ロイテリ菌の効果は強力!虫歯菌やピロリ菌を抑制する乳酸菌

今回紹介する乳酸菌もあまり有名ではありませんが、近年注目度がアップしていているものでもあります。

20世紀初頭には発見されていた菌ですが、分類の誤りも合って注目度が低かったようです。

このラクトバチルス属ロイテリ種(通称:ロイテリ菌)は、20世紀終盤に正しく分類されたことから、一気に研究が進んだと言う経緯を持った菌です。このロイテリ菌、驚くべきことに抗生物質を作り出す能力を持っているのです。

ロイテリ菌の効果について、ちょっとみてみましょう。

ロイテリ菌は腸の不調を招かない抗生物質を作り出す

ロイテリ菌に関しては、スウェーデンのバイオガイア株式会社(BioGaia AB)が、最も進んだ研究を行っており、多くの菌株を所有しています。その中でも、特に注目されるのがDSM 17938株です。

この菌株に関しては、あとで紹介する商品にも用いられていますので、日本国内でも手軽に購入することができますから、これから人気が出てくるかもしれませんね。

抗生物質関連腸炎を抑える乳酸菌

バイオガイア株式会社によると、アメリカのヒューストンにあるベイラー医科大学の研究で、DSM 17938株は抗生物質に耐性を持った細菌を殺す力を持っていることが判明したとしています。

人間の腸に常在しているクロストリジウム属デフィシル種の細菌は、普段は特に問題を起こす菌ではありませんが、抗生物質を長期間使ったりすることで、腸内細菌叢が乱れると病原性を表します。

病原性を表したこの菌は抗生物質に耐性を持っていることが多く、治療は別の抗生物質の投与か、元の抗生物質の投与の中止しかありません。

しかし、このDSM 17938株と一緒にグリセリンを投与すると、いわゆる善玉菌に悪影響を及ぼさず、病原性の菌など悪玉菌だけを抑える、ロイテリンという抗生物質を作り出して腸炎を抑制することが判りました。

(参照:Probiotic uses glycerol to kill ‘superbug’ in laboratory|BioGaia AB)

今のところ、ロイテリ菌DSM 17938株とグリセリンを治療目的に使うには時期尚早だと結論づけていますが、将来非常に有望な抗生物質関連腸炎の治療法になるだろうと期待感を表しています。

DSM 17938株は母乳由来の乳酸菌

もともと母乳由来の別のロイテリ菌の菌株があったのですが、その菌はバンコマイシンやメトロニダゾールという抗生物質に耐性を持っていました。

EUが医学・生理学・生物学的な安全指針を定める「ナノセーフティークラスター」のうち「プロセーフ・プロジェクト」は、プロバイオティクス株は抗生物質耐性を持つべきではないとしています。

その指針に従って、見つかっていた親株のロイテリ菌から耐性遺伝子を除去し、娘株に当たるDSM 17938株が開発されたのです。このことによって、他の腸内細菌などがこのロイテリ菌から耐性遺伝子を受け取る危険性がなくなったということです。

つまり。ロイテリ菌DSM 17938株は、ロイテリンなどの抗生物質を作り出し、悪玉菌だけをやっつけるという選択的な攻撃力を持つと同時に、自分自身は他の抗生物質で死ぬだけでなく、抗生物質耐性を他の菌にもたらすこともないと言うわけです。

乳酸菌が悪玉菌だけを選んでやっつける抗生物質を作り出すというのは、実にすごいことだと思います。これから色々期待できそうですね。

ロイテリ菌は虫歯菌を抑制する!ロイテリ菌ガムは一粒で二度おいしい

口の中の環境を整え、虫歯を減らす乳酸菌と言えば、ラクトバチルス属ラムノーサス種K03株(通称:L8020乳酸菌)が有名です。しかし、このロイテリ菌にも虫歯菌を抑制する働きが知られています。

実際、英語版のWikipediaを見ると、ロイテリ菌はストレプトコッカス属ミュータンス種(通称:ミュータンス菌(虫歯乳酸菌))を抑制できる唯一のプロバイオティクスだとまで言い切っています。L8020乳酸菌のことを知らないのかも知れませんね。

口腔衛生に役立つのもロイテリ菌DSM 17938と親株

主に北欧で研究されているロイテリ菌ですが、いくつかの研究から、ミュータンス菌が菌体外多糖でバイオフィルムを生成することを抑えることで、虫歯菌としての働きを抑制することが判っています。

それらの研究に使われたのは、ATCC 55730株とDSM 17938株、それにATCC PTA 5289株です。ATCC 55730株は、上で紹介したDSM 17938株の親株に当たるロイテリ菌です。

欧米でも、このロイテリ菌を使ったサプリメントが、オーラルヘルス用にも販売されています。

バイオガイア社の自社製品もある

バイオガイア社自身が、オーラルケア用の製品を販売しています。プロデンティスというブランドで販売されている製品には、プロデンティス乳酸菌という商標でロイテリ菌のATCC 55730株とATCC PTA 5289株が配合されています。

錠剤や液剤もありますが、ガムとしても販売されています。甘味料の一つとしてイソマルトオリゴ糖も使用されていて、プレバイオティクスとしての効果も期待できそうです。

▼バイオガイアジャパン プロデンティスチューインガム28錠
プロデンティスチューインガム商品イメージ

28錠で税込3240円と、決して安くはないですが、生きた乳酸菌をガムに閉じ込めるという特殊な加工が施されているので、ある程度は止むを得ないでしょう。

1日のうち夕食後に歯を磨いて、就寝前に10分以上噛むことが推奨されています。つまり4週間分ということですね。

噛んだあとは腸の中に移動して、そこでも働くわけですから、文字通り「一粒で二度おいしい」と言えるでしょう。

もちろんヨーグルトもある!バイオガイア社のロイテリヨーグルト

このDSM 17938株を使ったヨーグルトが2017年9月19日から関東地方で先行発売されています。販売エリアは東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・山梨・静岡です。2018年春には全国展開される予定です。

もちろん菌株はバイオガイア社からの供給です。

機能性表示食品の届けを行っているヨーグルト

このヨーグルトはオハヨー乳業の「ロイテリヨーグルト」です。サプリメントも発売予定のようですが、2017年9月現在、まだ機能性表示食品の申請中だということです。

▼オハヨー乳業|オハヨーバイオテクノロジーズ ロイテリ菌のロイテリヨーグルト
ロイテリヨーグルト商品イメージ

そして、機能性表示食品の届出表示には、「口内フローラを良好に保つ」「歯ぐきを丈夫で健康に保つ」と言う内容が示されています。

関与成分はロイテリ菌DSM 17938株となっています。

人間由来だから定着しやすい

ロイテリ菌自体は動物の腸から検出されることが多い動物性乳酸菌ですが、動物の種類ごとに菌株が異なることが知られています。そのため、さまざまな研究で使われるのは人間由来のものがほとんどです。

人間からは母乳や口の中、胃、小腸からの検出が確認されています。つまり、胃を通過して生きたまま腸にたどり着ける乳酸菌だということですね。

DSM 17938株は母乳から分離された菌株です。つまり赤ちゃんの時に母乳と一緒にお腹の中に取り込んで、それが定着しているということでもあります。

機能性表示食品としては、オーラルケアの部分だけですが、プロバイオティクスとしての働きも充分期待できるものなのです。

上の方で紹介したL8020乳酸菌の研究で知られる広島大学の二川教授は、ロイテリ菌の研究も行っています。今後、どのような成果が発表されるか、注目しておきましょう。

ロイテリ菌は多機能な乳酸菌!なんとピロリ菌を抑える効果も?

ここまで、ロイテリ菌が持つ抗生物質生成と言う特殊能力と、口腔ケアという乳酸菌には珍しい機能を紹介してきましたが、ロイテリ菌もラクトバチルス属の乳酸菌ですから、標準的な機能も持ち合わせています。

そう考えた場合、ロイテリ菌は非常に多機能な乳酸菌だと言えます。そして、実はもう少し特殊な能力も持っているのです。

ピロリ菌をやっつけるロイテリ菌

胃潰瘍の原因菌として知られるヘリコバクター属ピロリ種(通称:ピロリ菌)は、強酸性の胃壁に取り付いて、自分の周りにだけアルカリ性の分泌物を出すことで胃酸による殺菌を免れています。

これまで、日本のヨーグルト製品に配合された乳酸菌としては、明治プロビオヨーグルトLG21に含まれる、ラクトバチルス属ガッセリー種OLL2716株(通称:LG21乳酸菌)が、このピロリ菌に対する抑制効果を持っていることが知られています。

一方、このロイテリ菌DSM 17938株にも、ピロリ菌に対する抗菌活性が存在することが判っています。

まだ詳しいメカニズムは明らかではありませんが、ピロリ菌が胃壁に取り付くのを邪魔することと、抗生物質を分泌することがその理由ではないかと推定されています。

試験管内実験や動物実験で確認された抗菌活性は、人間に対する臨床試験で、ピロリ菌に対する完全除菌に利用できる潜在的な能力が示されたというデータもあります。

整腸効果を持っているのは乳酸菌として当然

乳酸菌ですから、乳酸の生成で悪玉菌を抑制し、善玉菌の増殖を促すのは当然ですね。さらに、善玉菌を傷めない抗生物質の分泌ができるので、その力はさらに強いものになります。

そして、ピロリ菌もやっつけられるので、胃腸全般の調子をととのえるのに役に立つというわけです。

もちろん、死菌・生菌を問わず、その菌体成分が免疫力アップに貢献するであろうことは、充分に予想できるというわけです。

口の中から大腸まで、消化管全部に役立つ乳酸菌というのは、ある意味「スーパー乳酸菌」ですね。

今後の商品情報にも注目

今のところ、全国でロイテリ菌DSM 17938株を使ったヨーグルトが入手できるようになるのは2018年春以降です。しかし、これだけ高機能な乳酸菌ですし、スターター菌株はバイオガイア社が販売していますから、今後いろいろな製品に使われるでしょう。

今一番注目しておきたい乳酸菌であることは間違いないと言えるでしょう。

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