水切りヨーグルトのメリット。わざわざ選ぶ理由は栄養・効果でわかる

水切りヨーグルトとしても知られる濃厚な味わいのギリシャヨーグルトですが、日本でも随分一般化してきたように思います。

このギリシャヨーグルトとはどんなもので、どんなメリットのある乳製品なのでしょうか。

普通のヨーグルトとは何が違うのか、そして食べることで得られるメリットとデメリットについて見てみましょう。もちろん使われている乳酸菌の種類や効果についてもお話します。

ギリシャヨーグルトとは「水切りヨーグルト」のこと

市販のプレーンヨーグルトでも、買ってきて1日ぐらい冷蔵庫の中で静かにおいておくと、上にヨーグルトから分離した水が溜まっていることがありますね。

これを乳清(ホエイ)といいますが、このホエイを遠心分離や自然滴下で濾し取った、残りの固形分をギリシャヨーグルトと呼んでいます。名前の通り、ギリシャで一般的に作られているヨーグルトです。

ヨーグルトを水切りしてギリシャヨーグルトを作ってみよう

ギリシャヨーグルトは家庭でも簡単に作れます。市販の400g~450gのプレーンヨーグルトのフタを外し、ペーパータオルなどでフタをして輪ゴムで止め、適当な液受けの上にひっくり返して置いておくだけでOKです。

3時間から半日も置いておけば、良い感じのギリシャヨーグルトができます。硬さは水切り時間で調整しましょう。長時間しっかり水切りをするなら、バウンティのように、洗って再利用できるくらい強いペーパータオルが破れにくくておすすめですね。

あるいは、ヨーグルトメーカーの容器の中にセットできる水切り器も販売されています。私はこれを利用しています。冷蔵庫の中でかさばらずに水切りできるので便利ですよ。1~2人前程度の少量を作るのなら、コーヒーのペーパードリッパーも便利です。

水切りヨーグルトの作り方動画のキャプチャ画像
(出典:タニカ電器公式「すばる屋」・自家製・水切りヨーグルトの作り方)

溜まった乳清は、甘みを付けて水や炭酸で割って飲んでも美味しいですし、そのまま煮込み料理のベースに使ってもコクが出ます。たんぱく質やミネラルと、ある程度の乳酸菌生成物が入っていますから、捨てるのはもったいないです。

一方、入浴剤や化粧水に使う人もいるようですが、個人的には良くないと思っています。効果もリスクも、大規模研究による裏付けがない以上推測に過ぎませんが、雑菌繁殖の問題や酸による皮膚への刺激はリスクになりえます。

また、保湿成分の大半はギリシャヨーグルトの方に残っている可能性が高いので、飲むのならともかく、外用で美容的効果はあまり期待できないんじゃないかと思います。

ギリシャヨーグルトはしっかり食べごたえのある、濃厚な味わいが魅力です。ナッツやシリアルをふりかけて食べても美味しいですよ。

ギリシャヨーグルトの一番の利点は濃厚さ

ギリシャヨーグルトはホエイを取り除いたヨーグルトだということになると、そのメリットはどこにあるのでしょう。それは何と言ってもその濃厚さにあります。

元のヨーグルトに差がなくても、水分を減らすことで栄養分が濃縮されます。ホエイにもたんぱく質やミネラルなどは出ていますが、圧倒的に水分の多い液体です。つまり、ギリシャヨーグルトは栄養が詰まった食べ物になっているということです。

少食な人ほどギリシャヨーグルトを利用したい

ヨーグルトの400gパックを一食分と信じて疑わない健啖家の方の場合、美味しさ以外では、ギリシャヨーグルトのメリットは少ないんじゃないかと思います。

逆に、少食で100g食べるのがやっとだけれど、たんぱく質などの栄養をしっかり摂りたいと願っている人に、ギリシャヨーグルトはぴったりの乳製品と言えるでしょう。

例えば、ここに雪印メグミルクのナチュレ恵プレーンヨーグルト400gパックがあったとします。

雪印メグミルクのナチュレ恵プレーンヨーグルト400gパック商品イメージ

これを水切りして250gにした時、摂れる栄養がどのくらい変化するかを見てみましょう。少食な人を意識しての計算ですから、75gあたりで計算します。

三大栄養素とミネラルについては、水切りをする時にそれぞれ10%がホエイに移行するとします。残りの重量が水分ということですね。

ヨーグルト75gあたり 元のヨーグルト 水切りヨーグルト
エネルギー 47.25kcal 68.04kcal
たんぱく質 2.70g 3.89g
脂質 2.33g 3.35g
炭水化物 3.90g 5.62g
ミネラル 0.12g 0.17g
水分 65.78g 61.80g

このようになりました。75gと言うのはよく売っている4連パックのヨーグルト1パック分です。これなら少食の人でも食べやすいでしょう。そして、水切りをしてギリシャヨーグルトにするだけで、あの小さなパック1個でたんぱく質が1g以上余分に摂れるのです。

ギリシャヨーグルトに対する考え方はメーカーによって異なる

上で、雪印メグミルクのナチュレ恵を例に出したのには理由があります。実は、三大乳業メーカーで2017年7月現在、ギリシャヨーグルトに相当するものをリリースしていないのは雪印メグミルクだけだからなのです。

2015年にはラクトコッカス属ラクティス種をスターターに使った濃密ヨーグルトをリリースしていましたが、現在はラインナップに載っていません。また公式サイトでは水切りヨーグルトのレシピを掲載して、そちらへ誘導しているようです。

一方、森永乳業は「パルテノ」シリーズ、明治は「高密度ギリシャスタイル・明治ブルガリア濃くておいしいヨーグルトシリーズ」を発売しています。

ところが、この2つはそれぞれのメーカーのヨーグルトを単純に水切りしたものではありません。美味しさを追求するために、それぞれの姿勢がはっきり現れています。上と同じように栄養素で比較してみましょう。

サイズはギリシャヨーグルトが実際に発売されている重量で表示しています。比較対象はそれぞれのメーカーの代表的ヨーグルト製品です。まずは森永乳業から。

ビヒダスBB536とパルテノ商品イメージ

ヨーグルト100gあたり ビヒダスBB536 パルテノ
エネルギー 65kcal 100kcal
たんぱく質 3.7g 9.9g
脂質 3.1g 4.8g
炭水化物 5.5g 4.2g
ミネラル 0.17g 0.13g

このように、ギリシャヨーグルトのパルテノでは、たんぱく質の含有量が突出して多くなっており、脂質も増えています。一方、炭水化物やミネラルは、ビヒダスヨーグルトのほうが多いという意外な結果になっています。

これはやはり「栄養の凝縮」と言うことに重きをおいて、乳たんぱくをしっかり濃縮したのでしょう。脂質もそこそこ増やしていることでコクのある食味を得ているのだと思います。

一方、ミネラル分が少ないのは、濃縮することでミネラルが増えると食感にざらつきが出ることを嫌った可能性が高いです。一方、炭水化物が少ないのは少し気になりますね。

炭水化物には乳糖だけでなく、免疫賦活効果が期待できる乳酸菌の菌体成分である細胞壁多糖や菌体外多糖も含まれますので、ちょっと残念な感じがします。

明治は食味優先で脂質を増やしている

明治の代表的なヨーグルトを比較してみましょう。「明治ブルガリアヨーグルトLB81」と「高密度ギリシャスタイル・明治ブルガリア濃くておいしいヨーグルト」です。

明治ブルガリアヨーグルトLB81と高密度ギリシャスタイル・明治ブルガリア濃くておいしいヨーグルト商品イメージ

ヨーグルト85gあたり ブルガリアヨーグルトLB81 濃くておいしいヨーグルト
エネルギー 53kcal 119kcal
たんぱく質 2.9g 5.6g
脂質 2.6g 8.4g
炭水化物 4.5g 5.2g
ミネラル 0.14g 0.25g

このように、おおむね「高密度ギリシャスタイル・明治ブルガリア濃くておいしいヨーグルト」のほうが2倍の栄養素に凝縮されているイメージがありますが、乳脂肪だけは3倍以上になっています。

おそらくもともと乳脂肪の多い牛乳を使ったか、生クリームやバターの添加が行われているのでしょう。

これはギリシャヨーグルトには食味の良さを最優先で求めているからだと思われます。

また、これは私の個人的な推測ですが、明治はイギリス式を選んだ印象があります。イギリスではギリシャで作られたもの以外に「ギリシャヨーグルト」の名前を付けられません。

アメリカでは「ギリシャヨーグルト」と呼ばれているものが、イギリスで売られているものには「ギリシャスタイルヨーグルト」と表記されているのです。

また、CODEX規格にあるヨーグルトの規定に、ブルガリア菌とサーモフィルス菌を使っていることというのがありますが、明治はこれを売りにしている会社ですね。

さらに、CODEXでは「乳脂肪が10%以下であること」と言う規定もあります。85gのヨーグルトに8.4gの脂質ですから、乳脂肪分は9.9%ですね。こうしたことを意識しているように見受けられます。

明治は食味優先、森永乳業は栄養優先、そして雪印メグミルクは自分でアレンジしてくれという基本姿勢を持っているようですね。

乳酸菌の種類は普通のヨーグルトと変わらない

ギリシャヨーグルトだから特別な乳酸菌を使っているということはありません。ヨーグルトの基本であるブルガリア菌やサーモフィルス菌、ビフィズス菌などで作ったヨーグルトの水分を切ったものです。

こってりした味わいやクリームチーズのような食感から、レンネット(凝乳酵素)を使っていると思われることもありますが、レンネットはチーズ作りのときにしか用いません。

チーズ香がするギリシャヨーグルトもありますが、それは発酵にラクトコッカス属ラクティス種など、チーズスターターにも使われる乳酸菌を使っているからだと思われます。

ギリシャヨーグルトは、普通の乳酸菌の効果が期待できて、なおかつ少量で三大栄養素を摂りやすい濃厚なヨーグルトだと覚えておいて下さい。

個人的な好みを言わせてもらうと、夏のギリシャヨーグルトはちょっとヘビーな感じがします。冬場にこたつでぬくぬくしながら、フルーツソースでもかけたギリシャヨーグルトを食べるのがいいですね。

ギリシャヨーグルトは国際規格ではヨーグルトではない

食品の国際規格であるCODEXにおいて、ヨーグルトの定義の中に「ホエイを取り除いてはならない」と言うものがあります。ですので、ギリシャヨーグルトはヨーグルトではなく、あくまで「ギリシャヨーグルト」または「ギリシャスタイルヨーグルト」だと表記されています。

日本の発酵乳の規定にはそうしたルールがありませんから、ギリシャヨーグルトも発酵乳・ヨーグルトとして販売することに問題はありません。

ヨーグルトは牛乳に含まれる乳糖という炭水化物に乳酸菌が働いて、乳酸を中心とした有機酸を作り出し、液体が酸性になることで牛乳の中のカゼインというたんぱく質が固まったものです。

ですので、水分量については、牛乳とプレーンヨーグルトはまったく同じ量含まれているのです。それに対してギリシャヨーグルトでは水分量が半分近くに減ったものもあります。

ただ、この水分量については、どの程度水切りをするかによってかなりの幅が出ますから、一概には言いにくいです。メーカーによる製品では、価格や食感を意識してさまざまにコントロールしているようですね。

既に英米ではギリシャヨーグルトが主流

現在イギリスやアメリカでは、市販のヨーグルトの多くをギリシャヨーグルトが占めています。もちろん「普通の」ヨーグルトもありますが、ギリシャヨーグルトしか知らない人も少なくないようです。

以前、英語圏の掲示板サイトRedditで、日本に住んでいるアメリカ人が「日本ではヨーグルトのフタの裏をなめる必要がないんだぜ」と言う、短い動画を添えた投稿をしたのを見かけました。

日本の食べきりサイズのヨーグルトのフタの裏には特殊加工がしてあって、ヨーグルトがくっつかないということに驚いて投稿したようでした。投稿ではグリコの朝食プロバイオティクスマンゴーヨーグルトが写っていました。

ところが、それに対して「なんで日本のヨーグルトはそんなに柔らかいんだ」とか「ヨーグルトはそもそもひっくり返してもフタにくっつかないだろう」とか言うレスが付いていたのです。

英米ではギリシャヨーグルトが普通になっているので、「ヨーグルトが流れる」と言う感覚がない人も多くなっていたようです。もちろん、知っている人は「日本のヨーグルトのほうが普通だよ」とレスしてました。

それだけ英米ではギリシャヨーグルトが主流になっているのでしょうね。確かに「飲み物と食べ物の中間的な位置にいるヨーグルト」より「食べ物として存在感のあるギリシャヨーグルト」の方が人気なのは何となく判ります。

ギリシャヨーグルトを食べることについて、デメリットと呼べるのはカロリーだけでしょう。同じ重さであれば、水分が少ないので、それだけ高カロリーになります。
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