コレステロールを下げるヨーグルト。研究で証明された乳酸菌23種

ある程度の年齢になってくると、健康診断で「コレステロールの値が高いですね、気をつけて下さい」と言われ、落ち込む人が増えてきます。

もともとコレステロール自体は身体に無くてはならない栄養素ですし、それをヒステリックに敵視する必要はありません。一方で、やはり多すぎる血中コレステロールは動脈硬化に繋がりますから、そこそこの数値に抑えてはおきたいものです。

そこで、乳酸菌食品にコレステロール低減効果を期待できないのか、そこから見て行きましょう。

特定の乳酸菌が食べたうちの3割強のコレステロールを吸着してくれる

いきなりストレートな見出しになりましたが、実はコレステロールの菌体成分には、コレステロールを引き付け、吸着する力があるのです。

乳酸菌に吸着されたコレステロールは、腸管から吸収されにくいため、そのまま便として出ていってくれる可能性が高まります。

ちょうど、食物繊維を摂ったときと同じようなイメージですが、こちらは食物繊維のような「吸収」ではなく、「吸着」であることが判っています。

乳酸菌の菌体は電気的にコレステロールを吸着する

信州大学農学部の細野明義教授らによると、乳酸菌の菌体成分にはコレステロールを吸着する機能があると言うことです。

その研究によれば、研究に使われた23菌株の乳酸菌全てにおいて、コレステロールを吸着する能力が確認されたとあります。

もちろん菌株によってその吸着能力には差があり、ラクトバチルス属ラクティス種ラクティス亜種の3菌株と、エンテロコッカス属フェカリス種の1菌株が特に吸着能が高かったそうです。

(参照:コレステロール吸着性乳酸菌に関する研究|信州大学農学部・細野明義教授ほか)

この研究では、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの陽イオンが存在する環境では、コレステロール吸着が阻害されたとありますから、菌体成分が電荷を持っていて、コレステロールと電気的に吸着していることは間違いなさそうですね。

また、生菌・死菌の間に吸着能力の差はほとんどなかったということです。面白い研究データですので、使われた乳酸菌について、全部紹介しておきましょう。

普段よく見る物にはカッコ内に通称を示してあります。

  • エンテロコッカッス属フェカリス種リクエファシエンス亜種R-56株(フェカリス菌)
  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種ジアセチラクティス型R-43株
  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種12546株
  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種ジアセチラクティス型R-22株
  • エンテロコッカッス属フェカリス種ATCC10100株(フェカリス菌)
  • リューコノストック属メセンテロイデス種デクストラニカム亜種K-27型
  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種12007株
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種S-52株(クレモリス菌)
  • エンテロコッカッス属フェカリス種IFO12970株(フェカリス菌)
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種R-14株(クレモリス菌)
  • ラクトバチルス属プランタルム種+A16株
  • ラクトバチルス属カゼイ種シュードプランタルム亜種S-4株
  • ストレプトコッカス属サーモフィルス種3535株(サーモフィルス菌)
  • ラクトバチルス属プランタルム種04株
  • リューコノストック属メセンテロイデス種クレモリス亜種S-112型
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種R-41株(クレモリス菌)
  • ラクトバチルス属カゼイ種カゼイ亜種S-3株(カゼイ菌)
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種S-115株(クレモリス菌)
  • ラクトバチルス属プランタルム種27株
  • ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種IFO3533株(ブルガリア菌)
  • ラクトバチルス属カゼイ種シュードプランタルム亜種S-98株
  • リューコノストック属メセンテロイデス種クレモリス亜種S-54型
  • リューコノストック属メセンテロイデス種メセンテロイデス亜種IFO3426型
これはコレステロール吸着率の順に並べてあります。一番上のフェカリス菌では30.95%、一番下のリューコノストック属菌でも10.68%の吸着率があります。食べたコレステロールの1割強から3割強を吸着して排出しやすくしてくれると言うことです。

ですので、どんな乳酸菌にも、コレステロールの吸収阻害作用は期待できると考えて良いでしょう。

さらに、生菌・死菌を問わないことと、陽イオンが存在する環境は好ましくないわけですので、ヨーグルトを食前に食べることでコレステロールの吸着効果が期待できると考えられます。

もちろん胃の中は強酸性で水素イオン(陽イオン)濃度は高いのですが、コレステロールが吸収される十二指腸以降では中和されますから、心配せずに食べて下さい。

胆汁酸との関係を考えると食物繊維は二重の意味で有効

特に水溶性食物繊維はプレバイオティクスとしても働きますから、たくさん摂って欲しいのですが、野菜や果物をしっかり食べることが血中コレステロール値低減に役立ちます。

コレステロールは肝臓で胆汁酸の原料になり、十二指腸に分泌されて脂肪を消化します。その後、胆汁酸は小腸で再吸収されてコレステロールとしてリサイクルされ、肝臓で再び使われます。

この時に、食物繊維が十二指腸から小腸にあると、胆汁酸を吸収してそのまま大腸に送り込まれます。食物繊維は大腸で善玉菌のエサになりますが、大腸にはほとんど栄養を吸収する能力がないため、コレステロールは便となって出て行きます。

そうするとリサイクルされなかった分のコレステロールは、血液中から肝臓に補充されて新たな胆汁酸の原料になります。その結果、血中コレステロール値は下がるということになるのです。

このように、野菜や果物の食物繊維は、コレステロールを吸着する善玉菌のエサになると同時に、腸の中でコレステロールを原料に作られた胆汁酸をリサイクルさせずに捨てる役目も持っています。

ヨーグルトはもちろんのこと、野菜や果物もしっかり食べてくださいね。野菜については一日に自分の握りこぶし4個分、果物はその半分強ぐらいのボリュームを食べるのが適量です。もちろん両方とも食べるんですよ。

乳酸菌がコレステロールを物理的に吸着するというのは面白いですね。吸収させずに排泄というと食物繊維のイメージが強かったので、これは意外でした。

non-HDLコレステロール値を下げて動脈硬化予防するヨーグルト

コレステロールと中性脂肪は、どちらも脂質異常症関連の数値として上がってくるので、密接な関係があるのかと思いきや、実は微妙な関係なのです。

中性脂肪の値とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値は連動せず、それぞれが動脈硬化などの病気のリスクファクターなのです。

そして、中性脂肪とHDLコレステロール(善玉コレステロール)とは、逆相関(片方が上がるともう一方が下がる)と言う関係にあります。

2017年6月末に改定された動脈硬化予防ガイドライン

これまで、動脈硬化の予防のために示されていた血中脂質の数値は

  • HDLコレステロール
  • LDLコレステロール
  • トリグリセライド(中性脂肪)

の3つでした。皆さんにもおなじみだと思います。

それに対して、2017年6月末に改定された動脈硬化予防ガイドラインでは「non-HDLコレステロール」と言うものが設定されています。

実はこれまでLDLコレステロールの値は計算で求められていることが多かったため、中性脂肪の値が高いとLDLコレステロールの値が実際より低く算出される傾向があったのです。

そこで、総コレステロールからHDLコレステロールの値を引いただけのnon-HDLコレステロール値と言うものが評価対象とされました。

non-HDLコレステロール血症と判断されるのは値が170mg/dL以上、境界域型は150mg/dL~169mg/dLとされています。今後健康診断や病院での検査項目に加わると思います。

non-HDLコレステロールとLDLコレステロールの違い

LDLコレステロールは直接測定することも可能なのですが、ほとんどの医療機関・検査機関においては総コレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪の値から計算で割り出しています。

その際には、LDLコレステロール値=総コレステロール値-( HDLコレステロール値+中性脂肪値/5 )と言う計算式を用いています。

この時、総コレステロールが220mg/dLであり、HDLコレステロールが58mg/dLである2人の人がいたとして、中性脂肪が正常値の100mg/dLの人ではLDLコレステロール値が142mg/dLとなって高LDLコレステロール血症と診断されます。

一方、中性脂肪が145mg/dLと言う、正常値ではあるものの高トリグリセライド血症ぎりぎりの人では、LDLコレステロール値が133mg/dLとなり、脂質異常症ではないという診断になってしまいます。

これでは診断と治療の方向性を誤る可能性が出るということで、上の例で言うとシンプルに220mg/dL-58mg/dL=162mg/dLで境界域型non-HDLコレステロール血症として、生活習慣の改善指導などを行おうということになったのです。

雪印メグミルク・恵ヨーグルトは中性脂肪を減らす

機能性表示食品の届け出を行っている、雪印メグミルクの恵ヨーグルトには、内臓脂肪を減らす効果が示されています。機能性関与成分はラクトバチルス属ガッセリー種SBT2055株(通称:ガセリ菌SP株)10億個です。

▼雪印メグミルク・恵ヨーグルト
恵ヨーグルト商品イメージ

内臓脂肪が減るということはとりもなおさず体内の中性脂肪を減らすということですから、血中脂質の状態も改善するでしょう。

中性脂肪が減るとHDLコレステロール値を下げている要素が減りますから、善玉コレステロールが増えます。善玉コレステロールが増えることで悪玉コレステロール値もnon-HDLコレステロール値も下がります。

総コレステロール値が同じでも、病気のリスクが下がるということになるのです。

身体全体の健康状態がコレステロール値に影響する

コレステロールは、特に病的な状態を指摘されていない限り、ヒステリックに下げる必要はありません。食べ物からのコレステロールを極限まで減らしても、人間の身体は皮膚や肝臓でコレステロールを必要なだけ量産します、

その結果、食べたいものも我慢しているのに、思ったほど下がらないという現象が起こります。逆に、健康な人では食べ物からのコレステロールが多くなると、体内での合成をお休みして体内のコレステロール値を一定に保ちます。

ですから、血液検査で異常を指摘されるのは、何らかの病的な要因があると考えたほうが良いでしょう。その要因には家族性と言う、遺伝的要因が絡むものもあります。

お酒の飲み過ぎが、血中脂質の異常をもたらすことはよく知られていますね。脂っこいものばかり食べるのも良くありません。

そうした悪い生活習慣に対して、乳酸菌が効くだろうとヨーグルトを食べても、正直なところ効果は期待できないでしょう。まずお酒を減らし、野菜や果物を毎日しっかり食べた上でヨーグルトを食べて下さい。

乳酸菌やヨーグルトはお薬ではありません。生活習慣によって不調が現れた身体は、生活習慣の改善を行わないと治らないと意識して下さい。

コレステロール値改善にヨーグルトを上手く利用する方法

血中脂質の常識として、コレステロールの食べ過ぎがLDLコレステロールを増やすというものがありますが、自分ではそんなに脂っこいものばかりを食べていることはないと思っている人も多いと思います。

そういう人は、毎食前にヨーグルトを食べてみてはどうでしょう。最初に紹介したとおり、乳酸菌の菌体成分がコレステロールの吸収を阻害して、LDLコレステロールの値を下げてくれる可能性があります。

中性脂肪が多かったり、HDLコレステロールが少なかったりする人は、まずお酒を止めて下さい。お酒は非常に激しく中性脂肪の値を跳ね上げますから、お酒を飲んでいる限り、食べ物でこれを改善することはできません。

甘いものが大好きな人は、お菓子をすべてフルーツヨーグルトに置き換えて下さい。これだけでかなり中性脂肪値が下がるでしょう。できればプレーンヨーグルトにフラクトオリゴ糖で調味したものがおすすめです。

中性脂肪が減れば、HDLコレステロールは自然と増えます。HDLコレステロールについては運動も有効ですよ。

そして、繰り返しになりますが、悪い生活習慣を残したままでは、乳酸菌も力を発揮できないということを、強く意識しておいて下さいね。

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