犬や猫に与えたい乳酸菌。腸のつくりにあわせて選ぼう

ペットを飼う人はどんどん増えて、2016年の調査では犬と猫だけでほぼ2000万頭に届く勢いです。犬:猫比はほぼ1:1で、ごく僅かに犬のほうが多いようですね。

そんな中、飼育環境の多様化から栄養状態の改善を必要とするペットもいます。

それに乳酸菌を利用する場合、どのようにすればペットの健康に役立てることができるのかを見てみましょう。

動物にも乳糖不耐の個体はいるので注意!

人間でも、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいますね。

これは離乳後、母乳や牛乳などに含まれる乳糖という炭水化物を摂らなくなるせいで、それを腸で吸収できる形のブドウ糖とガラクトースに分解する、ラクターゼという酵素の活性が下がるためです。

このことはすべての哺乳動物に共通する現象で、生理的なものですから病気ではありません。そして、個体差が大きいのも種族を超えて共通すると言えるでしょう。

人間でも牛乳の1リットルパックを一気飲みができる人もいれば、カフェラッテをカップに一杯飲むだけでも下痢をする人もいます。

ヨーグルトは乳糖が減っているとは言え、ペットは身体が小さいので悪影響も出やすいから注意が必要なのです。

ラクターゼはもともと母乳を消化するための酵素

上でも触れたように、哺乳動物のお腹の中に分泌されるラクターゼという酵素は、母乳に含まれる炭水化物である乳糖を分解するためにあります。

と言うことは母乳の成分にも影響されるところがあると考えて良いでしょう。

実は、人間の母乳は他の哺乳動物の物に比べて、乳糖の割合が非常に高いのです。人間の母乳の場合、水分を取り除いた乾燥重量のおよそ60%が乳糖でできています。

それに比べると、牛乳は40%くらい、犬や猫の乳の場合は20%未満に過ぎません。ですから、人間はもともと乳糖の代謝能力が高い動物だと考えても良いでしょう。

肉食動物である犬や猫は、母乳中の乳糖が少ないこともあって、それほど乳糖の代謝能力が高くなくてもいいわけですから、牛乳を飲むと下痢をしてしまう可能性が高くなるのです。

逆に言うと、ヨーグルトを食べさせても下痢をしない個体の場合、カロリーオーバーにならなければ、ヨーグルトなどの乳製品を与えても特に問題はないと思います。

ヨーグルトは乳糖少なめの食品なので与えても問題なさそう

日本食品標準成分表2015年版(七訂)を見ると、100gあたり普通牛乳には4.4gの乳糖が含まれていますが、全脂無糖のプレーンヨーグルトには2.9gしか含まれていません。約1.5倍の差ですね。

もちろん製品によって差が出ますが、大まかに言って牛乳の1.5倍までなら乳糖不耐の症状が出ないと考えて良いでしょう。

ただ、ヨーグルトは酸味が強いので、多くの動物は嫌う傾向があります。これは、酸味を帯びた食べ物は腐敗していると感じるためのようですね。

しかし、犬や猫は嗜好品的な食べ物の味を楽しめる能力を持っていますから、好んで食べるようであれば、たんぱく質の吸収もいいので、ヨーグルトを与えても問題はないでしょう。

与えるときは体重比で考えて下さい。体重60kgの人間が75gのパックを食べるのに相当する量として、体重10kgの犬なら小さじ2杯、体重4kgの猫なら小さじ1杯くらいまでにしておきましょう。

チーズは避けたほうが安全

乳酸菌発酵食品と言えばチーズもメジャーな存在ですが、動物に与えるにはあまり良いものではありません。それは塩分の関係です。犬や猫は体重あたり人間の1/3の塩分しか必要としません。

例えば、体重60kgの成人の塩分摂取量を7gとした場合(※)、体重10kgの犬は約0.39g、体重4kgの猫は約0.22gになります。

6Pチーズ1切れのサイズ(18g)に含まれる塩分量を見た場合、プロセスチーズで0.5g入っています。6Pチーズ一切れで、犬の塩分としては1.3日分、猫の場合2.3日分に相当します。

ですから、塩分を含んだチーズを与えると、塩分過剰になってしまうのです。塩分をほとんど含まないものとしてリコッタやモツァレラ、マスカルポーネなどがありますが、こちらはやや乳糖多めになるので難しいです。

具体的にはモツァレラで同じサイズであれば、塩分は0.04gですから、犬に1ピース、猫に0.5ピースぐらいなら許容範囲です。もちろん他のエサからも塩分を取っていますから注意して下さいね。

それでも、特に犬はチーズが好きな個体が多いので、与える際には慎重に考えてやって下さい。塩分の少ないチーズを少量与えるのであれば、特に問題はないでしょう。

また、モツァレラは弾力性が強いので、喉に詰めないよう、細かく切ってやったほうが良いかも知れません。犬や猫は食べ物を引きちぎる力は強いですが、細かく噛み砕く力はそれほど強くありません。

(※:世界保健機関WHOは1日5gを推奨しています。7gは日本の基準です。)

その他の発酵食品は原則避けた方が良い

犬は雑食能力を身に付けていますし、「ねこまんま」と言って、昔は鰹節や味噌汁をかけたご飯を与えていたこともありましたから、猫に炭水化物を与えても全く消化できないわけではありません。

しかし、学問的な分類を見ると、犬は「ネコ目イヌ科イヌ属タイリクオオカミ種イエイヌ亜種」、猫は「ネコ目ネコ科ネコ属ヤマネコ種イエネコ亜種」です。このネコ目と言うのは、昔「食肉目」と呼ばれていたグループです。

つまり、犬や猫は肉食獣だということで、消化器官も植物性のものを消化するのには、どちらかと言うと不向きにできています。

ですから、例えばすぐれた働きを持ち、生きて腸まで届きやすい植物性乳酸菌が摂れるからと言って、犬や猫に漬物を与えてはいけません。もちろん塩分の面から見ても動物の健康を害してしまいます。

もちろん醤油や味噌も塩分の問題がありますし、酒粕の場合はアルコールも害になります。乳酸菌発酵ではありませんが、納豆も食物繊維が犬や猫に害になる可能性があります。

ですので、人間が食べるもので犬や猫に乳酸菌を与えるのであれば、下痢をしないことを確認した上で、甘味のないヨーグルトを与えるのが良いでしょう。
犬は甘いものを喜びますが、猫はあまり甘味を感じ取りません。虫歯の原因になりますから、甘みのあるヨーグルトは避けましょう。

人間と犬や猫ではそもそも腸内フローラが異なる

腸内フローラが異なると言っても、人間が食べている乳酸菌が、犬や猫にとって病原菌になるという意味ではありません。同じような菌は犬や猫にも棲んでいます。

しかし、どんな菌が支配的であるかということについては、菌種を超えて、属レベルで違う菌が支配的になっているぐらい腸内フローラの構成が異なるのです。

犬や猫ではビフィズス菌は脇役

人間の腸内細菌の約20%が善玉菌と呼ばれる、人間にとって好ましい働きを持つ菌です。そのうち99.9%までがビフィズス菌です。

一方、犬にとって支配的な善玉菌は乳酸桿菌、つまりラクトバチルス属を中心としたグループで、猫にとって支配的な善玉菌はエンテロコッカス属の腸球菌です。

いずれも人間にも棲んでいる菌ですが、腸の中での占有率が違うというわけです。

面白いことに、人間でも犬でも猫でも、年をとってくると、クロストリジウム属の悪玉菌が増えてくることが共通しています。近年は高齢のペットも増えているので、腸内環境にも気を配ってやりたいですね。

このように、腸内フローラについて、人間とは全く異なる状況にある犬や猫ですので、人間に有効なプロバイオティクスが、必ずしも犬や猫に役立つとは限りません。

菌自体が害になることはないでしょうが、食べ物の質によっては害になり得ますから注意が必要なのです。

プレバイオティクスも要注意

食物繊維や一部のオリゴ糖は人間でも消化できませんから、摂りすぎると下痢をすることがあります。しかし大腸に棲んでいる大量のビフィズス菌が、それを栄養として使ってくれるので大抵の場合問題にはなりません。

一方、犬や猫も、腸内細菌として食物繊維やオリゴ糖を処理できる乳酸桿菌や腸球菌と言った善玉菌が棲んでいますから、ある程度は善玉菌のエサになって犬や猫の健康に役立つでしょう。

しかし、もともと肉食獣である犬や猫は人間ほど腸が長くありません。腸が短いということはそれだけ腸内細菌も少ないということですし、腸内細菌がそうした難消化性炭水化物を処理できる時間も短いということになります。

ですから、単純に体重比で考えて、人間と同じようにプレバイオティクスとなるものを与えると、犬や猫では下痢をしてしまう可能性があります。

ペットフードなどに配合されているものを与える場合でも、便の様子をよく見てやって、下痢をしていないかを確認しておくことが大事になるのです。

肉食獣は、基本的に肉ばっかり食べていても大丈夫な消化管の構造を持っています。ですので、無理に雑食動物の人間に合わせるのは良くないのです。

【商品紹介】ペットフードに配合された乳酸菌を利用しよう

動物と人間では腸内環境が異なりますから、犬や猫に乳酸菌やそのエサになる、プロバイオティクス・プレバイオティクスを与える場合は、やはりペットフードに配合されたものを利用するのが安全でしょう。

しかし、安価なものでは必ずしも充分な研究がなされているとは限らず、単純に人間用のものを量を変えて配合しただけという可能性もあります。

どのメーカーが信頼できるかというのは一概に言えませんので、やはりいずれであっても、初めて与える時は体調に変化が現れないかを注意深く観察してやって下さい。

日清ペットフードは研究熱心

先に、犬や猫の腸内細菌叢は人間と異なると言ったことや、犬や猫も老齢になると、人間と同じようにクロストリジウム属の悪玉菌が多くなると言った情報は、東京大学大学院などと日清ペットフードとの共同研究によるデータです。

ペットフード業界には大手が何社かありますが、こうした研究はそんなに多くありません。

そこで、日清ペットフードの商品を探してみたところ、乳酸菌やオリゴ糖を配合した商品が見つかりました。乳酸菌は「有胞子性乳酸菌」とありますので、おそらくバチルス属コアギュランス種のものではないかと思われます。

三菱ケミカルフーズが「ラクリス-10」として飼料用に商品化しています。人間用のラクリス-Sの姉妹製品ですね。これなら胞子の形で胃酸のある環境を通過できますから、動物の種を問わず生きて腸まで届けることができます。

もちろん腸内細菌ではありませんから定着することはないでしょうが、悪玉菌を減らし善玉菌を増やす効果や、免疫細胞の活性化を通じて犬や猫を感染症から守ってくれる効果もあるでしょう。

ボディケアと言う考え方のキャットフード

特に日清ペットフードを推す訳ではありませんが、やはり研究熱心なメーカーですから、乳酸菌入りの商品を知りたいという人のために商品を紹介しておきます。

▼JPスタイル 和の究み 小粒・1歳からの成犬用|日清ペットフード
JPスタイル和の究み小粒・1歳からの成犬用商品イメージ

例として1歳からのものを紹介しますが、年齢別に子犬用から老犬用までラインナップされています。

▼JPスタイル 和の究み トータルボディケア・1歳からの成猫用|日清ペットフード
JPスタイル和の究みトータルボディケア1歳からの成猫用商品イメージ

こちらも子猫用から老猫用までラインナップがあります。

有胞子性乳酸菌は、人間用にも使われていますが、人間用と飼料用に分かれているところが安心感をもたらしてくれますね。

ペット用サプリもあるがペットが好むかどうかを見極めて

探してみたところ、いくつかペット用の乳酸菌サプリもありましたが、無理強いして摂らせないようにしてくださいね。食べ物でストレスを与えることは、かえってペットの健康を損ないます。

餌を正しく与えていれば、ペットにサプリは必要ないことが多いです。獣医さんと相談してから与えるのも良い方法だと思います。

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