世界のヨーグルトはおもしろい!南北アメリカ・オセアニア編

もともと、南北アメリカ大陸には目立った発酵乳文化はありませんでした。そこにスペインやポルトガルによる入植、北米への移民などの歴史上の流れに従って、ヨーロッパから発酵乳文化が持ち込まれました。

とは言え、南北アメリカ大陸に入植したメジャーなヨーロッパの国々も、イタリアを除いて伝統的で発達した発酵乳文化というのはなかったため、いま市場で見られるアメリカのヨーグルトも、現代風のものが多くなっています。

カナダにはフランスからの入植があった

カナダへは、フランス、イギリスから入植者がやってきています。そのうち、メジャーな発酵乳文化を持っていたのは南フランスですが、それもイタリアの影響によるものです。

そのためか、現在カナダのスーパーには「地中海ヨーグルト」というのが見られます。はじめギリシャヨーグルトのことかと思ったのですが、ギリシャヨーグルトはちゃんと別にありました。

カナダで人気のリベルテブランド

カナダの乳業メーカーというと、サプート社が最大手で日本の明治とランキング争いをしているレベルの大手企業です。発酵乳はチーズを中心に数多くの製品を持っています。

しかし、ヨーグルトなどの発酵乳製品に関しては、フランスのヨープレイ傘下にあるリベルテの製品が人気を集めているようです。

ヨープレイは世界第2位のヨーグルトメーカーで、むかし日本でも「ヨープレイト」ブランドで全農や明治から商品が出ていました。

リベルテは、もともとカナダの企業でしたが、2010年にヨープレイに買収されていて、現在ではヨープレイの1ブランドとして生き残っています。

リベルテはヨーグルト以外の発酵乳も作っている

リベルテはヨーグルト製品を数多く展開しています。クラシックスタイルヨーグルトというのは、おそらくブルガリア菌とサーモフィルス菌でつくられた、「普通のヨーグルト」のことだと思います。

プレーンや無脂肪タイプを含めて10種類あります。ギリシャヨーグルトはフレーバーが付いたもの、プレーンなもの、ゼロ脂肪のもの、ミューズリーなどが入ったものと、31種類ものバリエーションがあります。

さらに地中海ヨーグルトは14種類。カナダはフランスからの入植者が多かったわけですから、この地中海ヨーグルトこそがメインの商品になるんじゃないでしょうか。

リベルテ商品イメージ
(出典:Mediterranee Plain 10%|LIBERTE)

カナダのヨーグルトではあまり乳酸菌情報を明らかにしていないものが多く、調べた範囲では充分なデータがありませんでした。

アメリが合衆国では「外国風」が人気

アメリカと言うと健康志向が強く、ヨーグルトもよく食べられているというイメージがあります。しかし、実際には1人あたりのヨーグルト消費量は、日本より少ないのです。

一方で、近年消費量が伸びてきているため、日本の森永乳業が大手メーカーで初めて、アメリカでのヨーグルト販売に乗り出しました。3億人の成長市場は魅力的ですよね。

バリエーションに富むのはアメリカならでは

もともとヨーグルトをたくさん食べる習慣がなかったアメリカでは、デザート的な性格のフルーツヨーグルトがよく売れています。フローズンヨーグルトもアメリカ生まれのデザートです。

また、普通のホエイが多めで、よくかき混ぜると流動性を持つプレーンヨーグルトより、ホエイを切ったギリシャスタイルのヨーグルトが人気になったようです。

2017年現在、アメリカでヨーグルトと言うと、ギリシャヨーグルトのことを指すと言っていいくらいです。

アメリカで市販されているヨーグルト製品2つのパッケージ写真
(出典:フルーツたっぷりグリーク・ヨーグルト・ボウル|Meg in the World)

左側の緑色のものは、ワラビー・オーガニックと言う会社のギリシャヨーグルトです。全乳ヨーグルトですので牛乳の栄養価がそのまま入っています。

右側の青のものは、全米に300店舗ほどのショップ展開を行っている、トレーダー・ジョーズと言う食品スーパーのPB商品です。脂肪ゼロのプレーンタイプ、908g入りと言うところが、さすがアメリカですね。

目新しいものが大好きなアメリカ

上で紹介した森永乳業は、”alove”と言うブランドで、アロエヨーグルトを展開するそうです。アメリカにはアロエ入りのものはないそうですから、人気が出るかもしれませんね。

また、最近ではアイスランドのスキールと言うヨーグルトに注目が集まっています。スキールは乳酸菌や酵母で発酵させた牛乳にレンネットを入れてホエイを切った、ヨーグルトというよりはフレッシュチーズという方が正しい製品です。

しかしながら、アメリカでも、北欧でも、濃厚なヨーグルトという位置付けで商品化されています。

シギーズのスキール商品イメージ
(出典:skyr: a wholesome tradition|Siggi’s)

このシギーズと言うブランドは、北欧ヨーグルトをメインに売っています。上の画像はアイスランドヨーグルトとして、スキールの名前を出して売られている商品です。

シギーズの飲むヨーグルト商品イメージ
(出典:filmjolk, drinkable yogurt|Siggi’s)

こちらはスウェーデンのフィルミョルクです。アメリカでは北欧スタイルの飲むヨーグルトと言う扱いですね。

スキールやフィルミョルクについては、関連記事を見て下さい。

▼関連記事
【北欧編】世界のヨーグルト特集。特徴的な乳酸菌食品の数々

アメリカは、世界中から色々なものを集めてくる能力に優れています。ですので、アメリカのヨーグルトというのが存在しないのもうなづけます。

中南米もヨーグルト文化はそれほど盛んではない

もちろん現代のことですから、輸入品を含めてヨーグルトや発酵乳製品はスーパーに行けば手に入ります。それでもあまりヨーグルトに対する意識は高くないようです。

消費動向を見ても、やや減少傾向にありますし、インチキフローズンヨーグルトが横行したりしていると言う話も耳にします。

ブラジルの偽フローズンヨーグルト事件

ブラジルではフローズンヨーグルトが人気で、「イオグルテ・ジェラード」と言う名前で、専門店がたくさん存在しています。

ところが2014年、消費者保護協会とリオデジャネイロ検察庁が、大手チェーン店8社の製品を検査したところ、乳酸菌が検出されたのはたった1社の製品だけで、あとの物は乳酸菌が検出されず、最もひどい物は、ヨーグルト成分そのものが含まれていなかったそうです。

フローズンヨーグルトイメージ
(出典:What are Probiotics?|Yogen Fruz)

上の画像は、その唯一乳酸菌が検出されたフローズンヨーグルトを提供しているメーカーのものです。公式サイトではプロバイオティクスについて解説したり、ブラジル唯一のフローズン「ヨーグルト」を提供しますとアピールしたりしています。

一方、スーパーなどで売っている日配品は、例えば世界展開しているダノンの製品など、さまざまな種類のヨーグルトを購入することはできます。

中米ではスペイン風の凝乳製品が人気

スペイン北部で食べられているクワハーダという乳製品があります。羊乳や牛乳にレンネット(凝乳酵素)を入れて、赤熱させた棒でかき混ぜ、焦げた風味を付けたものです。

厳密にはヨーグルトではなく、フレッシュチーズに分類されるものですが、朝食やデザートに小さなカップに入れて供されることが多いです。

このクワハーダは、中米のエルサルバドルやニカラグア、ホンジュラスでもよく食べられていますが、よりチーズっぽいスタイルで販売されています。

クワハーダ商品イメージ
(出典:EL SALVADOR – CUAJADA HALF-KILO|Leblon Foods Inc.)

エルサルバドルでは、レケソンと言う、ホエイから作ったカテージチーズも作られています。

中南米でもヨーグルト文化はありますが、やはり入植者がやってきたスペインやポルトガルに由来するものが大半のようです。最近ではチリでのヨーグルト生産量が2ケタの伸びを示していて、注目を集めています。

オセアニアは乳業大国だが個性的な製品は少ない

オーストラリアとニュージーランドは、いずれも酪農が盛んな国で、輸出額も非常に大きなものです。

しかし、やはりヨーロッパからの入植者が作った文化が主流ですので、移民によって持ち込まれたヨーグルト文化だと考えて良いでしょう。

オーストラリアの乳業メーカーは外国資本が多い

オーストラリアには6社の大手乳業メーカーがありますが、そのうち1社が外国資本、3社が外国資本傘下で2社だけが純粋な国内企業です。

もちろん、だからと言ってオーストラリアの乳製品に影響があるわけではありません。それに、オーストラリアのヨーグルトの消費動向は、アメリカなど先進移民国家とあまり変わりませんから、外国資本が入ったからと言っても、それはあくまで経営上の問題に過ぎません。

実は、日本のキリンホールディングスも1社を傘下に置いています。なぜビール会社がと思いますが、実はオーストラリアのビール会社が、関係会社で乳業をやっている関係からなのです。キリンはそのビール会社を傘下に置いたのです。

そこでは、やはりギリシャヨーグルトを作っています。アメリカと似た傾向ですね。

オーストラリアのメーカーが作っているギリシャヨーグルト商品イメージ
(出典:Farmers Union Greek Style Natural Yogurt|Lion Pty Limited)

ニュージーランドのヨーグルトは美味しいと評判

ネットで検索すると、ニュージーランドのヨーグルトが美味しいという評判をよく見ます。どのようなものかは良くわからないのですが、日本でもインスタントヨーグルトとして、水で溶かし湯煎するだけで出来上がるものが売られています。

とは言え、せっかくですから製品として売られているものを見てみましょう。

ニュージーランド最大の企業、フォンテラの製品です。フォンテラはニュージーランドのGDPの3%弱を占める、酪農家の集まりの協同組合です。さすが乳業国だけのことはありますね。

フォンテラのヨーグルト商品イメージ
(出典:Piako New Zealand expert in gourmet yoghurt.|Fonterra)

オセアニアのヨーグルトというのは、流石に私たちにとっては少し遠い存在ですね。

アメリカやオセアニアは最新事情を知るのに良い

古代からの発酵乳の励起子を持たない代わりに、南北アメリカやオセアニアは、「今注目されているヨーグルト」を知るのに良いようです。

特にアメリカ合衆国は、世界のトレンドを引っ張ってますから、注目しておいても良いでしょう。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る