ヨーグルトとオリーブオイルの組み合わせは乳酸菌にとっていい?悪い?

乳酸菌による発酵食品も、オリーブオイルも、いずれも健康に役立つものであることはもはや常識です。ではそれを組み合わせた場合どうなるのでしょうか。

乳酸菌は炭水化物をエネルギー源にしているので、ほぼ脂質だけのオリーブオイルとはあまり関係しないようにも思えますね。逆にオリーブオイルに含まれる刺激性物質が、乳酸菌を殺さないかということも気になります。

でも、意外にこの組み合わせ、悪くないんですよ。詳しく見てみましょう。

リスクを減らしてくれるかも?オリーブオイルとヨーグルトの組み合わせの是非

オリーブオイルには独特の味と香りがあります。品種によっては強い辛味や苦味を持つものも少なくありません。こんなに強い刺激があるのなら、バイキンも乳酸菌も死んでしまいそうだと思うかもしれません。

しかし、こうした刺激成分で乳酸菌が死滅してしまったり、効果が失われてしまったりすることはありません。

オリーブオイルの味の成分には抗酸化作用がある

オリーブオイルにはおよそ200もの微量成分が含まれています。そのうちの主に2つの刺激成分が味と効能を決めていると言ってもいいでしょう。

いずれも苦味と辛味を持っていますが、主に辛味が目立つオレオカンタールと、主に苦味が目立つオレウロペインです。

いずれも抗酸化作用を持つ有用物質です。オリーブの木が害虫にかじられないように、体内で作っている物質ではないかと考えられています。しかし、特に抗菌効果などは知られていません。

ですので、ヨーグルトと一緒に摂っても乳酸菌を殺してしまったりすることはないでしょう。むしろ、推測の話ですが、これらの物質の強力な抗酸化作用が、活性酸素を取り除いてくれることで、乳酸菌への悪影響を避けられるかもしれません。

活性酸素から乳酸菌を守る

体内の活性酸素は、主に細胞の中でエネルギー代謝を行う際の副産物としてできる場合と、白血球などの免疫細胞が病原菌を取り込んで、それでもなお増殖しようとする病原体を殺菌するために作り出す場合の2通りがメジャーな発生要因です。

活性酸素は生き物にとって有害ですので、体内で発生したらすぐにそれを分解する働きがあります。例えば、エネルギー代謝で最初に発生するスーパーオキシドアニオンと言う活性酸素があります。

これはスーパーオキシドディスムターゼ(略号:SOD)と言う酵素によって分解されます。このSODの名前はサプリなどでよく知られていますね。SODの働きで分解されたスーパーオキシドアニオンは過酸化水素になります。

実は、過酸化水素も活性酸素の一つなのです。強い殺菌力を持っているので、2.5%~3.5%の水溶液は日本薬局方オキシドールと言う名前の消毒薬になっています。おなじみの消毒薬ですね。

白血球などが作り出す活性酸素も、この過酸化水素です。過酸化水素はカタラーゼという酵素で水と酸素に分解され無害化されます。傷口にオキシドールを付けると泡が立つのは、傷口にあるカタラーゼの働きで酸素が出ているからなのです。

もちろん体内で発生した過酸化水素もこのようなメカニズムですぐに分解されるのですが、その前に乳酸菌が過酸化水素に出会ってしまうと、殺菌されてしまう可能性があります。

乳酸菌が乳酸菌である条件の1つに、「カタラーゼを持っていないこと」と言うのがあります。つまり、乳酸菌は自分では過酸化水素を分解できないのです。

もちろん腸内細菌のビフィズス菌もカタラーゼは持っていません。腸内に定着しているビフィズス菌は、免疫寛容と言って免疫細胞に攻撃されることはありませんが、偶発的に過酸化水素に出会ったら死にます。

ですので、抗酸化物質は、腸内の善玉菌が殺されてしまうリスクも減らしてくれる可能性があるのです。

活性酸素の話題は、それだけでサイトが1個作れるぐらい膨大になります。でも、ポイントは1つで「いかに早く無害化するか」ということなんですよ。

油脂としての部分はあまり影響しない

オリーブオイルは味に特徴が出る程度の不鹸化物(純粋な脂肪ではないもの)を含んでいます。しかし、栄養成分分析では100.0%が脂質となっていますから、99.95%以上が純粋な脂肪であると考えて良いでしょう。

乳酸菌と脂質という2つのものについては、最近少し研究が進んではいるものの、今のところ直接的な関係はほとんど知られていません。油と一緒に乳酸菌を摂ることが良いのか悪いのかは未知数の部分が多いのです。

ヨーグルトを考えると油と乳酸菌の組み合わせは問題ない

ヨーグルトには3%程度の乳脂肪が含まれています。近頃では、カロリーを気にする人向けに低脂肪・無脂肪のヨーグルトもありますが、長い間人々の健康を支えてきた、伝統的なヨーグルトには乳脂肪がしっかり入っています。

乳脂肪は脂肪球と呼ばれる小さなボールになって水の中に分散しています。これと、たんぱく質のカゼインミセルが光を乱反射するため、牛乳は白い不透明の液体に見えるのです。

ミルクの脂肪球は動物の種類や、同じ動物でも個体によってさまざまな大きさがあります。そして、牛の他、羊や山羊、水牛のミルクでもヨーグルトはできます。

このことから、乳酸菌の働きについて、乳脂肪の質にはあまり左右されないと考えられます。ですので、ヨーグルトと同時に摂った油脂についても、乳酸菌の働きには大きく影響しないと考えて良いでしょう。

乳酸菌がリノール酸からオレイン酸を作る?

リノール酸は必須脂肪酸であると同時に、一般的な食用油に広く存在している関係から、過剰摂取による炎症の発生など、さまざまな問題が指摘されています。

一方、オリーブオイルの脂肪酸組成はオレイン酸が中心になっていることから、リノール酸の過剰摂取を防ぐ意味からも、植物油をオリーブオイルから摂ることが推奨されています。

一般的な脂肪酸は、炭素が鎖のように一列に繋がり、ムカデの足のように1個の炭素には2個の水素がくっつけるようになっています。そして、片方の端では3つ目の水素がくっついて末端処理されています。

反対側はカルボキシ基と呼ばれるもので末端が処理されていて、この部分が変化することで他の物質と結びつくことができます。

この中で、炭素の数が18個であるものが、私たちの食生活を考える際によく出てきます。先にお話ししたムカデの足のようにくっついている水素が、完全に埋まっている場合を飽和脂肪酸と言います。炭素数18の場合、これはステアリン酸です。

これに不飽和化酵素が働いて水素が3つくっついている側の端から数えて、9番目と10番目の炭素にくっついている水素を1個ずつ引き剥がして、炭素同士の結合を2重にしたものをω9不飽和脂肪酸と言います。炭素数18の場合、これがオレイン酸になります。

人間もこの不飽和化酵素を持っていますので、オレイン酸は必須脂肪酸ではありません。

そして、オレイン酸に別の不飽和化酵素が働いて、水素が3つくっついている側の端から数えて、6番目と7番目の炭素にくっついている水素を1個ずつ引き剥がして、炭素同士の結合を2重にしたものをω6不飽和脂肪酸と言います。

これがリノール酸です。人間はこの不飽和化酵素を持っていませんので、リノール酸はこの酵素を持つ植物などから摂らないといけない必須脂肪酸です。

同じ要領で、リノール酸からさらに別の酵素によって、3番目と4番目の間に不飽和結合が作られたのがω3不飽和脂肪酸で、αリノレン酸と言う名前です。えごま油で有名ですね。これも必須脂肪酸です。

このように生き物の身体の中では、飽和脂肪酸から不飽和化酵素によって別の脂肪酸が作られてゆくのが一般的なのです。ところが2013年に新発見がありました。

京都大学農学部大学院の研究グループによると、乳酸菌がリノール酸に働いてω6位の不飽和結合を飽和化することでオレイン酸を作り出すことが見つかったということです。

ここでポイントになるのは、その過程でできる中間体物質に、さまざまな生理活性があるものが見つかったということです。例えばひまし油に構造が似た水酸化脂肪酸も見つかっています。

あるいは一時期脂肪肝などに効果があるとして人気になった、トマトジュースに含まれるオキソ脂肪酸も、この過程で作られています。

(参照:乳酸菌の新たな脂肪酸代謝 -機能性脂肪酸生産と腸管内脂質代謝制御への展開-|京都大学大学院農学研究科・岸野重信博士ほか)

ここでは食用油に最も広く分布するリノール酸が対象になっていますが、不飽和脂肪酸であれば、どの脂肪酸に対しても色々な働きが期待できますし、不飽和脂肪酸の中でも身体への害が懸念されるトランス型脂肪酸の問題解決にも繋がるかもしれません。

上の不飽和脂肪酸の説明の中でω3・ω6・ω9の3つを紹介しましたが、ほかの位置で不飽和結合ができる場合もあるんですよ。例えばω7で炭素数18のバクセン酸は、牛乳に含まれる天然のトランス型脂肪酸です。

害はないとされていますが、牛乳や乳製品にはこのバクセン酸が含まれていますから、ヨーグルトはその僅かな懸念を打ち消してくれるかもしれませんね。

今のところ、これを応用した医療や食品づくりという話は見つかりませんでしたが、おそらくそう遠くない将来にはこれも活用されることでしょう。

なお、この研究で使われたのはラクトバチルス属プランタルム種のいくつかの菌株です。よく植物性乳酸菌と呼ばれているものの一つです。

身体の中で乳酸菌が脂肪酸を代謝していたと言うだけでも驚きなのに、普通とは逆のプロセスをたどっていたとは、びっくりしちゃいますね。

ヨーグルトとオリーブオイルと言えば便秘解消

ヨーグルトもオリーブオイルも便秘解消を期待して食べられることの多い食物です。どちらにも便秘に対する効果は期待できますから、どうぞそのまま摂り続けて下さい。

上で紹介した研究にあるひまし油といえば伝統的な下剤ですから、便秘解消に役立つ部分はこのあたりにも隠れていたのかも知れません。さらに乳酸菌を摂る理由が増えましたね。

そして、一般的な植物油全体にその原料になる成分は含まれているものの、多すぎるとトラブルの原因になるので、少量含まれているオリーブオイルが良いんじゃないでしょうか。

ただ、どちらも味や匂いが苦手という人が少なくありませんね。美味しく感じながら食べないと長続きしませんから、工夫して摂って下さい。

乳酸菌については好みの製品を見つけるといい

無調味のプレーンヨーグルトでも、メーカーや製品ごとに味と匂いに随分個性があります。ですから、自分が嫌な匂いだと感じるものは避けても良いでしょう。

フルーツヨーグルトなどのデザート系ヨーグルトは、ちょっと割高ですが食べやすくていいですね。わずかながらフルーツの食物繊維も期待できます。

ヨーグルトの匂いが苦手な人は、自分で調味するのもいいですよ。好みのドライフルーツを刻んでプレーンヨーグルトに入れ、よく混ぜて冷蔵庫で1日寝かせると美味しいフルーツヨーグルトができます。

フレッシュな物が良い場合は、甘みの強いフルーツにはそのまま、酸味の強いフルーツにはフラクトオリゴ糖などで甘みをつけたヨーグルトをかけると、贅沢で美味しいデザートができます。

夏場なら、甘みをつけて冷凍庫で凍らせ、フローズンヨーグルトにすると匂いが気にならなくなります。凍らせる前にバニラエッセンスを入れておくという手もあります。

さらに、甘みをつけたヨーグルト100gに牛乳やミネラルウォーター100mLを加えてよく混ぜ、冷たいドリンクとして飲むのも匂い対策になります。

ただし、冷たい飲み物として摂りすぎると、便秘が悪化する場合もありますから注意して下さい。その場合は逆に人肌程度のホットヨーグルトがおすすめです。

ホットヨーグルトは、匂いが気になる人にはちょっと厳しいかもしれませんので、カラメルシロップやメープルシロップなど、甘い香りのシロップを加えると良いでしょう。

オリーブオイルは信頼できるエクストラバージンを選ぶ

オリーブオイルの香りが苦手と言う人に数多く出会ってきましたが、ちゃんとしたオリーブオイルを食べてもらったところ、ほとんどの人が「美味しい」と言ってくれました。

もちろん、それでもあまり好きじゃないという人もいました。それでも「悪い香りじゃないのは判るけど好みには合わない」と言う程度には判ってもらえます。

好みに合わない場合はどうしようもないので、オリーブオイルを常食するのはお勧めしません。好みにあわないのに毎日食べるのはストレスになりますし、ストレスは便秘の原因になりかねません。

そこで、オリーブオイルの探し方ですが、これが割合難しいんです。例えば、通販などで高級オイルを買えば、かなりハズレをつかむ確率は減ります。しかし、高価すぎるんですよね。

個人的には500mL入り1瓶1500円~2500円程度のエクストラバージンが最もコストパフォーマンスがいいと思っています。

そして、これも個人的な意見ですが、普通の食品スーパーにおいてあるものは、正直言って、価格帯にかかわらずハズレをつかみやすいです。容器はガラス製の遮光瓶か缶入りを選んで下さい。ペットボトルは最悪、無色のガラス瓶も避けたほうが賢明です。

少し価格的に高めのものが多くなりますが、オリーブオイルの専門店を探して店頭で買うのも良い方法です。政令指定都市レベルの大きな街ならたいてい1軒や2軒はあるでしょう。

そうした大きな街まで行くのが大変な人は、通販を利用するのが良いと思います。

私がいつも買っていたのは、イタリアのシチリア島産の500mL入り2400円のものです。過去形で書いているのは、最近値段が3000円に上がってしまったからなんです。

例えば、1瓶3000円のエクストラバージンだとしても、500mLならスプーンにくっつくロス分を差し引いても、大さじ30杯分以上入っています。大さじ1杯100円ですね。一日に使う金額としては許容範囲じゃないでしょうか。

大さじ1杯でおよそ125kcalですから、その程度の量を野菜にかけて食べるのが良いでしょう。私は体重が気になるぐらいオリーブオイルをよく使うので、値上がりはちょっと厳しいです。

安価で美味しいオリーブオイルというと、イタリアのシチリア島やスペイン、トルコ、ギリシャの地中海沿いの地方と言うことになるのですが、先にも書いた通り、最近EUの方では不作だとか、オリーブ生産国の経済状況だとかの影響で、ちょっと高騰気味なんですよね。

そこで紹介したいのはアメリカはカリフォルニア州のオイルです。カリフォルニア・オリーブランチと言う搾油所のアルボサーナ種が、1瓶1500円~1600円程度で買えます。3本くらいまとめ買いすれば日本まで送料無料です。

“Arbosana California Olive Ranch iHerb”で検索してみて下さい。アメリカのサイトでも日本語で買い物できますし、送ってくるのは佐川急便の国際便です。

味と匂いについては、好みで決まるので難しいんですよね。でも日本のヨーグルトはどれも美味しいですし、オリーブオイルはちゃんとしたものを選べば、それほど高価でなくても美味しいのが買えるんですよ。

ヨーグルトとオリーブオイルは常備菜だと考える

このように、食用油としての部分で見ても、乳酸菌とオリーブオイルを組み合わせることは全く問題がないだけでなく、むしろ良いことではないかと考えられます。

そして、どちらもお腹の調子を整え、代謝機能にも良い影響をもたらしてくれるので、ダイエットや美容にも役立ちます。

ただし、食品である以上食べ過ぎれば太りますので、そこは意識しておいてくださいね。ヨーグルトは普通のプレーンヨーグルトなら200g食べても124kcalくらいですが、オリーブオイルは大さじ1杯で同じ程度のカロリーになります。

美味しいオイルはついついかけ過ぎてしまうので、そこは注意しておいたほうが良いでしょう。また、この2つを同時に摂る必要は全くありません。どちらも気が向いた時に、別々に摂って下さい。

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