プロテインで下痢や便秘に…効果的な乳酸菌が入ったヨーグルトはこれ!

筋肉を付けるためにプロテインを利用している人も多いと思います。そうした人の中には、プロテインを摂り始めてから下痢や便秘といった消化器症状に悩んでいる人もいるようですね。

なぜこのような現象が起こるのか、また下痢や便秘といった消化器症状であれば、乳酸菌飲料やヨーグルトなどで対策できるのか。メカニズムを含めて考えてみましょう。

たんぱく質は悪玉菌の栄養になりやすい!プロテインは腸を壊す?

結論から言うと、プロテインを摂ったタイミングで発生する下痢や便秘は、プロテインを摂ったことが原因ではなく、何かの食べ物をプロテインで置き換えたことが原因です。

プロテインはかなり高純度のたんぱく質ですね。高純度のたんぱく質は腸の中で腸内細菌の栄養となり、菌体成分を作ると同時にエネルギーとして利用されるのです。

腸内細菌も生き物ですから、たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素やビタミンを使って生きています。乳酸菌の話題などで「乳酸菌は食物繊維を栄養に乳酸を作る」と聞くと、脂質やたんぱく質が要らないように聞こえますが、決してそんなことはありません。

乳酸菌はエネルギーを得るために炭水化物を利用しますが、菌体成分を作るには三大栄養素すべてが必要になるのです。例えば、細菌の最も外側にある莢膜と呼ばれる部分は、多糖類やポリペプチドでできています。つまり炭水化物やたんぱく質ですね。

その内側にある細胞壁はペプチドグリカンという、やはり炭水化物とたんぱく質でできた膜ですし、さらに内側の細胞膜は主にリン脂質でできています。つまり菌体の外側部分だけでも三大栄養素は必須なのです。

ただ、細菌は非常に小さな生き物で、しかも単細胞生物ですから、動物のように食べ物をバリバリ食べるわけではありません。それどころか、たんぱく質や食物繊維を菌体内に取り込む能力もないのです。

そのため、例えばたんぱく質の場合、ペプチターゼと言う消化酵素を菌体外に分泌し、菌体の周囲にあるたんぱく質をペプチドやアミノ酸にまで分解してから、菌体表面にある受容体で取り込むという活動をしています。

こうして取り込まれたアミノ酸などは、乳酸菌などのいわゆる善玉菌では、菌体を維持し、分裂増殖するための材料として使われますが、ウェルシュ菌などの悪玉菌ではエネルギーの取り出しにも利用されます。

エネルギー代謝にアミノ酸が使われると、その代謝産物としてアンモニアやインドール、スカトールなどの、毒性を持つ悪臭物質が作られるのです。

よく「肉や魚に偏った食生活を送っていると腸内環境が悪くなり、便やおならが臭くなる」と言うのは、これに原因があります。悪臭物質は長期的には大腸がんの原因になるなど、腸の壁を傷めますので、こうした状態は好ましくありません。

善玉菌は炭水化物をエネルギー源にして悪玉菌を抑える

乳酸菌や酪酸菌、酢酸菌、プロピオン酸菌など、エネルギー代謝の産物として有機酸を作る細菌は、エネルギー源として炭水化物を利用します。

そして、有機酸は腸の中の環境を酸性に傾けます。大まかな数値ですが、いわゆる悪玉菌に比べて善玉菌はpHにして1.0~2.0ぐらいの差で酸性環境に強いです。この数値は、酸性の強さを表す水素イオン濃度が10倍から100倍という差になります。

つまり、善玉菌が活発に有機酸を作り出すと、悪玉菌の生育が抑えられるため、毒性を持つ悪臭物質の生成も抑えられるということになるのです。

ですから、プロテインを摂って下痢をしたり、便秘になったり、便やおならの悪臭が強くなったりしたという人は、まずプロテインを止めて、食物繊維を中心に炭水化物を摂り、ヨーグルトなどを食べてみて下さい。

その時の体調によって一概には言えませんが、早ければ2~3か月、遅くとも半年ぐらいそうした食生活を続ければ腸内環境は回復するでしょう。

摂る量としては、毎日野菜を握りこぶし4個分、果物を握りこぶし2個分と、プレーンヨーグルトで最低100gを目安にして下さい。葉野菜などかさばるものは、絞った状態でのボリュームです。

これでお腹の調子が回復したら、この野菜と果物とヨーグルトの量を維持しながら、様子を見てプロテインを再開し、徐々に量を増やしてみても良いでしょう。

お腹の調子を回復する場合は生きた乳酸菌がお勧め

もちろん死菌の菌体成分であっても、大腸の善玉菌の大半を占めるビフィズス菌を活性化する働きがあります。しかし、できれば小腸でも有機酸を作り出し、大腸でそれを栄養にしてくれる善玉菌も増やしたいところです。

ですからプロテインが原因でお腹の調子が悪くなった時には「生きて腸まで届く乳酸菌」をアピールしているヨーグルトや乳酸菌飲料のほうが効果的だと思います。

どんな商品が良いかは、一人ひとりの腸内フローラの状況によって変わるので、具体的には決めにくいです。あまり効果がないと思ったら、別の商品に替えて様子を見るということの繰り返しで、自分に合うものを見つけて下さい。

腸内フローラに対する脂質の影響は少ない

また、脂質の多少はあまり腸内フローラに影響を及ぼしません。このことは、牛乳には乳脂肪が含まれており、ヨーグルトにもそのままその乳脂肪が移行していることからも見て取れます。

さらに、悪玉菌が出すアンモニアやインドール、スカトールと言った悪臭・毒性物質にはすべて窒素が含まれています。三大栄養素のうち窒素を含んでいるのはたんぱく質だけです。(※)

ですから、脂質を多く摂ったからと言って、そうした身体に悪影響のある物質は作られにくいので、心配する必要はありません。

(※:アミノ糖やスフィンゴ脂質など、アミノ酸がからむ複合的な構造を持つ物には、炭水化物や脂質でも窒素を持つケースはあります。)

お肉ばっかり食べてる、と聞くと不健康な食事のイメージがありますが、プロテインを摂っているというのはお肉ばっかりの食事と同じ弱点を持つことがあるということです。

プロテインと一緒に乳酸菌を摂るのはむしろ好ましい

せっかくプロテインを摂っているのに、乳酸を摂ると筋肉増強効果がスポイル(台無しに)されるのではないかと心配する人もいるでしょう。しかし、これは心配には及びません。

乳酸菌はほとんどプロテインに影響を及ぼさないか、むしろプロテインの吸収効果を上げてくれる可能性があるのです。

乳酸菌はプロテインを消化してくれる

乳酸菌に限らず、多くの腸内細菌は上でお話した通り、菌体外に消化酵素を分泌してたんぱく質を分解しアミノ酸やペプチドにします。つまり、人間の消化酵素を補ってくれる部分があるということですね。

しかし、悪玉菌はそのアミノ酸などを増殖に使うだけでなく、エネルギー源として消費してしまう部分があります。それに対して、乳酸菌などの善玉菌は増殖用にしか使わないので消費量がずっと少ないのです。

さらに、人間の大腸にはたんぱく質の消化吸収の能力がありませんので、小腸で取りこぼしたたんぱく質は、悪玉菌のエサになるか便として排泄されるかと言うことになります。

乳酸菌は人の小腸で活動することも多いため、そこでたんぱく質を少しでも多く分解してもらって、小腸で吸収すれば大腸の悪玉菌のエサは少なくなります。

一方、善玉菌の大半を占めるビフィズス菌は小腸の終わりから大腸にしか棲んでいませんので、こうした働きは乳酸菌に頼まなくてはなりません。

ですので、プロテインを摂っている人が、悪玉菌の増殖を抑制するために乳酸菌製品を摂るなら、小腸にある程度居着いて活動してくれる、ヒト由来の乳酸菌が良いかもしれませんね。

ホエイプロテインやカゼインは乳酸菌が分解しやすい

私たちが乳酸菌を摂るということになると、最も多い乳酸菌源はヨーグルトのような発酵乳か、ヤクルトのような乳製品乳酸菌飲料ということになります。

この二種類の乳製品は、乳脂肪分以外の乳成分である無脂乳固形分の濃度が異なるだけで、乳酸菌や酵母の数についての規程は同じ数になっています。

とは言え、乳等省令という法的な規制では下限が決められているだけで、上限の定めはありません。ですので、ヤクルトのように法的下限の30倍以上も乳酸菌を含んでいるものもあります。

メジャーなメーカーのヨーグルトでも、菌数を公表しているものでは、大抵の場合、法的下限の10倍以上は含んでいます。

一方、一般的なプロテイン製品は、ホエイプロテイン・カゼイン・ソイプロテインの三種類が中心です。このうちソイプロテインは大豆由来ですが、あとの2つは牛乳由来です。

そういう意味からは、発酵乳や乳製品乳酸菌飲料に使われている乳酸菌が分解しやすいたんぱく質であると言えるでしょう。もちろんそれは好ましいことで、小腸でロスなく吸収しやすくなっていると考えられます。

多少は乳酸菌の増殖に使われる部分があるかも知れませんが、悪玉菌のようにエネルギーとして使ってしまうことはありませんから、消化の代行手数料だと思ってやって下さい。

プロテインの消化吸収を良くしてくれる可能性があるというのはありがたいですね。小腸で消化吸収できなかったものは、大腸で悪玉菌のエサになリます。

腸内環境を整えるならどのヨーグルトでも良い

もちろん「生きて腸まで届く乳酸菌」をアピールするヨーグルトのほうが、プロテインによって悪玉菌が増殖しやすくなっている腸内環境を整えやすいのではないかと思います。

しかし、まずは毎日ヨーグルトを100g~200g食べて、野菜と果物など水溶性食物繊維の多いものをしっかり食べましょう。ブランドを選ぶのは食べる習慣がついてからでも充分間に合います。

三大メーカーのものがおすすめ

  • 明治ブルガリアヨーグルト
  • 森永乳業 ビヒダスBB536
  • 雪印メグミルク ナチュレ恵

これらは全部「生きて腸まで届く乳酸菌」を売りにしています。

▼左から:明治ブルガリアヨーグルト、森永乳業 ビヒダスBB536、雪印メグミルク ナチュレ恵
明治ブルガリアヨーグルト、ビヒダスbb536、ナチュレ恵商品イメージ

そして、この3つを1つも置いていないスーパーやコンビニは、日本中どこにもないでしょう。腸内フローラの悪化を改善しようとするなら、ヨーグルトは毎日欠かさず摂るべきです。

そういう意味で、全国どこででも手軽に買えるヨーグルトというのは役に立ちます。もちろん、他に良いものが合ったら、それに浮気するのもOKです。

あるヨーグルトを摂ったら、絶対同じものを続けないと効果がないということはありません。大事なのは「乳酸菌」を毎日摂ることなのです。

プロテインに目を向けるならグリコの「おいしいカスピ海」

乳製品に使われる140種類あまりの乳酸菌の中で、もっともたんぱく質を分解する能力に秀でているのは、ラクトバチルス属ヘルベティカス種の乳酸菌です。しかし、この乳酸菌はチーズスターターに使われることがほとんどです。

一部に、この乳酸菌がたんぱく質を分解して作る「ラクトトリペプチド」に血圧降下作用があるとして、その乳酸菌生成物をサプリとして売っている例がありますが、生菌は含まれていません。

いわゆるスイス系チーズになら含まれている可能性はありますが、チーズの場合、菌は死んでいることが多いです。

そこで注目したいのが、ラクトコッカス属ラクティス種です。これにはラクティス亜種とクレモリス亜種が存在し、クレモリス亜種はカスピ海ヨーグルトに使われる菌です。

その中で、グリコの「おいしいカスピ海」に使われているクレモリス菌CHCC2907株は、もともとヨーロッパでチーズスターターとして利用されていた菌です。

▼おいしいカスピ海
おいしいカスピ海商品イメージ

チーズスターターに使われるということは、たんぱく質を分解する力に優れていることが予想されますので、プロテインとは相性がいいでしょう。

また、おいしいカスピ海は、クレモリス菌の相方に、標準的なヨーグルトに使われていて、増殖速度がとても早いストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)を用いていますから、整腸効果も期待できますね。

カスピ海ヨーグルトの粘りを作っているクレモリス菌の菌体外多糖は、サーモフィルス菌もついでに胃酸から保護してくれているかも知れません。

カスピ海ヨーグルトとプロテインというのもおもしろい組み合わせですね。

プロテインを身体作りに使う時には乳酸菌で内臓ケアを行おう

プロテインを使ってトレーニング効果を上げたいという人は多いと思います。しかし、身体というのは内臓がしっかりしていないと、いくら筋肉をつけても意味がありません。

ですから、悪玉菌にエサをやって終わりと言うことにならないよう、食物繊維や乳酸菌製品をしっかり摂って、内側からの身体作りにも意識を向けて下さいね。

今回の話題は、それぞれの具体的事例について動物実験や臨床試験のデータがあるものではなく、乳酸菌の研究で見つかったデータからの推定になる部分が多いことは承知して下さいね。
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