歯周病予防の決定版!ジンジバリス菌を除去するLS1乳酸菌の効果
ジンジバリス菌という歯周病菌が最近注目を集めているようです。乳酸菌の話題をお届けしているこのサイトですから、ジンジバリス菌は、一見関係なさそうに見えますよね。
実は抗生物質にすら耐えることができる、このタフな歯周病菌を乳酸菌がやっつけてくれる可能性があるのです。
このジンジバリス菌、歯周病だけじゃなく全身に悪さをするようですから、乳酸菌で対策できるならやっておきたいですね。
ジンジバリス菌の除去に効果がある乳酸菌、その乳酸菌が配合されているオーラルケア商品をご紹介します。
この記事の目次
ジンジバリス菌は歯周ポケットに潜んで歯茎や骨を奥から溶かす
ポルフィロモナス属ジンジバリス種という本名を持つジンジバリス菌は、偏性嫌気性菌と言って、栄養をエネルギーに変える際に酸素を用いませんし、酸素が周囲にあると死んでしまう菌なのです。
ジンジバリス菌は糖を利用できない
ジンジバリス菌はエネルギーの取り出しをたんぱく質だけに頼っています。糖を代謝する能力がないのです。ですから、甘いものをいくら食べても、ジンジバリス菌にエネルギーを供給することにはなりません。
その代わり、ジンジバリス菌はたんぱく質を分解してエネルギーに変えています。そのため、分解されたたんぱく質が悪臭を放つことによって、歯周病によるひどい口臭を生み出していると考えられています。
その他、脂質代謝の異常や心臓病も、ジンジバリス菌によって引き起こされる可能性が示唆されていますから、たかが口臭と思って放置していると、生命に関わりかねないということになります。
ジンジバリス菌にはまだ謎が多い
ジンジバリス菌と一口に言っても、乳酸菌でよく見られるような、菌株の違いによって性質が異なるという可能性があります。
ジンジバリス菌を遺伝子レベルで研究している、京都大学医学部大学院によると、具体的な歯周病発症メカニズムは未解明であるということです。
それでも、特定菌株については全ゲノムの解析も終わっているそうですから、今後の研究が進むことを期待したいですね。
乳酸菌LS1が歯周病を殺菌!タブレットや錠菓タイプが主流
乳酸菌を歯周病菌対策に使うという話になると、乳酸菌の知識のある方は少し心配されると思います。それは、有名な虫歯菌であるストレプトコッカス属ミュータンス種(通称:ミュータンス菌)は乳酸菌の一種だからです。
ミュータンス菌は菌体外多糖でできたバイオフィルムを作り出して歯にくっつき、その中で乳酸を作り出して歯を溶かすことで虫歯を作り出しています。同じことが他の乳酸菌で起こると困りますね。
普通に口の中を通過すれば害はないが効果もない
また、付着した菌であっても、多くの乳酸菌は歯にくっつくようなバイオフィルムを作りませんから心配ありません。
中にはカスピ海ヨーグルトの乳酸菌のように、莢膜性スライムレイヤーを作るものもありますが、それとて口の中に長期間貼り付くことはないと思います。
一方、このラクトバチルス属サリバリウス種TI2711株(通称:乳酸菌LS1)は、健康な人の唾液から分離された菌ですので、口内常在菌であると考えられています。
乳酸を作り出す常在菌であるにもかかわらず、虫歯の原因にならないのは、この菌が酸性に弱く、自分が作り出した乳酸によって死んでしまうことで、その数が一定以上に増えないからだと考えられています。
また、この菌が持っている歯周病菌に対する殺菌能力は、イオン化していない乳酸にあるのではないかとも考えられています。
乳酸菌LS1はいくつか製品化されている
スナック菓子で有名な湖池屋からは、乳酸菌LS1を1粒当たり2億8000万個含んだ製品が出ています。この数は臨床試験において、口内細菌の中でジンジバリス菌が占める割合を、平均で約10分の1にまで減らしたという結果が得られた時よりやや多いくらいです。
推奨されているのは1日3粒ですが、あまり安くはないですし、メーカーも1粒から始めるという案内をしていますから、1日1粒で良いでしょう。
▼湖池屋 乳酸菌LS1
就寝前歯磨き後に1粒、口の中でゆっくり舐めて溶かせばOKです。1粒当たり70円以下ですから、それほど高価と言うわけでもありません。
歯科医院向けの食品もある
Systema 歯科用オーラルヘルスタブレットと言う製品が、ライオン株式会社から発売されています。主に歯科医院ルートで販売されているようですが、食品ですのでAmazonや楽天市場などの通販で購入することもできます。
▼ライオン Systema 歯科用オーラルヘルスタブレット
(出典:製品情報|ライオン歯科材株式会社)
こちらも実勢価格は1日分3粒あたり76円程度と安価になっていますが、乳酸菌の数が分かりません。1g中3億個と言う表示があるものの、1粒が何グラムなのかの表記がないので計算できません。
菌株違いにも歯周病菌抑制効果が見つかっている
LS1乳酸菌の研究がもとになって見つかった乳酸菌もあります。ラクトバチルス属サリバリウス種WB21株は、わかもと製薬と東北大学の連携で発見され、製品化されています。
現在、アバンビーズ・オーラルタブレットの商品名でわかもと製薬から発売されています。
▼わかもと製薬 アバンビーズ・オーラルタブレット
こちらは、エピガロカテキンガレート(高活性の茶カテキン)が配合されていて、実勢価格は1日分130円くらいです。
強力な殺菌効果をもつL8020乳酸菌は様々なタイプで販売されている
L8020乳酸菌と言うのは、ラクトバチルス属ラムノーサス種K03株のことです。このL8020乳酸菌が作り出す抗菌物質は、ジンジバリス菌をはじめとした口の中の悪玉菌を強力に殺菌することが知られてります。
詳しいことはL8020乳酸菌の記事を見てもらうとして、ここではジンジバリス菌に関係する部分を紹介しましょう。
▼関連記事
L8020乳酸菌で歯周病ケア。強力な抗菌効果をもつ商品一覧
L8020乳酸菌の作り出す物質がジンジバリス菌をやっつける
ですので、歯周病を抑える効果は抜群だと言えるでしょう。もちろん、他の歯周病菌も抑えてくれます。
私たち哺乳動物も、抗菌ペプチドと言う機能を身体に備えています。これは抗生物質とは違う働きで細菌をやっつけてくれる機能ですが、L8020乳酸菌のバクテリオシンは、これより強い抗菌性を持っているようだと結論づけられています。
商品の範囲は広い
L8020乳酸菌は、らくれんブランドで知られる四国乳業から、食べるタイプや飲むタイプのヨーグルトとして発売されています。
▼四国乳業株式会社 らくれんCOWニバル・8020食べるヨーグルト
R-1ヨーグルトなどの機能性ヨーグルトと同じレベルの販売価格です。クール便の通販でも購入可能ですが、運賃がかかっちゃいますね。
その他、マウスウォッシュやタブレット菓子も出ていますが、詳しいことは上で紹介した関連記事を見て下さい。
ジンジバリス菌にココアが有効?口臭には効果があった
ココアには、どうやらジンジバリス菌を抑える性質があるようだと言うことで注目が集まっています。実際にココアを飲ませる臨床試験も行われたようです。
それを見ると、ある程度の効果は期待できるものの、治療にはちょっと遠いのかもしれません。
森永が行ったジンジバリス菌とココアの研究
ココア製品もリリースしている森永の研究によると、試験管内でジンジバリス菌に3%濃度(飲用濃度に近い濃さです)のココアを添加して培養したところ、1mL中およそ100万個いたジンジバリス菌が、約1時間で全滅したということです。
これは画期的なデータですが、かと言ってココアを1時間も口の中に含んでおくのは実際的ではありません。そこで、今度は実際にココアを飲んでもらっての臨床試験も行われました。
ただ、試験管内の実験とは異なり、全滅には至らなかったということですね。
これは口臭を抑えたり、歯周病の予防を行ったりするには一定の効果が期待できるものの、歯周病の決定的な対策方法にはならないことを示していると思われます。
飲用中は口臭が抑制された
ココアを飲んでジンジバリス菌を減らすことはできても、全滅させることはできませんでしたが、ココアを飲んでいる期間中には口臭が軽減されたというデータが得られています。
ですので、口臭が気になる人は、ココアを毎日3回飲んでみるというのは良いかもしれません。なお、臨床試験では砂糖を用いず、虫歯の原因にならない人工甘味料で甘みをつけていたそうです。
口臭として認識される悪臭の多くは、硫化水素やメタンチオール、ジメチルスルファイドなどの硫黄化合物による臭いです。これらは含硫アミノ酸を含むたんぱく質が、ジンジバリス菌などによって分解されることで発生します。
ですから、歯周病菌の数が減ることで口臭の原因物質を抑えられるのだと考えられています。
歯周病はジンジバリス菌だけが原因じゃない
ジンジバリス菌は歯周病菌の中でもっとも頻度と危険性が高い「レッド・コンプレックス」に分類されています。あと二つ、トレポネーマ属デンティコラ種とタネレラ属フォーサイセンシス種もレッド・コンプレックスの一員です。
口腔ケアのサイトじゃないので名前だけを紹介しておきますが、いずれも歯磨きやマウスウォッシュなどで口の中を清潔にし、LS1乳酸菌やL8020乳酸菌を利用することで抑え込むことができるでしょう。