高血圧の人おすすめの血圧を下げるヨーグルト

乳酸菌の力で高血圧を予防改善すると言うと、たしかに健康的だからそういうこともあるのかなと思いますね。しかし、乳酸菌は炭水化物を代謝して乳酸や多糖類を作りますが、一体何が血圧を下げるのかと問われると答えにつまります。

実は、乳酸菌はたんぱく質やアミノ酸を代謝して、血圧を下げたり血管を丈夫にしたりする有用な物質を作り出すという働きも持っていて、血圧に関してはそれによって下がるという効果が確認されているのです。

血圧を下げるヨーグルトについて見て行きましょう。

リラックス物質のGABAが高血圧の人の血圧を下げる

γ(ガンマ)-アミノ酪酸、略称GABAは、リラックス物質として有名ですね。アミノ酸の一種で神経伝達物質として働くものです。

アミノ酸ですから、たんぱく質を分解したり、ほかのアミノ酸から化学変化したりすることでもたらされる物質です。

GABAは高血圧の人の血圧だけを下げる

別記事でも紹介しましたが、京都の産官学連携研究グループによって、GABAはグルタミン酸を原料に乳酸菌によって作り出されることが知られています。

グルタミン酸は味の素などで有名な旨味成分ですね。たんぱく質を分解して得られるもので、人間の身体の中にもたくさん含まれています。

GABA自体は脳の中での活動が有名です。原料となるグルタミン酸は興奮性の神経伝達物質ですが、GABAは逆に興奮を抑制する鎮静性の神経伝達物質です。

しかし、GABAは血液脳関門を通過できませんから、食べ物から摂ったり、腸内細菌によって作り出されたりしても、それがそのまま脳に届くわけではありません。腸などにある、末梢の自律神経に働きかけて脳に影響する可能性も考えられています。

あるいは代謝を通じて脳に届く形に変化するのかもしれませんが、GABAを摂取することでリラックス効果が得られるという研究データが得られていることから、メカニズムの追求は後回しにして、先にさまざまな商品として利用されています。

一方、血圧に関しては、高血圧の人の血圧を下げると言う選択的な効果が見られます。つまり、普通血圧や低血圧の人の血圧は下げないということです。これはとても都合がいい機能ですね。

ただし、血圧調整機能的に低血圧の人の血圧を上げる働きがあるかどうかは不明ですし、普通血圧の人が高血圧にならないよう予防する効果があるかどうかも知られていません。

この高血圧の人の血圧だけを下げると言う効果は、先にお話したように、腸の中で作られたGABAが交感神経の末梢に働きかけて、高血圧の人で活発になっている、その興奮性の活動を抑制するからではないかと考えられています。

GABAは「普通のヨーグルト」が作り出す物質

上で紹介した京都の研究では、市販のヨーグルトから分離されたラクトバチルス属デルブルッキー種とストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)の共培養で、多量のGABAの生成が見られたと報告しています。

前者の菌はおそらくブルガリクス亜種、つまりブルガリア菌で間違いないでしょう。この二つの組み合わせは、国際的な食品規格のCODEXにおいて、ヨーグルトに必ず含まれていなければならない乳酸菌であるとされるものです。

ですから、そうした細かい規定がない日本においても、特殊なものを除いて、大半のヨーグルトはこの組み合わせで作られているはずです。特別な機能を持つ乳酸菌も、この二つの乳酸菌と同時に配合されるという形が圧倒的に多いですね。

また、GABAを作り出す乳酸菌というと、ラクトコッカス属ラクティス種が知られています。これはクレモリス亜種がカスピ海ヨーグルトのスターターに含まれていますし、ケフィアグレイン(ケフィアヨーグルトの種菌)にも含まれています。

カスピ海ヨーグルトやケフィアに血圧降下作用があるという情報もありますが、俗信の範囲を出ないものであるようにも思えます。

一方、基亜種であるラクティス亜種である可能性もあります。これが使われているヨーグルトも、しっかり探せばあるのかもしれませんが、私が探した範囲ではちょっと見つかりませんでした。

サプリとしては、ラクティス種と乳酸菌シロタ株によって作られたGABA製品「ヤクルト・プレティオ」がありますね。

また、森永乳業の食品基盤研究所は、ヨーグルト中のビフィズス菌BB536株を長生きさせるための技術として、ラクトコッカス属ラクティス種の一部の菌株が利用できることを発見して、2013年の農芸化学技術賞を受賞しています。

この技術は実際の製品の製造に活かされているとしていますので、ビヒダスヨーグルトにも入っているのでしょう。

このラクティス種の菌株がGABAを作る働きを持っているかどうかは不明ですが、ビヒダスヨーグルトは土台になるヨーグルトをブルガリア菌とサーモフィルス菌で作っています。ですので、そちらからのGABAは期待できますね。

GABAだけで血圧を下げられるわけではない

GABAだけで高血圧を解消できるなら、とっくに降圧薬として製品化され、病院で処方されているはずですよね。しかし、そうはなっていないところを見ると、降圧効果はあっても、それほど劇的なものではないということです。

一方で、こうした乳酸菌を食生活に組み込んで、毎日体内でGABAを作らせるようにしておけば、副作用のない降圧薬だと考えることもできます。

お医者さんで処方される降圧薬には不快な副作用が見られることもありますし、医薬品は身体に負担をかけますから、できるだけ少なく飲むに越したことはありません。

ですから、他の病気が出ないように降圧薬を飲みながら、ヨーグルトを利用して、生活習慣から血圧を下げて行くのが良いと言えるのです。

森永ビヒダスヨーグルトには、ビフィズス菌BB536・ブルガリア菌・サーモフィルス菌に加えて、ラクトコッカス属ラクティス種と、4種類の乳酸菌が配合されていたんですね。

カルピスの一翼を担う乳酸菌が血圧降下物質を作る

カルピスは原乳を乳酸菌で発酵させ、さらに酵母で発酵させる二段階発酵で「カルピス酸乳」と呼ばれる原液を作っています。それにさらに砂糖などを加えてカルピスに仕上げて行くわけです。

その途中で乳酸菌や酵母は殺菌されてしまいますが、それらの菌が作り出した有用物質はそのまま残ります。もちろん菌体成分も残るので、さまざまな効用が期待できるのです。

その中で乳酸菌の一つが作り出す、割合シンプルな構造の物質に、血圧を下げる効果が見つかっています。

ラクトトリペプチドは降圧薬と同じ働きを持っている

カルピス酸乳から発見された物質にラクトトリペプチドと言う物があります。これは牛乳のたんぱく質を分解して、アミノ酸が3個つながった状態のペプチドにしたものです。ラクト(牛乳の)+トリ(3)+ペプチド(アミノ酸がつながったもの)と言う意味です。

高血圧の人ではACE阻害薬という名前で呼ばれるお薬を処方されていることがあります。有名なところでは商品名カプトプリルや商品名レニベースなどがあります。

実は、今回紹介するラクトトリペプチドにもACE阻害作用があるのです。つまり、降圧薬そのものと同じ効果を持っていると言うことですね。

この阻害されるACEと言う物には、アンジオテンシン変換酵素と言う正式名称があります。肝臓や肥大化脂肪細胞から分泌されるアンジオテンシノーゲンと言う前駆物質に、腎臓から分泌されるレニンという酵素が働くとアンジオテンシンIと言う物質ができます。

このアンジオテンシンIには生理的な活性作用はあまりありませんが、ここにアンジオテンシン変換酵素が働くと、いくつかのホルモンを介して、腎臓でナトリウムと水分の再吸収を促進させるアンジオテンシンIIに変化します。

ナトリウム、つまり塩分と水分を多く再吸収するということは血液の量が増えてしまうということになり、それはそのまま血圧の上昇につながります。なのでアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害すると血圧が下がるのです。

ラクトトリペプチドが血管を若返らせる

アンジオテンシン変換酵素は、アンジオテンシンIIの生成だけでなく、ブラジキニンというノナペプチド(アミノ酸が9個つながったペプチド)を分解したり活性を失わせたりする働きもあります。

ブラジキニンは血管壁の柔軟性を改善して、血圧を下げる一酸化窒素を発生させる働きを担っています。ですので、ラクトトリペプチドによってアンジオテンシン変換酵素を抑え込むことで、二重に血圧を下げることができるのです。

また、血管内皮の状態を良好にして柔軟性をキープするということは、血管自体を若返らせることでもありますね。動脈硬化の進行を遅らせたり、血管内皮機能を改善したりして循環器病を予防することもできるでしょう。

また、一酸化窒素による血管の若返りにおいては、男性の性機能の向上が期待できる可能性があるかも知れません。

カルピスからサプリや飲料となって発売されている

カルピス酸乳から発見された物質なので、当然カルピスに含まれていると思うのですが、濃度の関係からでしょうか、専用の特定保健用食品の飲料や機能性表示食品のサプリになって発売されています。

飲み物は「アミールS」と言う乳性飲料です。

▼アミールS
アミールS商品イメージ

ラクトトリペプチドを関与成分とする、特定保健用食品表示の許可を得ています。200mL入りと1L入りのペットボトルがあります。

定価は200mL入りで160円ですが、実勢価格は100円ぐらいですので手軽で良いですね。

また、サプリメントとして「アミール サプリメント」も発売されています。

▼アミール サプリメント
アミールサプリメント商品イメージ

こちらはもう少し割安ですね。実勢価格で30日分2400円くらいです。

こちらは特定保健用食品ではなく機能性表示食品の扱いですが、飲料の方で書類審査を通っているので二度手間を避けたのではないかと思います。関与成分の含有量は飲料もサプリも同じです。

このラクトトリペプチドですが、略称IPPとVPPと言う2種類の有効成分が示されています。私たちが普段摂っているたんぱく質は、例外もありますが、基本的に20種類のアミノ酸で構成されています。

そこから重複ありの3個の組み合わせをするとなると、単純計算で1540通りものパターンができてしまいます。その中から見つかった2つの組み合わせというわけです。

略号のうち、Pはプロリンというアミノ酸です。Iはイソロイシン、Vはバリンです。プロリンは必須アミノ酸ではありませんが、イソロイシンとバリンは必須アミノ酸です。

IPPとVPPは、これらのアミノ酸が略号の通り3つ並んで結合した「血圧を下げるラクトトリペプチド」なのです。

これらは、短いペプチドなので消化する必要なく吸収されます。もちろん消化酵素に出会ってしまうとアミノ酸にまで分解されますが、分解されないまま吸収されたものが、血圧を下げ、血管を若返らせる役目を果たします。

チーズ作りに活躍する乳酸菌なのでたんぱく質分解が得意?

ここで活躍している乳酸菌はラクトバチルス属ヘルベティカス種CM4株です。このヘルベティカス種はカルピス菌を構成するメンバーですが、一般的にはチーズのスターターとしてよく用いられます。

スイスのエメンタールやグリュイエール、イタリアのグラナ・パダーノやパルミジャーノ・レッジャーノのスターターとして、コクの有るチーズを作り出すのに役立っています。

チーズを作る乳酸菌ですから牛乳のたんぱく質を分解する能力に優れているのでしょう。

スイスは内陸の小さな国ですが、イタリアのチーズも、半島部分ではなくスイスよりの内陸で作られていますから、もともとはそのあたりにいた菌なのかも知れませんね。

このカルピスの製品では菌が作り出すペプチドに注目していますし、血圧を下げるラクトトリペプチドとは別の、19個のアミノ酸からできる、CS19ペプチドには記憶力の向上も期待されています。「すらすらケア」と言う名前で商品化もされています。

一方、広く世界に目をやると、ラクトバチルス属ヘルベティカス種BGRA43株は、ヒトの腸から分離され、プロバイオティクスとして強力な免疫賦活能力が見つかっています。

将来的には、菌体成分や産生物だけでなく、生きて腸まで届く菌、プロバイオティクスとして利用される可能性もありますね。

カルピスで血圧が下がるというのも良いですね。そう言えば子供の頃あんなに飲んだカルピスですが、最近ではあまり飲んでませんね。買ってくることにしましょう。

ヤクルトやピルクルにも血圧降下の可能性がある

このように、血圧を下げるという降下に特化した乳酸菌製品がいくつか出ています。一方で乳酸菌によって全身の体調を整えることも、血圧管理には好ましいことだといえます。

ですので、特にサプリなどを使わなくても、普段から発酵食品を利用して体調管理を行うことを、お医者さんによる高血圧治療に並行させることもお勧めしたいですね。

ただ、降圧薬を処方されている人が、血圧を下げる効果のある乳酸菌製品を摂る時は、必ずお医者さんと相談してからにして下さい。そのほうが安心です。

そして最後にもう一つ、ヤクルトもピルクルも、あるいはヤクルトに似た他の乳製品乳酸菌飲料にも、ラクトバチルス属カゼイ種の乳酸菌が使われています。菌株が異なるだけです。

このカゼイ種の菌体成分のうち、細胞壁を構成する多糖類にも血圧を下げる効果があることが判っています。そうした乳製品乳酸菌飲料を普段から摂っておくことも悪くないでしょう。

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