪の吸収が増え、太るのです。

そうした状態に陥って肥満している人が、乳酸菌食品を摂り、食物繊維などを積極的に食べることで腸の健康を取り戻すと、エネルギー消費が復活し、中性脂肪の吸収が減り、健康な状態にまで痩せることができます。

身体はなかなか騙されない

そうなってくると「食物繊維だけを食べて、糖質を抑えれば痩せられる」と考えたくなります。糖質だけではなく、カロリー全体を抑えて、食物繊維だけを一所懸命食べればいいと思うかもしれませんね。

ところが人間の身体というのは、そう簡単に騙されてくれません。動物としての人間にとって、優先して対策すべきことは、肥満ではなくて飢餓なのです。

日本を含めた一部の国では、生物のしての人間が飢餓の対策をしなくて良くなっていますが、それでもその歴史は極めて浅いものです。悲しいことに、まだまだ飢餓と言うのは地球上からなくなっていません。

つまり、人間の身体には飢餓によって痩せてしまうことに対する備えのほうが、過食による肥満の対策より重要なものとして位置付けられているのです。

先にも少し触れましたが、エネルギー源として充分な炭水化物が摂れなかったら、人間の身体は脂肪から遊離した脂肪酸をエネルギーとして使います。よく、有酸素運動は20分以上しないと効果がないと言いますが、それはこのことを指しています。

筋肉や肝臓に蓄えられた糖質であるグリコーゲンが減ってくると、脂肪からエネルギーを得ますが、この際に遊離脂肪酸をケトン体に変えてエネルギー源にするのです。糖質制限で痩せるという話でも、このメカニズムを重視しています。

しかし、ケトン体がGRP41に働くと、有機酸とは逆の働きを引き起こすことは先に説明した通りです。もちろん総カロリーも連動して減りますし、ケトン体として脂肪を使いますから、糖質制限によって体重は減ります。

でも、その効率は決して高いものではなく、身体はできるだけエネルギーを使わず、食べ物として摂れたものは可能な限り中性脂肪として溜め込もうとするのです。

糖質制限食は治療用なのでダイエットには向かないかも

このように、身体が善玉菌の働きでエネルギー消費をコントロールしようとしているのに対して、単に体重を減らしたいと言うだけで糖質制限をすることは、あまり効果がない可能性があります。

むしろ、エネルギー消費を抑える体質に変わってしまうかもしれませんね。糖質制限は糖尿病や一部の末期がん、てんかんなどの治療には有効な食事療法ですから、あくまで病気の治療用と考えるのがベストだと思います。

ダイエットには乳酸菌食品と水溶性食物繊維・不溶性食物繊維と糖質を合わせた炭水化物を摂り、脂質やたんぱく質もバランスよく食べるようにするのが良いですね。総カロリーについては、念のため注意はしておきましょう。

体重はどの程度落とせるのか

これは特に研究データが有るわけではなく、さまざまな情報からの推定ですが、肥満レベルにある人が、普通体重の後半ぐらいまでは減らせるのではないかと思われます。

つまりBMIで言うと25.0kg/m2以上の人が、25.0kg/m2未満で、標準体重に相当する22.0kg/m2の間くらいまでは減る可能性はあるでしょう。実際にはもう少し太めかもしれません。

ですので、「細ければいい」と言った、昭和の感覚のようなダイエットを目指す人には、あまり向かないのではないかと思います。

最近では普通体重が18.5kg/m2~24.9kg/m2の範囲であるのにもかかわらず、20.0kg/m2とか標準体重とかを下限にとって、上限を27.0kg/m2くらいまで引き上げたほうがいいという意見もあるようです。

これは、40歳の段階でのBMIと余命の関係を調べた調査で、普通体重より肥満度1の人のほうが、僅かに長生きだったと言うデータが発表されたことなどにも影響を受けているのでしょう。

実際のところ、人間の身体も、私たちが美容的な感覚で「普通」と考えているより、少し太めの方が標準であるとしているようにも感じられることが多々あります。

ですから、身体が健康になって痩せるという現象についても、おそらく「誰が見ても明らかに肥満」の人が「ややふくよか」な程度になる、と言った程度の効果だろうと想像できます。

つまり女性の場合、乳酸菌で「肉感的美女」にはなれますが、「柳腰美人」になるのはちょっと厳しいかもと言うことですね。

具体的に痩せる菌を摂れる物はあるのか

どの乳酸菌であっても、食品に含まれるものであれば腸内環境を改善してくれますから、多かれ少なかれ効果は期待できます。しかし、ここを読んでいただいている方は、もう少し具体性が欲しいと感じておられるでしょう。

そこで、いくつかの商品を紹介します。いずれも「必ず痩せる」と言うものではありませんが、上でお話してきたことに基づく情報ですので、ある程度は期待できるものです。実は乳酸菌以外の菌を併用したものもあります。

抗メタボリックシンドローム作用を持つ乳酸菌

森永乳業が2008年に抗メタボリックシンドローム作用を発見したのが、ビフィドバクテリウム属ブレーベ種B-3株(通称:ビフィズス菌B-3)です。

動物実感から臨床試験に至るまで様々な研究によって、ビフィズス菌B-3にはメタボリックシンドロームを予防改善する効果があることが示されています。

一部の研究では「抗肥満作用」とありますから、皮下脂肪型肥満に対しても効果が見られるのかもしれませんが、多くの論文はメタボリックシンドローム、つまり内臓脂肪による肥満に伴う病気を改善する効果を示しています。

いずれにせよ、このビフィズス菌もやせ薬ではなく、病的な肥満を改善する効果を持っていると言うことです。具体的な商品としては、森永乳業から「森永ビースリー」と言う商品名で発売されています。

特定保健用食品や機能性表示食品ではない、一般の健康食品ですから、「痩せると言う効果」については一切触れられていません。

チーズの王様で痩せる可能性

チーズに乳酸菌が残っているのかと言う疑問を持たれる方もおいででしょう。実際、プロセスチーズに乳酸菌は残っていませんし、熟成が長すぎたナチュラルチーズでも減っていることが多いです。

一方で、製造後1週間くらいのナチュラルチーズの場合、ヨーグルトの成分規格の下限の10倍程度は残っていますし、ある程度熟成が完了したものでも、ヨーグルトの成分規格の下限程度は残っています。

さらに熟成後2.5か月ぐらいになると、さらにその1/100~1/10くらいまで減ってしまいます。ですので、味ではなく菌の効果を求めるなら「新鮮なナチュラルチーズ」がお勧めです。

さて、そのチーズの中でお勧めなのが、「チーズの王様」ことエメンタールチーズです。エメンタールチーズは乳酸菌発酵のあとレンネットという凝集酵素を加え、さらにプロピオン酸菌を加えてホエー(乳清)を絞りとってから、固形部分を熟成させて作ります。

その際にプロピオン酸発酵によって二酸化炭素が発生し、チーズアイと呼ばれるポコポコした穴が開きます。

乳酸菌はお腹の中で乳酸を作りますが、プロピオン酸菌はその乳酸を食べてプロピオン酸を分泌します。そして、プロピオン酸は上でお話した通りGRP41や43に働きかけてダイエットに役立つのです。

エメンタールというとチーズフォンデュが美味しいのですが、加熱してしまうと菌が死んでしまうので、ダイエットが目的の場合は冷たいまま食べて下さい。

プロピオン酸菌配合のヨーグルトもある

プロピルと言う商品名のヨーグルトがあり、これにはプロピオン酸が配合されていますので、同じような効果が期待できます。

メーカーではなく、東京にある販売会社が通販で売っています。フリーズドライの粉末で販売されていますので、水に溶かしてやや高めの室温で発酵させることで、乳酸菌・プロピオン酸菌が増えるようになっています。

販売元のサイトでも宣伝していますが、プロピオン酸菌はビフィズス菌や乳酸菌とも相性が良いので、相乗効果が期待できるでしょう。

プロピオン酸菌はまだまだマイナーですが、今後伸ばしてくる要素はあると思います。プロピオン酸も酢酸や酪酸と同じ短鎖脂肪酸ですので、実は全く珍しいものではないんですよね。

内臓脂肪や血中中性脂肪とダイエットの関係性は不明

例えば雪印メグミルクの「ガセリ菌SP株」(ラクトバチルス属・ガッセリー種・SBT2055株)には、内臓脂肪を減らすという効果で機能性表示食品としての届け出を行っています。

ですので、その効果には科学的な裏付けがあると言えるでしょう。でも「内臓脂肪が減る」=「体重が減る」とは言い切れないことに注意して下さい。皮下脂肪が増えるかどうかは判っていません。

とは言え、内臓脂肪が皮下脂肪に移動するだけであっても、健康には非常に良い影響がありますから、摂りたい乳酸菌ですね。

また、「血中中性脂肪の値を正常化する」と言う乳酸菌もあります。これも、健康には役立ちますが、体重が減るかどうかは未知数です。

実際、乳酸菌の働きの中には「脂肪細胞に含まれる脂肪の分解を抑制して、血中中性脂肪の上昇を抑える」と言うものも存在するのです。

まずは健康であることが最も重要

このように、乳酸菌でダイエットできるかどうかという点については、「できる」と断言してもいいと思いますが、その内容は人によって期待したものと全く異なるかもしれません。

乳酸菌によって得られるのは「健康的な体重まで減らすことができる」というものであって、「見た目に細くなれるものではない」と言うことなのです。

そして、乳酸菌ダイエットでは思うほど体重が減らないかもしれませんが、「見た目だけ細い隠れ肥満」にはなりにくいでしょう。

ヨーグルトには、ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種(ブルガリア菌)とストレブトコッカス属サーモフィラス種(サーモフィラス菌)の2つの乳酸菌が使われています。

日本では必須の条件ではありませんが、国際的にはこの菌が両方とも入っていないとヨーグルトとは認められません。ですので、日本のヨーグルトにもほぼ確実に入っているでしょう。

腸内環境を整えてくれるヨーグルトの基本性能は、この2つの菌によってもたらされます。

ですので、この記事を読まれたら、何でもいいのでまずはヨーグルトを買ってきて食べて下さい。それが健康という足場に立ったダイエットの始まりになります。

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