ヨーグルトで痛風予防!尿酸値を下げプリン体を食べるPA-3乳酸菌

痛風というのはお酒をよく飲む中年男性に多い病気です。血液中にある尿酸と言う物質が増えすぎて、体温が低い足の母趾関節などで結晶化し、それが関節炎を引き起こして激痛が起こるというものです。

ベースには遺伝的体質がありますが、プリン体と言う尿酸の前駆物質を摂ることを減らすのが重要です。そして、人間の体内でプリン体を食べることで、血中尿酸値を下げてくれる乳酸菌というものも存在しているのです。

ヨーグルトで痛風予防は、ヨーグルトが嫌いでなければ良いのですが、お酒好きの中年男性というと、ヨーグルトが苦手な人もいそうですね。でも、できれば自分の好みに合うものを色々探してみて下さい。

プリン体を食べるPA-3乳酸菌が配合されたヨーグルト

牛乳にはほとんどプリン体は含まれません。100gあたり0.0mgとなっていますので、最大でも0.04mg以下の含有量だということですね。それに対してヨーグルトでは100gあたり総プリン体は5.2mg含まれています。

単純計算すれば牛乳をヨーグルトにすることでプリン体が130倍以上に増えたことになります。これだけを見て、ヨーグルトはプリン体がすごく多いと怒り出す人がいるようですが、それは大間違いです。

この数値は、プリン体含有量5段階分類では「非常に少ない」と言う1番下の分類になる程度の量なのです。しかも1段階上の「少ない」と言う分類になるには、もう10倍くらい多くないとダメなのです。

乳酸菌がプリン体の吸収を抑える

製品化されているものとしては明治プロビオヨーグルトPA-3があります。

▼明治プロビオヨーグルトPA-3
明治プロビオヨーグルトPA-3商品イメージ

これに使われているラクトバチルス属ガッセリー種PA-3株(通称:PA-3乳酸菌)はプリン体を取り込む性質と、形を変える性質があります。

プリン体には、プリン塩基という狭義のプリン体と、それに糖が結びついたプリンヌクレオシド、リン酸が結びついたプリンヌクレオチドがあります。

プリン塩基は人間に吸収されにくい形で、糖が結びついたプリンヌクレオシドだとよく吸収されます。PA-3乳酸菌は、プリン体を菌体に取り込むと同時に、プリンヌクレオシドをプリン塩基に分解する働きを持っているのです。

つまり、PA-3乳酸菌はプリン体を食べて、人間に吸収しにくい形にする働きがあるということなのです。

知られていないだけで他の乳酸菌にも可能性はある

製品化はされていませんが、他の研究ではラクトバチルス属ファーメンタム種のいくつかの菌株に、PA-3乳酸菌と同じようにプリンヌクレオシドの分解能力をもつものが見つかっています。

その研究では、ファーメンタム種を含む植物性乳酸菌や、魚肉発酵製品から分離された菌株に、プリン体を分解する能力が確認されています。ワイン発酵に係るものもあるようです。

プリン体の吸収を遅らせたり、プリン体を取り込んだりする能力があると言っても、PA-3を含めて、高尿酸血症を劇的に改善するほどの力はありません。

そういう意味では、研究を行って機能を確認し、特定保健用食品などの指定を受けたとしても、その経費に見合うだけの売上アップは難しいでしょう。そういった面から考えると、残念ながら、今後もそうした機能性を売りにした商品は出てきにくいと思います。

プリンヌクレオシドの糖はリボースという糖ですが、PA-3乳酸菌などがこれをエネルギーとして使えるかどうかは判りません。でも切り離すということは使いたいからじゃないかなとも思えますね。

高尿酸血症を抑えるには乳製品が効果的、という研究結果

プリン体が問題なのは、それが体内で尿酸という最終代謝産物になるからです。でも、それが尿に溶けてどんどん排泄されてしまえば問題は起こりません。

そこで役立つのが乳製品です。海外を中心に乳製品を多く摂る人ほど痛風・高尿酸血症を起こしにくいというデータが得られています。

アメリカでのコホート研究が乳製品の効果を示した

1986年に開始された、およそ5万人に対するアンケートやフォローアップによる研究では、肉食・魚食の多い人に痛風のリクスが高いことが示され、乳製品摂取量の多い人に痛風リスクが低いことが示されました。

乳製品の摂取量と痛風発症の相対危険度を表したグラフ
(出典:乳製品を多く摂取すると痛風の発症リスクが低下すると報告されています。|全国牛乳商業組合連合会
グラフデータ出典:Purine-Rich Foods, Dairy and Protein Intake,and the Risk of Gout in Men|The New England Journal of Medicine 2004年11月号掲載)

このようにたくさん乳製品を摂る人は痛風リスクが低くなっています。但し、これはBMIが25.0kg/m2未満の普通体重の人のデータで、それより重い過体重・肥満の人では、リスクがこのグラフの1.3倍から2倍になります。

また、お酒を飲む人と飲まない人で比較した場合、1.2倍から1.6倍くらいお酒を飲む人のリスクが高くなっています。それでも、乳製品を多く摂るほどリスクが下がるという傾向は、どのタイプの人にも見られました。

乳製品をヨーグルトで摂るメリットはまず水分

プリン体対策・痛風対策として、乳製品をヨーグルトで摂ることにはいくつかのメリットがあります。その一つが水分です。水分をしっかり摂ることは、尿中にプリン体や乳酸を排泄する上で重要なことです。

普通のプレーンヨーグルトと牛乳に含まれる水分量は同じです。ですので、どちらで摂っても水分は摂れます。200mLの牛乳またはプレーンヨーグルトからは、およそ175mLの水分が得られます。

一方、生クリームやギリシャヨーグルトからは、200mL中100mL程度の水分しか摂れません。それだけではなく、ギリシャヨーグルトはともかく、生クリームを200mLも摂るとカロリーが大変なことになりますね。

バターはもちろん、チーズからも水分は得られませんし、アイスクリームも水分含有割合は60%から65%程度です。

乳製品のたんぱく質が尿酸排泄を促す

兵庫医科大学内科学内分泌・代謝科の華常祥氏によると、今のところまだ機序がはっきりしたわけではありませんが、たんぱく質を多く摂ることで、尿酸の排泄が促されることが知られているそうです。

これはたんぱく質をたくさん摂ることで、血液中のアミノ酸が増加し、腎臓の尿細管での濾過量増加が起こることで、尿酸の再吸収が抑制されるからではないかと考えられています。

さらに、たんぱく質は血糖値に影響するインスリン抵抗性を減らす働きがあるため、血液中のインスリン濃度が下がり、その結果尿酸の排泄が促進されるとも考えられています。

(参照:タンパク摂取と尿酸代謝|兵庫医科大学内科学内分泌・代謝科 華常祥氏)

牛乳にはたんぱく質が3~4%程度含まれています。ヨーグルトにもこのたんぱく質が減ることなく移行していますが、乳酸菌によって一部がアミノ酸に分解されているため、効率よく吸収できます。

ですので、血液中のアミノ酸濃度を上げて尿酸排泄を促すのに、ヨーグルトのほうが牛乳より、やや有利であると言えるでしょう。

ヨーグルトになって発生するプリン体は乳酸菌由来

最初に、プリン体を含まない牛乳から作ったはずのヨーグルトに、プリン体が生まれてきているというお話をしました。それについて少し踏み込んでみましょう。

その前に、プリン体について少し説明します。痛風患者にお酒をよく飲む中年男性が多いことから、イメージ的にプリン体というと脂肪の一種のように思っている人も多いようです。

実際プリン体は脂肪の多い食品にも含まれていますからなおさらですね。しかし、プリン体は脂肪ではありません。もちろん炭水化物でもたんぱく質でもありません。

基本的には「窒素を含む有機化合物でアルカリ性のもの」がプリン体の正体です。その中で、六員環と五員環と言う環状構造が1個ずつくっついた「プリン骨格」を持っているものをプリン体と呼びます。

主なプリン体の構造式画像

植物のアルカロイドや遺伝子のDNAやRNAに並ぶ塩基の一部がプリン体になります。例えば、カフェインやテオブロミン、テオフィリンと言った嗜好性飲料のおなじみの成分や、アデニンとグアニンと言う2種類の塩基がこれに当たります。

また、うま味調味料でおなじみの5′-リボヌクレオチド二ナトリウム(味の素やハイミーの副成分)を構成する2つの核酸系調味料もプリン体です。

そして、ヨーグルトになると発生するプリン体は、乳酸菌の菌体成分である核酸です。つまり、死んだ乳酸菌から出てきた遺伝子の一部がプリン体だというわけです。

この乳酸菌の核酸は、人間の免疫機構に働きかけて、アレルギーを緩和したり免疫力をアップしたりする、非常に重要な役割を持っている成分です。

そして、ヨーグルトに含まれているプリン体の量は、免疫調整機能を持つには充分な量ですが、血中尿酸値に影響をおよぼすほどの量ではありませんから、安心して食べて下さい。

高尿酸血症の人のプリン体の摂取制限は1日あたり400mgです。これをヨーグルトだけで摂ろうと思うと、毎日ヨーグルトを7.7kg食べないと摂れません。

プリン体を避けるのであれば、「肉・魚・野菜で旨味の強いもの」に注意しましょう。圧倒的なプリン体含有量を持つものは乾物が多いですが、それらはそんなに量を食べられるものではありませんから心配は少ないです。

食品 100g中のプリン体含有量
煮干し 746.1mg
鰹節 493.3mg
干し椎茸 379.5mg

他、調理して食べる食材ではレバーが多く含んでいます。豚と鶏で300mg前後、牛で200mgを超えれるレベルです。

その他、プリン体の含有量については公益財団法人・痛風財団がデータを公開していますから参考にして下さい。

なお、プリン体のプリンは、お菓子のプリン “pudding” ではありません。英語で「純粋な尿」と言う意味の “pure urine” を縮めて “purine” としたものです。プリン体は “purine body” と言います。

カフェインやテオフィリンなどの植物由来のアルカロイドであるプリン体には尿酸値を上げる効果はないようです。やはり核酸系のものに注意した方がいいですね。

痛風の予防改善にヨーグルトを取り入れるメリット

痛風を発症したり、痛風にはなっていないけれど健康診断で高尿酸血症を指摘され、痛風予備軍だと言われたら、まず受診して治療を受けて下さい。

痛風を発症していたらお薬を処方されると思います。そして、予備軍であっても、プリン体制限を中心にした生活習慣の改善を指示されるでしょう。

もちろん生活習慣の改善がどの段階であっても最優先になります。その上で必要に応じてお薬を飲むことになりますね。

アルコール・肥満が痛風の大きな原因

高尿酸血症の改善には、次の5つの項目が指示されることが多いですね。

  • 肥満の解消(BMI<25.0kg/m2)
  • プリン体の含有量に関係なく、アルコール飲料の禁止または減量
  • 軽い運動の継続・激しい運動の禁止
  • 水分の摂取(尿量が2L/日以上になるのがベスト)
  • お酒以外でのストレス解消

肥満は高尿酸血症につながりやすいですし、アルコールそのものが尿酸値の上昇に関わりを持っています。飲まないほうが良いのはもちろんですが、飲むとしても目安としては、ビール以外のお酒を中心に、2~3日に1回、日本酒1合未満ぐらいでしょうか。

また、激しい運動は身体の細胞が壊れる量が増えます。細胞には遺伝子が入っていて、そこにはプリン体である核酸が含まれています。

毎日一定量の細胞は交代していますから、自然にプリン体が体内に増えますので、激しい運動をしてそれを激増させないような注意が必要です。

一方、強度の低い運動を長時間続ける有酸素運動では、尿酸が増えすぎることはなく、むしろ肥満の解消などに効果があります。

生活習慣の改善に1日200mLぐらいの乳酸菌を

季節を問わず、1日に2Lの尿量を確保することで、尿酸の排泄をしっかり進めることができます。一方で、汗をよくかく季節に2Lの尿量を確保しようと思うと、3Lくらいは液体として飲む必要が出てきます。

もちろんビールはダメです。尿量は増えますが、それは身体を脱水状態にする原因にもなりますし、アルコールの働きで体内に尿酸が増えます。

どうしても水やお茶などでその量を飲むのが難しい場合は、最低でも飲む量の方で2L以上は確保しましょう。糖分を含むものも控えたほうが良いですね。

その飲み物の中にヨーグルトを組み入れて下さい。ドリンクヨーグルトでも良いですし、ヤクルトのような乳製品乳酸菌飲料でもいいでしょう。

夏場なら、プレーンヨーグルトを同量の水で割って、ミントを浮かせたり塩を振ったりして飲むブルガリアの飲み物「アイリャン」もおすすめです。300mLぐらいが1人前です。

ヨーグルトと低脂肪乳とフルーツを同量ずつミキサーにかけて飲む、インドのラッシーも美味しいですね。もちろん甘みをつけてもOKですが、糖分の摂り過ぎには注意して下さい。

私が個人的に好きな飲み物は、300mLのグラスにヤクルトを1本入れ、そこに氷2個と牛乳を注いで飲むものです。ほのかに甘い乳飲料で、一気飲みしてしまえますよ。

このように、ヨーグルトや乳製品乳酸菌飲料を上手く使って、水分量の確保の一助として下さい。でも、あまり飲みすぎるとカロリーの問題が出てくるので、1日に200mL~350mLぐらいが良いでしょう。
この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る