おならがよく出る!乳酸菌による整腸作用で止められる?

おならがよく出るとか、おならが止まらないとか言った場合、ちょっと滑稽に聞こえる部分もあるのですが、当の本人にとっては結構深刻な問題であったりします。

おならというのは突然もよおして、我慢するのが難しいこともある厄介なものです。腸の中にある気体がおならとなって出てくるわけですから、乳酸菌の力で何とかできないものでしょうか。

全く無理というわけではありませんが、残念ながら乳酸菌による働きだけでおならを抑制するのは、ちょっと難しい部分があるのです。


腸内環境を整えればましになるかも知れないけどちょっと難しいかも

ひどく遠回りな見出しですが、これには理由があります。それはおならの成分がどのような由来を持っているかに関わる話です。

実はおならのガスのうち、腸の中で作られているものは、全体の1割程度にすぎないのです。ですから、仮にそれが3倍に増えたとしても、おなら全体の量は1.2倍にしかなりません。

呑気症はげっぷだけでなくおならも増やす

腸内で作られるガスに対して、食べ物や飲み物と一緒に、消化管に飲み込まれる空気は、おなら全体の90%くらいを占めています。ですから、おならの量や回数を減らすのであれば、まず飲み込む空気の量を減らしたほうがずっと効率的なのです。

この他、少量ではありますが、血液中に分散した二酸化炭素などが腸に出てくることもあるかもしれませんが、ほぼ無視できる範囲でしょう。

ものを食べたり飲んだりすると、必ずその際に空気を一緒に飲み込みます。それがげっぷとなって全部出てくれば良いのですが、必ず一部は飲食物と一緒に腸の方へ送り込まれて行きます。

その空気は、腸で吸収され肺から排出されるのですが、一部は吸収されずに残ってしまい、最終的にお尻から臭いや音とともに出てくるわけです。

この部分は、乳酸菌ではどうしようもありません。そもそも乳酸菌は通性嫌気性菌、ビフィズス菌は偏性嫌気性菌ですので、空気がない方が良いのです。乳酸菌はともかくビフィズス菌は食べ物と一緒に空気を送り込まれると弱るかもしれませんね。

ビフィズス菌以外の乳酸菌はおならを増やす?

乳酸菌の乳酸発酵には、大雑把に分けて3通りがあります。1つはホモ乳酸発酵と言うもので、グルコース(ブドウ糖)1分子(炭素数6個)から乳酸2分子(炭素数3個×2)を作り出す発酵です。

もう1つはビフィズム経路と呼ばれるもので、グルコース2分子(炭素数12個)から乳酸2分子(炭素数3個×2)と酢酸3分子(炭素数2個×3)を作り出します。この発酵はビフィズス菌が行っています。

そして、問題は最後の1つヘテロ乳酸発酵です。ビフィズス菌の発酵もヘテロ型ですが、乳酸菌ではグルコース1分子(炭素数6個)から乳酸1分子(炭素数3個)とエタノール(炭素数2個)と二酸化炭素(炭素数1個)ができるのがメジャーです。

つまり。グルコース1分子を発酵すると二酸化炭素(気体)が1分子できてしまうのです。

とは言え、ヘテロ乳酸発酵を行った場合でも、出てくるのは二酸化炭素で水によく溶けますから、ほとんどは腸で吸収されて血流に乗り、肺から呼気として出て行くでしょう。

乳酸菌だけでなく、腸内細菌の中には炭水化物を栄養として利用し、二酸化炭素を作ってしまうものもありますが、おならの量を増やすほどではないと思います。

1/3の人がメタンガス産生菌を持っている

おならというとメタンガスを想像する人も多いと思いますが、実はメタンガスを含むおならをする人のほうが少数派なのです。

メタンガスはメタン産生菌という古細菌によって腸の中で作られます。このメタン産生菌が属する古細菌という分類は、乳酸菌や結核菌や腸管出血性大腸菌O157など私たちに馴染みの深い真性細菌とも、人間やカビが属する真核生物とも異なる、全く別の分類です。

このメタン産生菌は、反芻動物の腸に棲みついていて、牛や羊のげっぷが地球温暖化に悪影響を及ぼすと言われている理由の一つになっています。

しかし、人間の場合も、1/3程度の人の大腸に棲みついているとされています。メタン産生菌は、腸内善玉菌が作り出した有機酸から得られる水素によって、二酸化炭素を還元してメタンを作り出すのです。

このメタンは、比較的大腸の後半部分で作られるようで、おならとして出てくることもあります。おならが燃える原因ともされていますね。とは言うものの、おなら全体で見た場合、それほど大量に見られるものでもありません。

このように、おなかの中で発酵が進んでガスが増えるという現象は、なくもありませんが、空気を飲み込みすぎることに比べるとそれほど影響力のあるものでもないのです。

おなら、つまり異常発酵はさまざまな原因で起こる

それでも、お腹の調子が悪くておならの量が増えるという現象は誰にでも起こり得ます。腸の中では様々な細菌が食べ物や老廃物を発酵させていますが、何かのはずみで二酸化炭素や水素、メタンなどを普段より多く発生させてしまうのです。

一方、硫化水素やアンモニアなどと言ったガスは、それ自体でおならの量がはっきり増えるほど作られると、毒性物質だけに危険ですし、そこまでの量は作られないでしょう。

こうした有毒なガスはおならの臭いの原因でもありますが、おならの臭いについては別の記事に詳しいので、そちらを見て下さい。

おならが臭い!その悩みを原因から解決してくれる乳酸菌がある

食物繊維のとり過ぎでおならが増えることはある

有名なところではおからを食べ過ぎるとおならが増えるということがあります。これは経験則で、古くから言われてきたことなのですが、ちょっとおもしろい情報があります。

古典落語の貧乏長屋の話で「お金がなくて、おからばっかり食べているから、おならがやたらと出る。しかもろくな物を食べていないから臭いもしない。」と言うものです。特定の落語ではなく、貧乏長屋ものではよく使われるくだりです。

臭いもしないと言うことは、腸の調子がよく、悪玉菌による腐敗がないということです。たんぱく質が豊富なおからを食べても、それは小腸で充分消化吸収されていて、悪玉菌のエサにもなっていない、つまり、腸の状態は悪くないということです。

一方、おからに含まれる食物繊維のうち96%以上が不溶性食物繊維ですので、腸内細菌によっても分解されにくいものです。もちろんセルラーゼという酵素を持つ細菌には、不溶性食物繊維も分解されますが、その量はそれほど多くありません。

ですので、食物繊維の発酵によるガス発生量もそれほど多くないでしょう。ですから、これはあくまで可能性の話ですが、おからはほとんど噛まずに食べられる柔らかい食品なので、空気を一緒に飲み込む量が多いのかも知れません。

そして、消化されない食物繊維によって、大腸に運ばれる空気の量も多くなっている可能性もありますね。つまり、100g中11.5gと食物繊維が豊富なおからは、おならを出やすくする可能性があるということです。

栄養不足になったバクテロイデス属細菌がおならを増やす

バクテロイデス属細菌は、いわゆる日和見菌であり、腸内細菌の中で最も優勢なグループの一つです。この菌は、乳酸菌と同じようにオリゴ糖や単糖類と言った炭水化物を栄養にして生きています。

バクテロイデス属細菌は、栄養になる炭水化物が豊富にある環境では、それを代謝して酢酸とコハク酸を作り出しますが、炭水化物が不足してくると、そのコハク酸を脱炭酸してプロピオン酸にする代謝でエネルギーを得ます。

この際に脱炭酸していることから、二酸化炭素がガスとして発生してしまいます。バクテロイデス属細菌は不溶性食物繊維を栄養に使えませんので、オリゴ糖や水溶性食物繊維が少なく、不溶性食物繊維が多くなると二酸化炭素を大量に作り出すことになります。

つまり、不溶性食物繊維が多く、腸内細菌にとって栄養となりにくいものが増えると、腸内細菌の中で最優勢な日和見菌がおならの量を増やしてしまうことになります。

この時に、いくら乳酸菌をたくさん食べても、かえって栄養の取り合いになってしまうだけなので、あまり効果は期待できないだけでなく、むしろ逆効果になるかもしれません。

ですから、バクテロイデス属細菌が栄養として使いやすいフラクトオリゴ糖を、プレバイオティクスとして積極的に摂ると、コハク酸の脱炭酸が減りますので、おならの量が減ってくれる可能性があります。

悪玉菌が活発に活動するとおならが増える?

よく悪玉菌が活動的になって、腸内異常発酵が起こるとおならの量が増えるといいます。これはもちろん正しいのですが、悪玉菌ばかりでなく日和見菌も異常発酵の原因になる可能性はあります。

数多くの種類の菌が棲んでいる腸の中ですから、どの菌がどのようにガスを作り出しているのかは、その時の状況によってまちまちだと考えられます。

しかし、普段はそれほどガスを作り出していないのに、ある時多くなったというのは、何らかの変化があったということですね。そこで、それを元に戻してやるために乳酸菌を摂ることは有効かもしれません。

乳酸菌は腸内環境を酸性に傾けることで、善玉菌であるビフィズス菌を活性化します。ビフィズス菌は先にお話した通り、二酸化炭素を出さずに乳酸と酢酸を作り出す発酵で腸内環境を改善します。

このことが何らかの原因で起こっている異常発酵を抑制し、おならの量を減らしてくれる可能性はあるので、乳酸菌はどんどん摂ってOKです。

腸の中のガスについては水素も作り出されますが。次の項目で水素を作り出す腸内細菌についても少し触れてみましょう。

おならを減らすには食べ方に注意したほうが効率的

このように、腸の中で発生するガスによって増えるおならの量というのは限定的です。それよりも、食べ方飲み方に注意して、胃腸に送り込まれる空気の量を減らした方が効率的におならを減らせます。

ポイントは「よく噛むこと」です。よく噛んでゆっくり食べることで、食べ物に混じり込んでいる空気の量を減らせます。また、少量ずつ食べることでも空気の量は少なくなります。

さらに、飲み物では「のどをごくごく鳴らして飲む」と言うのは、空気を激しく飲み込んでいる状態です。たまにはいいでしょうけれど、おならの量が気になる人は避けておいたほうが無難ですね。

ガスを発生させる日和見菌

腸内細菌の中で日和見菌に分類されるプレボテラ属細菌は、食物繊維を代謝する能力が高く、酢酸やコハク酸を作り出しますが、その際に水素を発生させる菌です。

水素産生菌の代謝は、メジャーなものとして、食物繊維から切り出したグルコース(ブドウ糖)と水から、酢酸と二酸化炭素と水素を発生させるという経路があります。

プレボテラ属細菌はビフィズス菌と同じ偏性嫌気性菌なので、酸素が最も少ない大腸の中に棲んでいます。そしでビフィズス菌は代謝の際にほとんどガスを出しませんが、プレボテラ属細菌は水素と二酸化炭素という2種類のガスを発生させます。

さらに、メタン産生菌が棲み着いている人の場合、この水素で二酸化炭素を還元してメタンを発生させ、酸素を遊離させることもあります。いずれもおならとなり得るガスですね。

肥満がおならを増やすこともある

このプレボテラ属細菌は、普通体重の人より、肥満の人の腸に多く棲んでいることが判っています。さらに、メタン産生菌も肥満者に多く見られるようです。

つまり、肥満の人はおならが多いということですね。ですので、おならを減らすという意味でも普通体重のレベルにまで体重をコントロールしましょう。

BMI<25.0kg/cm2のレベルでOKです。くれぐれも「やせ」のレベルにまで体重を落とさないよう注意して下さい。BMI≦18.5kg/cm2の、やせの人は最も短命であることが判っています。

肥満の人に糖尿病の人が多いのは、こうした腸内細菌叢の影響も考えられるという報告もあるんですよ。

乳酸菌が活躍できる部分は少ない

このように、腸内環境を整えるという意味では乳酸菌が活躍できても、おなら自体は飲み込んだ空気によるものが大半なので、あまり活躍できません。

また、プレボテラ属細菌は常在の日和見菌で、自身が有機酸を作り出しますから、乳酸菌によって抑えることも難しいです。

ですから、おならを減らしたいのであれば、呑気症と肥満につながる早食いを止めるのが一番でしょう。

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