腸内環境改善にはリューコノストック属乳酸菌!含まれる食品とは


リューコノストック属乳酸菌は、ドイツのキャベツの漬物、ザワークラウトを発酵させる乳酸菌として有名です。そのため、植物性乳酸菌と考えられがちですが、肉類や牛乳の発酵も得意とするオールラウンダーなのです。

ヨーグルトに含まれていることはめったにありませんが、コーカサス地方の発酵乳であるケフィアを作り出す種菌の中には、このリューコノストック属乳酸菌も含まれています。

ザワークラウトは塩とキャベツだけで作れる。リューコノストック属乳酸菌のチカラ

外気に一部でも触れていた葉を数枚取り外し、洗わず千切りして塩もみしたキャベツを、重石をして室温においておくだけ。数日でザワークラウトができます。

もちろん好みでディルやキャラウェイ、ローリエなどの香辛料を加えてもOKです。

塩分濃度は日本の漬物ほど高くなく、2%程度が一般的であるようです。

ただ、この乳酸菌は主に野菜に付着していたり空気中から得られたりする「野良乳酸菌」なので、あまりに不潔で雑菌が多かったり、逆にヒステリックに除菌しているようなキッチンだったりすると上手く行きません。

英語読みとドイツ語読み

ネットでこの菌について検索すると「リューコノストック」と言う表記と「ロイコノストック」と言う表記の2通りが見られます。今はこうした学名は英語読みすることが多いので、このサイトではリューコノストックで統一します。

一方、本来の学名の読み方であるラテン語読みでは「レウコノストック」になり、「ロイコノストック」と言うのはドイツ語読みなのです。医学・生理学用語がドイツ語中心だった、昔の日本の習慣が残っているのかも知れません。

このリューコノストックと言うのは属名で、その下にいくつかの種が存在します。最も多く見られるのはメセンテロイデス種ですが、この種は基亜種を含めて4種類の亜種を下位に持っています。

基亜種のメセンテロイデス亜種はリューコノストック・メセンテロイデスと言う表記で、主に植物性の発酵に関してよく見かけます。

一方、クレモリス亜種はケフィア菌を構成する菌の一つとして紹介されることが多いですね。ちょっとややこしいのは、ケフィア菌には、もう一つクレモリス亜種の名前を持つ乳酸菌がいることです。

それはラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種で、こちらはカスピ海ヨーグルトなどで有名ですね。一般にクレモリス菌と呼ばれるのはこちらの方です。

リューコノストック属の方は、フルネームまたはリューコノストック・クレモリス、さらには”Leu.m.cremoris“と言う表記が行われることもあります。

このリューコノストック属のクレモリス菌は、発酵バターやフレッシュチーズのスターターとしてもよく用いられます。

リューコノストック属乳酸菌は菌体外多糖の働きで胃酸に強い

メセンテロイデス種のもう一つの亜種、産業用として活用されるデキストラニカム亜種はデキストランという多糖類を、菌体外多糖として非常に効率よく作り出します。

この亜種ほどではないにせよ、リューコノストック属乳酸菌は菌体外多糖をよく作り出します。そのおかげで、胃酸や胆汁酸で殺菌されることなく、生きて腸まで届きやすい乳酸菌だと言えるでしょう。

また、昔は発酵ソーセージなどの食肉製品を作る際にも活躍したと言います。現在では、ラクトバチルス属やペディオコッカス属の乳酸菌を添加して作っている発酵ソーセージですが、昔の製品からはリューコノストック属も分離されています。

発酵ソーセージと言うのは、有名なところではサラミやモルタデッラ(ボロニアソーセージ)などが挙げられます。

こうやって見ると、リューコノストック属乳酸菌は、ヨーロッパの食品と深い関係があるようですね。

リューコノストック属乳酸菌は腸内環境改善に効果的

リューコノストック属乳酸菌は、乳酸の他に有機酸として酢酸を作り出します。酢酸は、腸の中のpHレベルでは、最も強い殺菌力を発揮します。

そのため、乳酸菌やビフィズス菌に比べて酸性に弱い、いわゆる悪玉菌を効率よく抑制することができます。そういった意味で、リューコノストック属乳酸菌は腸内環境を改善する効果の高い菌と考えられます。

一般に、ビフィズス菌以外の乳酸菌で酢酸を作り出す菌は珍しいと言えるでしょう。リューコノストック属乳酸菌は、同じように酢酸を作るビフィズス菌とは異なり、有機酸の他、アルコールや二酸化炭素も作りますので、かなり特殊な代謝経路を持っているのだと思います。

リューコノストック属乳酸菌は漬物を身近にする

リューコノストック属乳酸菌は低温に強い乳酸菌で、菌種によっては2℃くらいで冷蔵保存したお肉に繁殖して、お肉を柔らかくしてしまうという現象も知られています。

このことは肉質を劣化させるので嫌われていますが、食べても害があるわけではないので、腐敗としては扱われないことも多いようです。

一方、ぬか床を作って乳酸菌や酪酸菌、酵母を摂ろうとチャレンジしたものの、「ぬかみそ臭さ」に閉口して断念してしまう人も少なくありません。

そうした人のために、におわないぬか床を指導しているオーガニック食材屋さんもあります。そこではぬか床を冷蔵庫で低温に保存することで、ラクトバチルス属の乳酸菌を抑えるという方法を指導しています。

ぬか床初期に見られるリューコノストック属乳酸菌を支配的にすることで、酸っぱいにおいを出すラクトバチルス属の乳酸菌と、偏性嫌気性菌の酪酸菌を抑え、においを軽減しようという考え方のようです。

においがないのは寂しい気もしますが、それが苦手な人でもぬか漬けを美味しく食べられるのなら良いですよね。

酸っぱくなる前のキムチにも多く棲んでいる

調味液に浸しただけの量産品ではなく、ちゃんと漬物として作られたキムチは、乳酸発酵で美味しさを引き出しています。ですので、かなりの乳酸菌効果が期待できるのです。

キムチの漬け込みの場合でも、ぬか漬けと同じように漬け始めから旨味が出る頃までは、リューコノストック属の乳酸菌が支配的です。メセンテロイデス種のほかシトレウム種という乳酸菌も発酵に関与しています。

リューコノストック属乳酸菌は、二酸化炭素も出しますので、キムチの野菜に含まれる酸素を追い出し、他の乳酸菌が増えやすい環境を作ります。

そしてこの発酵が進み、ある程度酸味が出る頃になると、今度はラクトバチルス属サケイ種やプランタルム種という、ブドウ糖からは乳酸以外作らない乳酸菌が増えてきます。

そうなると、キムチの旨味は増えますが、酸味も強くなってきます。豚キムチなど脂と加熱した料理にするには適していますが、そのまま食べるにはちょっと酸っぱすぎるかも知れません。

「生きて腸まで届く乳酸菌」を期待するなら、キムチは酸っぱくなる前に食べたほうが良いかも知れません。でも、豚キムチにして乳酸菌を加熱殺菌した場合、免疫力アップに貢献してくれる可能性もあるのです。

このキムチの酸っぱさが嫌で冷蔵庫に保存し、乳酸菌の働きを抑えようとする人も多いのですが、実はリューコノストック属シトレウム種は低温発酵乳酸菌で、4℃という冷蔵温度でも発酵を進めてしまいます。

もちろんラクトバチルス属乳酸菌による酸っぱさは冷蔵で抑えられますが、シトレウム種による発酵は止められないのです。キムチが酸っぱくなるのは宿命と言ってもいいでしょう。

ザワークラウトに貢献する菌ですから、ぬか漬けやキムチにも当然棲みついているというわけです。

リューコノストック属乳酸菌を利用するならケフィア

リューコノストック属乳酸菌を使用したヨーグルトなどの発酵食品は、通販などがないか探してみましたが見当たりませんでした。

今のところ、日本で入手しようと思うと、粉末状になったケフィアスターターを購入して、自分でケフィアを作るのが一番早そうです。

ケフィアは本来「ケフィアグレイン」で作るもの

ケフィアと言うのは、ケフィアグレインと言う、乳酸菌などの細菌と酵母などの真菌が集まってゼリー状のつぶつぶを構成した物を、牛乳などに植え付けることで発酵させて作ります。

ときどき「ヨーグルトきのこ」という名前で呼ばれているのを見聞きしますが、ケフィアグレインはきのことは全く異なるものです。きのこは真菌類の「子実体」と呼ばれる部位で、複数の菌種が集まって作り出すものではありません。

それに対して、ケフィアグレインは菌が作り出した菌体外多糖などによって菌同士がくっついてあつまり、ゼリー状の粒を形成したものです。それにケフィアは発酵乳飲料であって、ヨーグルトではありません。

ケフィアグレインイメージ写真
(出典:Kefir Grains – Living Probiotic Enriched|Amazon.com)

この写真は米アマゾンのものです。このように、海外ではケフィアグレインは簡単に手に入ります。ただ、日本までの海外通販になると、環境変化で菌が死んでしまうことが多いのでお勧めできません。

海外通販でケフィアグレインを手に入れるなら「脱水乾燥ケフィアグレイン」を購入して、戻して使うのが良いでしょう。”Dehydrated Milk Kefir Grains”で検索すれば、アマゾン他海外通販サイトで見つけることができます。

乾燥ケフィアグレインイメージ写真
(出典:Snowberry Dehydrated Organic Milk Kefir Grains|Amazon.com)

乾燥ケフィアグレインは、このようなルックスのものです。ケフィアグレインは生・乾燥ともに食品ですので、海外通販で購入を拒否される可能性もあるので、それはよく調べて下さいね。

また、ケフィアグレインを利用した場合、菌の内容については保証の限りではありません。ケフィアはもともと伝統的な種菌を植え継ぐことでキープされてきていますから、もとのグレインに含まれていた菌種に左右されるからです。

国内で求めるなら乾燥粉末スターターになる

国内で販売されているケフィアのスターターは、グレインの形になっておらず、乾燥粉末のことがほとんどです。ですので、植え継ぎが難しく、毎回使い切りになります。

しかし、そのことは一方で菌の内容が変化していないことを保証してくれますし、雑菌の繁殖の恐れもないというメリットにつながります。

いくつかの製品がありますが、菌の内容を明記しているということで、カナダのローゼル社が製造しているものを、日本の会社が販売しているものを紹介しましょう。

ホームメイドケフィアイメージ画像
(出典:ホームメイド・ケフィア|中垣技術士事務所)

このスターターには、次のような菌が含まれていると記載されています。表現はこのサイトの基準に合わせて改変しています。

乳酸菌
  • ラクトコッカス属ラクティス種ラクティス亜種
  • ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種
  • ストレプトコッカス属ジアセチルラクティス種(※)
  • リューコノストック属メセンテロイデス種クレモリス亜種
  • ラクトバチルス属プランタルム種
  • ラクトバチルス属カゼイ種
酵母
  • ジゴサッカロマイセス属フロレンチヌス種
  • サッカロマイセス属セレビシエ種

(※:公式サイトにはラクトコッカス属とされていますが、ジアセチルラクティス種はストレプトコッカス属乳酸菌なので訂正しました。)

このように8種類と、ケフィアにしてはやや種類が少ないような気もしますが、内容が保証されているのは大きなアドバンテージですし、使いやすいスターターなのでおすすめです。

リューコノストック属乳酸菌は比較的マイナーな菌ですが、整腸効果は抜群なので、ぜひ利用してみて下さい。

ケフィアのほうが塩分が少なくて良いかも

このように、リューコノストック属乳酸菌は、ザワークラウトはもちろん、日本のぬか漬けにも、韓国のキムチにも含まれています。しかし、いずれも漬物なので塩分の摂り過ぎが気になるところです。

その点、ケフィアなら塩分を気にせずに摂ることができるので良いですね。その分、食物繊維は果物など他の食材から摂るようにして下さい。

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