この乳酸菌が花粉症に効果あり!研究された菌の種類と効果とは

花粉症は言うまでもなくアレルギーによる症状の一つです。ですので、乳酸菌の効果についてもアレルギーに関する効果によるものだと言えるでしょう。

一方で、アレルギーに対する効果を調べるために、花粉症の人をモデルに使った臨床試験というものも数多く行われています。この場合、他のアレルギー反応からの類推ではなく、花粉症に対する検討が行われたものと言えますね。

今回はそうした事例を中心に見て行きたいと思います。

アレルギーは免疫機能の誤作動、または暴走!それを抑える菌がある

私たちの身体は、外からやってきた異物を排除することで病気にかかることを防いでいます。これが免疫ですね。この免疫反応には、異物を取り込んで消毒する免疫細胞や、免疫物質によって炎症を起こすことで異物を壊す働きというものもあります。

さらには、一度排除した異物の一部を細胞表面に記録して、他の免疫細胞に提示するという記録係も、免疫の一環を担う免疫細胞です。

アレルギー抑制には菌体成分が役に立つ

乳酸菌がアレルギーを抑制するのは、生きた菌が腸内環境を改善することで間接的に行われる場合もあります。それに対して、乳酸菌の菌体成分は、免疫に関する情報伝達物質を制御することで、免疫をコントロールしてくれます。

それには細胞壁を構成するたんぱく質や脂質、多糖類、DNAやRNAの核酸も化学物質として働きます。詳しいメカニズムはアレルギー全般に関する記事に詳しいのでそちらを見て下さい。

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【乳酸菌】ビフィズス菌とヤクルト菌の抗アレルギー効果に期待大!

リンク先にあるように、花粉症ばかりでなく、菌株によってはアトピー性皮膚炎の改善も示唆される結果が得られています。

民間医療の範疇だが副作用の危険性が極めて低い

ヨーグルトや乳酸菌サプリなどを使った花粉症改善の取り組みは、いわば「民間医療」というものに分類されます。ですので、効果効能を謳うには、特定保健用食品や機能性表示食品の届け出を行わなくてはなりません。

しかし、それには非常に大きな費用が必要になりますし、その費用は製品価格に転嫁されることになります。各メーカーは、乳酸菌自体の機能を研究し、論文として公開することでその機能を広く世間に知らせるという方法を取っています。

もちろん研究にも費用がかかりますが、その部分はどちらにせよ必要な費用ですね。そして、トクホなどを取らなければ、その申請にかかる莫大な費用は必要ありません。

インターネットで論文情報も検索できる時代ですので、しっかり研究した乳酸菌は、その菌株名を商品に書いておくだけで、広告宣伝に効果を書かなくても、消費者が見つけてくれるということになっています。

もちろん、嘘のデータなどを掲載したりすれば、論文として認められないばかりでなく、消費者センターなどによって違法行為としてチェックされることになります。

トクホなどの制度は、インチキな健康食品を排除する上で必要ですが、商品価格が上昇するというジレンマは避けられないんですよね。難しい問題です。

花粉症に関する臨床研究はボランティアに花粉を振りかける

日本健康増進支援機構というNPO法人は、和歌山県に30人を同時に試験できる花粉曝露施設・EEU Wakayamaを2003年に完成させ、その施設を利用してさまざまな研究グループが花粉症の研究を行っています。

(参照:EEU Wakayamaにおける花粉曝露試験の経験と将来|NPO法人 日本健康増進支援機構・榎本雅夫氏ほか)

公園など屋外での研究では、花粉の飛散量や風雨の影響で、人に降りかかる花粉の量が安定しないため、研究が難しかったからです。同様の施設はアメリカやカナダ、ドイツ、オーストリアなどにもあるそうです。

海外の施設では、主にブタクサ花粉が研究の対象になっているようですね。

最初に成果を上げたのはカルピス

この施設を使って、自社の乳酸菌の耐花粉性能を実証したのは、カルピスが最初でした。

カルピスによると、花粉曝露室で1立方メートルあたり10,000個という花粉飛散量の環境に入ったボランティアの人を対象に、ラクトバチルス属アシドフィルス種L-92株(通称:L-92乳酸菌)を、いくつかの濃度で投与する試験を行いました。

その結果、投与を行わなかった対照群に比べて、症状の軽減が見られ、投与量が増えると症状の改善度も上がったようです。さらに、予防効果も見られたとあります。

(参照:「ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株」 乳酸菌として日本で初めて花粉曝露試験施設で花粉症の有効性を確認|アサヒカルピスウェルネス株式会社)

このL-92乳酸菌は、サプリメントとして「アレルケア」の商品名で、カルピス健康オンラインショップから発売されています。また、乳酸菌飲料としては、「守る働く乳酸菌」の商品名でアサヒ飲料から発売されています。

森永もこの施設でビフィズス菌による試験を行った

森永ヨーグルトの主力商品であるビヒダスヨーグルトに配合されている、ビフィドバクテリウム属ロンガム種BB536株(通称:ビフィズス菌BB536株)は、お腹の調子を整えるトクホの関与成分として使われています。

森永乳業株式会社食品基盤研究所によると、そのビフィズス菌に花粉症の抑制作用を期待して試験したところ、花粉症の抑制に一定の効果が見られました。

その時はヨーグルトとしての摂取であったため、改めてビフィズス菌だけの投与を行うと同時に、この花粉曝露施設を利用して試験したところ、花粉症の改善だけでなく予防効果も見られたということです。

(参照:ビフィズス菌による抗アレルギー作用|森永乳業株式会社 食品基盤研究所・岩淵紀介氏ほか)

ビフィズス菌はどちらかと言うと酸に弱いため、胃酸で殺菌されることが多いのですが、BB536は人間から分離された株なので、比較的生きて腸まで届きやすいのと同時に、腸に定着もしやすいです。

また、ヨーグルトだけでなく森永乳業からサプリとしても販売されています。おそらく腸溶カプセルに封入されているので、ビフィズス菌を生かしたまま胃を通過しやすいでしょう。

そして、最初にお話したように、花粉症改善には菌体成分だけでいいので、胃で死んでしまったビフィズス菌も役に立つのです。もちろん生きて定着してくれれば、もっと良いことは言うまでもありません。

大メーカーはこうした研究を行えるだけの資本力を持っているのは強いですね。でも、中小メーカーのものがダメということにはなりません。お気に入りのものがあれば、それをどんどん摂って下さい。

身近な製品で研究成果は上がっている

ビヒダスヨーグルトは非常に身近な製品ですが、他にも身近な乳酸菌製品で花粉症に効果が見出されているものもあります。

また、森永乳業(資本金約217億円)や、カルピスを部門子会社として持つアサヒ飲料(資本金約111億円)と言った大企業ばかりでなく、資本金1億円レベルの中堅企業も頑張っているんです。

ヤクルト菌に花粉症改善効果が見つかっている

まずは資本金が311億円を超える大企業、ヤクルト本社の乳酸菌の話題からです。乳酸菌シロタ株とかヤクルト菌とかの名で知られる、ラクトバチルス属カゼイ種YIT9029株は、古くから生きて腸に届く乳酸菌として親しまれています。

そのヤクルト菌の研究の中で、花粉症改善効果が見つかっているのです。

ヤクルト本社中央研究所によると、ヤクルト菌は胃酸や胆汁に耐性を持って、生きて腸まで届く乳酸菌であることから、免疫機能の改善効果も期待されてきたという歴史があります。

日本とイギリスで行われた臨床試験では、血液検査のデータなどに有意な差は現れなかったものの、中等度以上の症状を持つ人では、症状が現れるタイミングを遅らせる効果が見られたということです。

(参照:Lactobacillus casei YIT 9029(乳酸菌シロタ株)のアレルギー抑制効果:作用機序と臨床応用への可能性|株式会社ヤクルト本社 中央研究所・志田寛氏)

この論文が発表された時点では、詳細なメカニズムについても検証途中ではありましたが、まだまだ研究は続いているようですので、今後に注目したいですね。なにせヤクルトは身近で手軽な乳酸菌飲料ですから。

中堅メーカー・オハヨー乳業も頑張っている

岡山県のオハヨー乳業は、もともと製菓用の練乳メーカーから始まった乳業メーカーで、今では乳酸菌の基礎研究を通じて、ヨーグルト製品を数多く作っています。

独立行政法人 国立病院機構 南岡山医療センターなどの研究グループによると、乳幼児の腸から分離されたラクトバチルス属アシドフィルス種L-55株(通称:L-55乳酸菌)を使ったヨーグルトに花粉症改善効果が見られたとしています。

花粉症患者に連続して食べてもらった結果、10週目以降で症状の改善が見られ、12週目には予防に効果があることを示す数値が見られたということです。

(参照:L-55乳酸菌含有ヨーグルトのスギ花粉症に対する臨床的有効性|独立行政法人 国立病院機構 南岡山医療センター耳鼻咽喉科・赤木博文先生ほか)

この乳酸菌は、オハヨー乳業の「たっぷり生乳ヨーグルト」に使われています。この菌は論文中にもあるように、乳幼児から分離された菌ですので、腸への到達性も定着性も良好ではないかと考えられています。

さまざまな菌に花粉症改善効果が見られるというのは心強いですね、自分の好みに合うものを見つけて継続的に摂りましょう。

ヤクルトが関係する今後に期待したい乳酸菌

ヤクルトと言っても、商品としてのヤクルトではなく、会社としてのヤクルト本社です。実は花粉症を抑制する可能性がある乳酸菌について、ヤクルト本社は新たに2つの期待できる情報を持っています。

ひとつはすでにサプリとして商品化されていますが、発見研究の経緯の関係でしょうか、あまり前面には押し出していません。もう一つは効果が見つかってまだ3年なので、商品化はまだ行われていないと言うものです。

キリンビール・小岩井乳業・ヤクルトのKW乳酸菌

ラクトバチルス属パラカゼイ種KW3110株(通称:KW乳酸菌)は、もともとキリンビールと小岩井乳業が研究していた乳酸菌で、マウスを使った動物実験で花粉症の改善効果が認められた乳酸菌です。

千葉大学の稲嶺絢子フェローによると、KW乳酸菌を殺菌した菌体成分を、減感作療法の補助薬として、抗原と同時に人の舌下に置くという臨床試験が行われたそうです。

その結果、減感作療法に高い効果が見現れたと言う結果が得られ、KW乳酸菌の菌体成分が、花粉症の患者において免疫制御に大きく役立ったと見ています。今後、メカニズムを含めて研究は続きます。

(参照:新しい花粉症治療法の開発まぢか・アレルゲン特異的免疫療法の確立を目指して|千葉大学・稲嶺絢子 耳鼻咽喉科学 G-COEフェロー)

このKW乳酸菌は小岩井乳業からKW乳酸菌プラスと言う形でいくつかのヨーグルトが、キリンとのタイアップで販売されています。

一方、ヤクルトからはノアレと言うサプリメントの形で販売されています。あまりメジャーな製品でないのか、店頭などで見たことがありません。

柑橘果汁と相性のいいLP0132乳酸菌

ラクトバチルス属プランタルム種YIT0132株(通称:LP0132乳酸菌)と言う、柑橘類の果汁を発酵させる能力に優れた乳酸菌で、果汁発酵飲料を作って臨床試験が行われました。

ヤクルト本社によると、この果汁発酵飲料を花粉症を持っている人に飲んでもらい、花粉が飛散している時期において、主観的症状がどのくらい変化するかを確認しました。

飲用は1日1本8週間です。その結果、目のかゆみや鼻の症状など、すべての項目において改善が見られたという結果が得られています。

メカニズムとして、この乳酸菌は、炎症などを抑制する方向で働く免疫情報伝達物質のインターロイキン10を多く誘導するからだと考えられています。

(参照:乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がスギ花粉症患者の花粉飛散時期の症状悪化を抑制|ヤクルト本社中央研究所)

この乳酸菌はまだ商品化されていないようですが、ヤクルトから柑橘系の乳酸菌飲料が出たら、注目したいところですね。

なんとなくヤクルト上げの章になりましたが、特にヤクルトをひいきするつもりはありません。たまたま多くのデータが見つかったためにこうなりました。

花粉症に限らず・特定の乳酸菌に限らず可能性はある

花粉症抑制の可能性がある乳酸菌として、久光製薬やコンビからサプリ化されている、エンテロコッカス属フェーカリス種EC-12株(通称:EC-12乳酸菌)ですが、メーカーからは抗花粉症の効果は発表されていません。

ところが、外部の研究によってちょっとおもしろい研究が見られました。このことは花粉症対策に乳酸菌を利用する時の大きな参考になるかもしれません。

京都府立医科大学の研究チームによると、このEC-12乳酸菌のほか、ラクトバチルス属ガッセリー種JCM5344株とビフィドバクテリウム属ブレーベ種JCM1192株を使って実験が行われました。

それぞれの乳酸菌は、遺伝情報の蓄積を行うDNA1種類と、情報伝達を行うRNA2種類を分解して、それぞれ人の血液から取った免疫細胞と一緒に培養しました。

その結果、RNAのうち一本鎖と言うタイプのものを分解したもので、IL-12と言う免疫情報伝達物質の産生が大きく抑制されたのです。この結果は乳酸菌の種類に関係なく起こりました。

(参照:乳酸菌の免疫刺激メカニズムの解明 ~乳酸菌の一本鎖RNAは免疫を発動する主要成分~|京都府立大学大学院生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 動物機能学研究室)

このように、乳酸菌の細胞の中にある核酸のひとつが、人間の免疫調整に大きな役割を持っていることがわかったのです。

乳酸菌が花粉症を抑制する働きは、乳酸菌としての働きよりも、菌体成分によるものだということが判ってきています。つまり、活きて腸まで届かなくても良いということですね。

そして、フェーカリス菌・ガセリ菌・ビフィズス菌のどれでも同じ効果が得られたということは、花粉症などのアレルギー抑制効果は、思ったより乳酸菌に広く存在している可能性を示唆しています。

花粉症やアレルギー対策の効果を謳っていなくても、普段から毎日乳酸菌を摂っておくだけで、もしかすると花粉症を改善できるかもしれませんね。

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