市販の乳酸菌入りお菓子を効果とともに紹介

”乳酸菌入りのお菓子”というと、例えばフルーツヨーグルトや乳酸菌飲料などもそのジャンルに含まれるでしょう。しかし、今回はヨーグルトや乳酸菌飲料以外のお菓子の話題です。

よく見回してみると、意外に乳酸菌入りのお菓子ってあるんですよ。しかも最近になって作られたものばかりじゃなく、とても長い歴史を持つお菓子もあるのです。

乳酸菌入りのお菓子、ビスコは80年のロングセラー

圧倒的な歴史を誇るのが、グリコのビスコです。

▼ビスコ シリーズ

詳しいことは不明ですが、昭和初期に開発された段階では酵母による発酵を用いたビスケットだったようですね。略して「酵ビス」がひっくり返って「ビス酵」→「ビスコ」となったそうです。

戦時中から戦後の一時期、生産が中止されていましたが、1951年に生産が再開されています。そこから現代までのどこかで乳酸菌が配合されるようになったのでしょう。

ビスコに使われているのはスポロ乳酸菌

スポロと言うのは胞子のことです。つまり胞子を作る乳酸菌ということなのですが、実はこのことがちょっと引っかかる部分でもあるのです。

乳酸菌の定義にはいくつかの条件がありますが、その中に「芽胞(胞子)を作らないこと」というのがあるのです。まぁ、乳酸菌という名前自体が一般名称で、あまり厳密なものではないからOKと言うことにされたのでしょう。

ほかの乳酸菌と区別するために、有胞子乳酸菌などという呼び方をされていることもあります。ところが、これは他の条件さえ満たしていれば、乳酸菌としては優秀な機能とも言えるのです。

乳酸菌は多くが胃酸によって殺菌されてしまいます。しかし、有胞子乳酸菌は殺菌される直前に胞子を作り出してから死にます。この胞子は酸にも熱にも、場合によっては抗菌薬にも強いので、そのまま腸に送りこまれます。

腸は弱アルカリ性なので、胞子はそこで発芽して再び乳酸菌に戻るというわけなのです。ですから、ビスコの乳酸菌は、生きて腸まで届く乳酸菌と言って良いでしょう。

ビスコの乳酸菌はバチルス属コアギュランス種

一般に有胞子乳酸菌として製品化されているのは、バチルス属コアギュランス種と言う細菌です。バチルス属ですから一般的な乳酸菌とは異なります。枯草菌(納豆菌)や炭疽菌などの仲間です。

この菌は1949年に山梨大学の中山大樹博士によって、発芽中の大麦(緑麦芽)から分離された菌です。その昔はラクトバチルス属スポロゲネス種に分類されていましたが、有胞子性という特徴などから、現在はバチルス属に分類され直しています。

国際細菌命名規約に基づく正式菌名リストの2017年4月版には、バチルス属コアギュランス種の亜種は登録されていませんので、複数の菌があったとしても菌株違いと言うレベルでしょう。

この菌自体は三菱ケミカルフーズによってラクリス-Sと言う商品名で、食品メーカーなど向けの商品として販売されていますから、こうしたものを利用した商品もあるでしょう。

ビスコについては、このラクリス-Sを利用しているのか、グリコが自社で菌株を保有しているのかは不明です。なお「ラクリス-10」は動物の飼料用なので、この乳酸菌株を「ラクリス」だけの名前では呼ばないほうが良いです。

ビスコに含まれる乳酸菌はそれほど多い数ではない

ビスコ5枚に含まれる乳酸菌の数は1億個です。日本での発酵乳や乳製品乳酸菌飲料の基準である1gあたり1000万個に照らすと、ヨーグルト小さじ2杯分程度の乳酸菌数ですね。

しかも、ビスコは5枚で20.6g(スタンダード)から22.4g(小麦胚芽入り)くらいありますので、実質ヨーグルトの半分未満の乳酸菌数ということになります。

一方、常温で保存できて1年くらいの賞味期限があるというのは、大きなメリットです。さらに、キャラクターであるビスコ坊やのイメージ通り、幼児に安心して与えられるお菓子の形を取っているのが素晴らしいですね。

スポロンの乳酸菌は有胞子性ではない

グリコの製品なので、ここでついでに紹介しておきますが、乳酸菌(殺菌)の清涼飲料水であるグリコ・スポロンは、その名の通り胞子が関係するものです。しかし、スポロ乳酸菌を使っているわけではなくて、ケフィアを利用しています。

ケフィアは一般的な胞子を作らない乳酸菌の複数種と、サッカロマイセス属セレビシエ種などの酵母による共生発酵でできた発酵乳です。酵母は胞子を作りますから、そこからスポロの名前を冠したのかもしれません。

ケフィアグレイン(種菌)には、カスピ海ヨーグルトでおなじみのラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種(通称:クレモリス菌)のほか、植物性乳酸菌として知られるラクトバチルス属プランタルム種の乳酸菌も含まれています。

さらにリューコノストック属やカゼイ菌などさまざまな乳酸菌が含まれていますが、いずれも胞子は作りません。

昔には「グリコ・スポロガム」と言う、すごく甘ったるいガムもありましたが、これにはどちらが入っていたのでしょうね。

明治ヨーグレットもなかなか長寿の乳酸菌のお菓子製品

明治製菓のヨーグレットは1979年の発売ですから、ビスコよりは歴史が浅いですが、それでも40年近い歴史を誇るロングセラーですね。

▼ヨーグレット
ヨーグレット商品イメージ

紙箱入りですが、箱の中身はブリスターパックされた、大きな錠剤様のタブレット菓子です。

そう言えば、駄菓子をテーマにしたアニメで、昔の子供はこれをお薬に見立てて、お医者さんごっこのアイテムとして利用したと言うエピソードがありました。私はやった記憶が無いですけどね。

健康に役立つことを意識したお菓子

ヨーグレットはカルシウムを含有栄養成分として、栄養機能食品の表示を行っています。そして、公式サイトではカルシウムと並んでビフィズス菌を配合していることを強調しています。

残念ながら、栄養機能食品の含有成分表示が認められているのはビタミンとミネラルだけですので、乳酸菌類を表示できませんから、サイトでアピールしているのでしょう。

現物には原材料名のところにビフィズス菌が表示されています。しかし、実際にはビフィズス菌だけではないと思われます。というのも、原材料名の先頭には砂糖・濃縮ヨーグルトと書かれているからです。

タブレット菓子ですから整形の都合などで、砂糖が最も多くなるのは仕方ありませんね。砂糖は乳酸菌やビフィズス菌のエサになりますから歓迎なのですが、ビフィズス菌は通常大腸に棲んでいるため、砂糖をエサにできる恩恵にはめったに浴せません。

砂糖は小腸で分解され、人間が先に吸収してしまうからです。なので大腸に棲むビフィズス菌は、人間が消化できない食物繊維などを苦労して分解し、ブドウ糖に変えてから栄養として使っているのです。

もし、砂糖をエサにできる幸運な乳酸菌がいたとしたら、それは小腸に棲むガセリ菌ぐらいだと思います。それも人間とエサの取り合いをしながらですから、実際には人間が消化できないオリゴ糖などを分解して使っていることが多いでしょう。

そして、2番めに多いのが濃縮ヨーグルトです。ヨーグルトは多くの場合ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種(通称:ブルガリア菌)とストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)による発酵で作られます。

菌体成分による健康効果を狙った製品

このようにヨーグレットには、濃縮ヨーグルトに由来する乳酸菌2種類以上と、後から配合されたビフィズス菌1種類以上が配合されているものと思われます。ビフィズス菌についてはビフィドバクテリウム属ということだけで種までは判りません。

特に乳酸菌やビフィズス菌を保護するような工夫について言及されていませんから、乳酸菌はヨーグルトを濃縮する際に死んでいる可能性もあります。ビフィズス菌もおそらく菌末として配合されているでしょう。

もし生菌のままだったとしても、胃酸によって殺菌されることはほぼ確実です。

しかし、乳酸菌類の免疫賦活効果は、菌体成分が人間の免疫組織に触れることで発生しますから、生菌・死菌にかかわらず効果が期待できます。むしろ死菌のほうが効果が高いというケースもあるぐらいなのです。

あとはどのくらい乳酸菌が含まれているかですが、これは公開されていませんので判りません。それほど多くないかもしれませんが、子供に与えるお菓子としては悪くないでしょう。

もちろん大人が自分で食べても良いですよ。砂糖菓子ですから、歯磨きは忘れないでください。

1箱18粒入りで110kcalですから、禁煙したい人の口寂しさをまぎらわずアイテムとして良いかもしれませんね。

ポテチで有名な湖池屋はユニークな商品を発売している

面白いネーミングやCMで、ユニークさでは他の追随を許さない湖池屋ですが、主力商品のスナック菓子とは別に乳酸菌タブレットも製造販売しています。

さらに季節限定ですが、花粉症対策を意識した乳酸菌スナックもリリースしています。

乳酸菌LS1はお菓子というより舐めるサプリメント

湖池屋はスナック菓子の専業メーカーのイメージが強く、実際にこの「乳酸菌LS1」と言うストレートなネーミングの商品4種類以外は、すべてスナック菓子がラインナップされています。

▼乳酸菌LS1
乳酸菌LS1商品イメージ

この乳酸菌LS11は90粒入り(およそ30日分)6130円と、完全にサプリメントの価格帯です。メーカーサイトを見ると、就寝前に1粒でも良いようですから、90日分とすればそれほど高価ではないですけどね。

この、アメのように舐めるお菓子サプリには、ラクトバチルス属サリバリウス種TI2711株(通称:乳酸菌LS1)が、製造時において1粒あたり2億8000万個含まれています。

この乳酸菌LS1は、口の中でとどまり歯周病菌と競合することでこれを抑制する乳酸菌です。ですので、歯周病や口臭の予防に役立つというわけです。

この菌は口の中で働くことを期待されているので、胃で殺菌されることを心配する必要はありませんし、生きて腸まで届く必要もありません。

製品としての乳酸菌LS1には、ハイドロキシアパタイトと言う、歯の表面の再石灰化に役立つ成分も配合されています。一部の高級歯磨きに含まれる成分ですね。

乳酸菌入りポリンキーは季節限定商品

ポリンキーはいわゆるコーンスナックです。三角形のユニークな形のスナック菓子ですが、これに乳酸菌を配合した製品が2017年2月にリリースされました。

現在ラインナップからはずれているため、湖池屋さんに問い合わせしたところ、この商品は2017年5月中旬にすでに製造終了、今後も再販の予定などはない、とのことでした。

▼乳酸菌ポリンキー 発酵バター味 ※現在は製造終了しています
乳酸菌ポリンキー商品イメージ

使われている乳酸菌はコンビ株式会社が製品化している、エンテロコッカス属フェカリス種EC-12株(通称:乳酸菌EC-12)をポリンキー1個、約0.8グラムに3億個以上も配合しているのです。

乳酸菌EC-12は免疫機能の調整によるアレルギーの改善効果が期待されています。なので、花粉症シーズンにだけ発売されたのかもしれません。

今年度の売上実績にもよるのでしょうが、もしかすると2018年以降の花粉症シーズンにも登場するかもしれませんね。

1gあたり5兆個!?超高密度乳酸菌を実現したコンビ

さて、乳酸菌がお好きな方なら、ちょっと疑問に思われたかもしれないことが2つあります。1つは0.8gあたり3億個以上という乳酸菌の密度です。ヨーグルトでは最少で0.8gあたり約800万個、多くてもせいぜい1億個です。

特に高密度の高価な乳酸菌飲料では0.8gあたり7.2億個と言うものがあるにはありますが、コーンスナック菓子の価格のレベルではありません。

さらにもう1つの疑問は、コーンスナック菓子と言えば高温の油で揚げたり、ノンフライでも高温で焼成していますね。どうやって乳酸菌を維持しているのでしょう。

この乳酸菌EC-12はフェカリス菌ですから、菌体が小さいため同じ重量であればたくさんの菌数を含められます。そして、実はこの菌は菌体成分に効果があるため、死菌のほうが有利なのです。

このため、菌メーカーのコンビでは、この菌を殺菌して菌体成分のみを凝縮し、1gあたり5兆個と言うとんでもない密度を実現しているのです。

すでに死んだ菌の菌体を凝縮してあるので、菌を殺さないように気を使う必要はありません。菌体成分が壊れない程度であれば高熱調理が可能なのです。しかも、コンビは製品化された後の菌数をカウントするツールを供給しています。

1gで5兆個と言うことは、3億個なら60μg(マイクログラム:100万分の1グラム)ですから、0.8gのスナック菓子に含まれていても、全く気付かれないレベルです。

花粉症がスナック菓子で改善できるとあれば、大喜びでお求めになる人も多いでしょう。2018年以降もリリースされるといいですね。

他にも乳酸菌菓子は増えてきている!ちょっと紹介しましょう

やはり乳酸菌に注目が集まったせいでしょうか、有名メーカーが次々に乳酸菌入りのお菓子をリリースしてきています。

ここではいくつかの有名メーカーの商品を紹介して、今回の締めくくりにします。またユニークな商品が発売されたら、別の記事で紹介することにします。

たべるマスクに配合されているのはシールド乳酸菌と言うちょっと格好いい名前

シールドは盾という意味です。免疫力を強化して、病気から身体を守るという意味合いで2016年9月に森永から発売された「たべるマスク」と言う商品に、3粒あたり100億個配合されています。

▼たべるマスク
たべるマスク商品イメージ

この菌はラクトバチルス属パラカゼイ種MCC1849株です。この「たべるマスク」発売前には、「M-1株」や「モラック乳酸菌」の名前で呼ばれていました。

この菌の効果は、こうした免疫賦活効果が期待できる乳酸菌でよく見られる「生菌・死菌を問わず効果がある」と言うもので、実際の動物実験でも死菌の菌体成分が投与されて結果が得られています。

免疫賦活効果が期待できるものですから、風邪のシーズンに入る前から日常的に摂っておくと良いでしょう。一気にたくさん食べても効果は変わりません。1日3粒でいいと思いますよ。それより欠かさず続けることです。

あのパインアメの会社からも乳酸菌アメが販売されている

パインアメで知られるパイン株式会社からも「乳酸菌10億個」と言う、湖池屋に負けないストレートなネーミングの商品が発売されています。

▼乳酸菌10億個
乳酸菌10億個商品イメージ

そして、配合されている菌は、ポリンキーに使われた方の乳酸菌EC-12です。花粉症シーズンに人気が集まりそうですね。

アメ1個2.4gに乳酸菌EC-12が10億個に加えて、ビフィドバクテリウム属ロンガム種BR-108株(通称:ビフィズス菌BR-108)1億個も配合されています。

このビフィズス菌BR-108もコンビの製品で、殺菌した菌体成分での配合です。そしてさらに、このアメにはイソマルトオリゴ糖が15㎎とわずかですが配合されています。

これらの成分は、腸の中に住み着いている善玉菌を増やす効果もありますので、良いお菓子だと言えるでしょう。

この他にもサクマ式ドロップスの佐久間製菓やカバヤ、メイトー、さらにはオフィスコーヒーのユニマットからも製品が出ているようですね。

チョコレートの脂肪分を利用した生菌保護機能で注目されている乳酸菌入りチョコレートについては、別の記事にまとめましたのでそちらをご覧下さい。

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このように、手軽に食べられるお菓子を利用して乳酸菌を摂るということは良い手法だと思います。

特に、死菌の菌体成分を利用した免疫賦活効果を狙うのに、お菓子は使いやすいアイテムですね。

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