乳酸菌で乾燥肌改善!食べるだけでなく化粧品でも役立つ乳酸菌とは

乾燥肌に悩む人は多いですが、みなさんはどのように対策しておられるでしょうか。もちろん、保湿成分をたっぷり含んだ化粧水や美容液を利用される方も多いと思います。

聞けば、ユースキンAと言うクリームの120g入りを買って、白くなるまで塗り込むと言う豪快な対処法も人気だとか。まぁ、安くて安全なクリームだから人気が出るのも判ります。

ところで、我らが乳酸菌は、身体の内外から乾燥肌を改善してくれるという能力は持っていないのでしょうか。大丈夫です、ちゃんと持っているんですよ。見ていきましょう。

あのLB81乳酸菌が乾燥肌を改善!?

おそらく商品開発において有効性を探るために行われた研究だと思いますが、あの有名な乳酸菌にも肌の乾燥を抑える効果が示唆されています。

ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種2038株とストレプトコッカス属サーモフィルス種1131株の混合乳酸菌(通称:LB81乳酸菌)は、明治ブルガリアヨーグルトLB81に使用されている乳酸菌です。知らない人がいないほど有名な乳酸菌ですね。

しかも、この乳酸菌を関与成分として「腸内細菌のバランスを整える」「おなかの調子を良好に保つ 」と言う働きで特定保健用食品(トクホ)の認可を受けています。

身近なヨーグルトに隠された画期的な効果

明治乳業と東京女子医大皮膚科学、医療法人社団優医会・有楽町皮膚科の研究グループによると、LB81乳酸菌配合のヨーグルトを1回120mL、1日2回、4週間連続で摂取したところ、乾燥肌が改善したという結果が得られています。

さらに、このヨーグルトにコラーゲンペプチドやセラミドを配合したものでは、乾燥肌が改善したことに加えて、肌のキメが細かくなったと言う効果が見られたとあります。

この研究では、機械を使った数値的な皮膚の診断だけでなく、皮膚科の専門医による皮膚所見も重要なデータとして扱われていますので、実際の見た目的にも改善していると言えるでしょう。

この結果について、もう一つ重要な要素があります。それは臨床実験に参加した人たちの便秘が改善されたということです。このことから、乾燥肌の改善は、便秘が治ったことによって皮膚状態が良くなったことによるのではないかと推察されています。

(参照:LB81乳酸菌を使用したヨーグルトの皮膚機能改善効果に関する検証|明治乳業研究本部・伊澤佳久平氏ほか)

このように、私たちにとって非常に身近なヨーグルトには乾燥肌を改善してくれる要素があることが判っています。この研究は2008年に腸内細菌学雑誌に報告されたものですので、念のためその後の研究を検索しましたが、この結果を否定するような報告は見当たりませんでした。

ですから、この報文にあるように、腸内環境を整えることが乾燥肌の改善につながるのであれば、多くの乳酸菌製品は乾燥肌対策に有効である可能性があります。

死んだ乳酸菌にも乾燥肌改善の働きがあった

サッポロビールの研究所によって、2014年に行われ、2016年に論文が公開された実験では、熱で殺した乳酸菌の菌体に乾燥肌改善の効果があったと報告されています。

サッポロビールの研究グループによると、ラクトバチルス属ブレビス種SBC8803株(通称:SBL88乳酸菌)には皮膚の保湿について有効な作用が見られたとあります。

しかも、その効果は熱で殺した乳酸菌の菌体を摂取することでも得られたそうです。普段、乳酸菌をあまり摂る習慣がない人に対して、特に効果的であったようです。

(参照:Effects of oral intake of heat-killed Lactobacillus brevis SBC8803 (SBL88) on dry skin conditions: A randomized, double-blind, placebo-controlled study(英文)|サッポロビール研究グループ)

この効果について、そのメカニズムについては、乳酸菌の菌体が自律神経の活動を活発化させ、皮膚の血流を促進したことが推察されていて、今後さらに研究を重ねられるようです。

SBL88は麦から見つかった乳酸菌らしいので、ビールを飲んで乾燥肌が改善されたら良いなと思ったのですが、世の中そうは甘くないようです。ちょっとがっかりです。

お酒から生まれた乾燥肌改善乳酸菌

最近では酒造メーカーがその発酵技術を活用して化粧品事業に乗り出すケースが良く見受けられます。業界でもトップクラスの、京都伏見の月桂冠酒造の化粧品は有名だと思います。

また神戸灘五郷にある、日本最大の酒造メーカー白鶴酒造も発酵技術を活かした化粧品を作っています。しかし、これらはいずれも麹と酵母を使った、日本酒づくりの発酵技術を基本にした外用製品です。

もちろん乾燥肌にも効果のある、しかも自然な内容の製品ですが乳酸菌とは直接関係ありませんし、飲むものでもありません。しかし、同じ灘五郷の大きな酒蔵、菊正宗酒造は「乳酸菌を使った飲む乾燥肌改善飲料」を作っています。

なぜ日本酒醸造で乳酸菌が関係するのか

日本酒のことをご存じの方なら、乳酸菌は時として日本酒の腐造(火落ち)の原因になる、酒造現場での悪玉菌だということをご存知でしょう。それだけに酒造メーカーから、乳酸菌製品が出てくるのは意外な感じがすると思います。

しかし、乳酸は日本酒造りの最初の方のステップで必要な物質であり、それを物質として投入する速醸系ではない、昔ながらの酒造りでは乳酸菌に活躍してもらうのです。

お酒の醸造で最初に必要なのは、お米のでんぷんを糖に変えてくれる麹です。そして、その糖をアルコールに変えてくれるのは酵母です。この酵母をあらかじめ増殖させておく工程が「もと造り」です。(「もと」は「酉元」を一文字にした漢字です。)

お酒で「生もと造り」「山廃造り」と言う名前をご覧になったことがあるかと思いますが、この方法での醸造では、酵母を増殖させる工程で、環境から入り込んでくる雑菌を防ぐために、酒蔵に自然に住んでいる乳酸菌を利用します。

その乳酸菌が出す乳酸によって雑菌を防ぎ、日本酒醸造に必要な酵母の集まりである「酒母」を作り出すのです。最も昔ながらの作り方は「生もと造り」ですが、現在では乳酸菌を使わず最初から乳酸を入れてしまう速醸系のもと造りが主流になっています。

乳酸菌を使うものでも、最も工程的に手間のかかる「山卸し」と言う工程を廃止した「山廃造り」が主流のようですね。

お酒の好きな方ならよくご存知だと思いますが、菊正宗はこの生もと造りにこだわりを持っているようですので、その際に活躍する乳酸菌にも注目したと言うことです。

実際の科学的研究については、1990年頃から生もと造りで発生する乳酸菌の分離や分析を行ってきたとあります。酒造りは酒蔵に棲んでいる菌が活躍しますので、粉末になった純粋培養の菌を利用しているわけではありません。

そうした乳酸菌を分離して研究し、培養して乳酸菌製品に作り上げたようですね。

生もとの乳酸菌も免疫を調整して皮膚を健康に保つ

菊正宗総合研究所によると、生もとから分離されたのは、リューコノストック属メセンテロイデス種という、お漬物からよく見つかる、乳酸と酢酸を作り出す菌と、おなじみのラクトバチルス属のサケイ種と言う菌でした。

その2種類の菌の合わせて17菌株が分離されたのですが、動物実験でメセンテロイデス1菌株とサケイ3菌株の4つがアレルギー症状を抑制しました。そして、その中でラクトバチルス・サケイ・LK-117株が最も強い働きを持っていたことが確認されたのです。

この乳酸菌の働きは、多くのアレルギー抑制効果を持つ乳酸菌と同じです。マクロファージが乳酸菌を食べる際に消化不良を起こして分泌するIL-12と言う生理物質が、未成熟免疫細胞のナイーブCD4T細胞を、Th1細胞(ヘルパーT細胞)に分化させます。

その結果、炎症によって外敵をやっつけるTh2細胞の比率が下がり、Th1/Th2バランスが取れることで、皮膚症状が抑えられるというものです。

(参照:機能性に関する研究~生もと乳酸菌LK-117株の免疫調節作用~|菊正宗酒造総合研究所)

このLK-117乳酸菌については現在、菊正宗酒造から「酒蔵の乳酸菌 米のしずく」と言う名前で、ドリンクやタブレットとして商品化されています。

ヨーグルトなどに比べると、ちょっと割高感のある価格設定ですが、お試し価格も設定されていますから、肌に合うかどうかを試してみても良いかもしれませんね。

酒造メーカーも頑張ってますね。考えてみれば、酒蔵と言うのは大昔から発酵のプロなんですよね。これからもさまざまな製品が登場するでしょう。

お肌に塗る乳酸菌製品って存在するのだろうか

残念ながら、乳酸菌の生菌や菌体成分を有効成分とした外用化粧品は見当たりませんでした。考えてみれば、皮膚には皮膚の常在菌がいるわけで、その中のメジャーな存在として乳酸菌は見当たりません。

ですので、せいぜい菌体成分か、むしろ乳酸菌によって作り出された何らかの物質を、化粧品として利用することが多くなるでしょう。

産学共同研究で生まれた化粧品

産学共同研究はよくありますが、地域を意識した、中堅企業と国立大学の連携という意味で、広島大学と中国醸造の商品に注目してみます。基本的には日本酒醸造でできる酒粕を、乳酸菌によって二次発酵させ、得られた成分を化粧品に使っています。

中国醸造株式会社のやすらぎ発酵房から発売されている「リラビオ・植物乳酸菌の恵み」と言う化粧品のシリースは「超保湿」と言うキーワードを売りにしていますので、乾燥肌改善という今回の記事のテーマにぴったりです。

この商品に利用されているのは、ラクトバチルス属プランタルム種SN35N株とエンテロコッカス属アビウム種G-15株によって生み出された美容成分です。それに原料米や麹、酵母などに由来する成分を配合して化粧品にしているわけですね。

面白いことに、このSN35N乳酸菌は、広島大学の研究で「ピロリ菌を減らす可能性のある菌」として、最終選考にまで残っていた菌なのです。一方、G-15乳酸菌は腸球菌とも呼ばれるグループで、ビオフェルミンに配合されているフェーカリス菌の親戚です。

ピロリ菌と乳酸菌については関連記事をご覧ください。

▼関連記事
ピロリ菌に効果がある乳酸菌とは?ヨーグルトならLG-21

このように、乳酸菌が作り出す何らかの成分が、外用して効果のあるものになることがあります。

よく指摘される「美容成分は分子が大きいので肌には浸透しない」と言う問題も、保湿効果については肌の表面に維持されるだけで効果が出ますから、肌に浸透する必要もありません。

意外なものが乳酸菌によって作り出されている

皆さんはお肌の保湿成分と言えば何を思い浮かべますか。ヒアルロン酸と答えてくれる人も多いんじゃないかと思います。ヒアルロン酸は多糖類なのでやはりお肌に浸透はしません。

しかし、強力な保湿力によってお肌の潤いを与えてくれることはよく知られています。実はこのヒアルロン酸、昔は鶏のトサカなど、動物性の原料から抽出されていたのですが、現在は乳酸菌が作り出しているのです。

ストレプトコッカス属ズーエピデミクス種ATCC39920株と言う乳酸菌は、効率よくヒアルロン酸を作り出しますので、化粧品に「動物由来でない」「遺伝子組換えを使わない」と言うヒアルロン酸として活用されています。

もしかするとほかの菌株のものも利用されているかもしれませんが、化粧品メーカーなどは、菌株までは公表していないことが多いので判りませんでした。

国内化粧品のトップメーカー資生堂は、この方法でヒアルロン酸を製造していて、化粧品のみならず、膝関節への注射や点眼薬などに用いられる、医薬品グレードのヒアルロン酸も作っています。

ヒアルロン酸が乳酸菌で作られていたというのはちょっと意外ですが、もう30年以上も前に開発された技術なんですよ。

乳酸菌による乾燥肌の改善はアレルギー抑制と保湿から

このように、乳酸菌によって作られる保湿成分を利用した化粧品というのが、外用での乾燥肌改善に役立つ乳酸菌の使い方です。

一方、食べてお肌の状態を改善するのは、アレルギー抑制と同じように、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスを改善することで行われます。

ですから、特に乾燥肌に有効であると謳ったものでは、より有効性が期待できるかもしれませんが、基本的には、例えばヨーグルトならどれでもOKと言う部分があります。

腸内環境の改善がお肌の改善につかがることは誰もが知るところですが、このことは乾燥肌においても言えることなのです。

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