【コッカス菌(球菌)編】乳酸菌の種類別、ヨーグルトの効果

コッカスと言うのは球菌のことです。また、桿菌などが弱った時に丸っこい形になったものをコッコイドフォームと呼ぶこともあります。

乳酸菌の定義の一つに桿菌か球菌であることというのがありますので、半分は球菌と考えて良いかもしれません。

発酵乳などで実際によく目にするのは今回紹介する3属ですが、この他にも海外のものも含めた漬物類でよく見つかる、ペディオコッカス属やリューコノストック属も球菌の乳酸菌です。

この球菌の仲間には、病原菌もいるところが興味深いところです。でも、乳酸球菌は病気を起こしませんから、安心して食べて下さい。

ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種のヨーグルト

クレモリス菌と呼ばれることが多いこの乳酸菌は、多くを占めるラクトバチルス属やビフィドバクテリウム属などの棒状やY型、V型などの桿菌とは異なり、丸っこい形をした球菌です。

クレモリス菌は、カスピ海ヨーグルトで使われる菌ですが、それ以外の菌も一緒に使われています。クレモリス菌は細胞外多糖をたくさん作り出し、カスピ海ヨーグルト独特の粘り気を出すのに役立っています。

また、この亜種はほかの乳製品の製造にも使われます。ゴーダチーズやチェダーチーズ、カマンベールチーズなどの最初の発酵はこの菌が担当します。さらに発酵バターづくりでも利用されていますね。

クレモリス菌FC株・フジッコ カスピ海ヨーグルト

フジッコカスピ海ヨーグルト商品イメージ

菌の本名はそのまま、ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種FC株です。

フジッコは、この乳酸菌とアセトバクター属の酢酸菌を混合した、カスピ海ヨーグルトのスターターも販売していますから、それを買って自宅でカスピ海ヨーグルトを作ることもできます。

このFC株については様々な研究のデータがフジッコ関連から発表されています。整腸効果はもちろん、血糖値や血中脂質の改善、NK細胞活性化による免疫賦活作用などが期待されています。

アトピー性皮膚炎の炎症を軽減する効果も期待されていますね。

クレモリス菌CHCC2907株・グリコおいしいカスピ海

グリコおいしいカスピ海商品イメージ

ラクトコッカス属ラクティス種クレモリス亜種CHCC2907株を使ったグリコのヨーグルトにはアセトバクター属の酢酸菌は配合されていません。代わりにヨーグルトでは一般的なサーモフィルス菌を使うことで、強い酸味を抑えています。

もちろんカスピ海ヨーグルトのテクスチャは、クレモリス菌によるものですから強い粘りがありますので、あの粘りが好きな人も心配ありません。

特に整腸効果以外の健康効果はアピールされていませんので、そのあたりはちょっと寂しいのですが、クリームチーズのような香りがする美味しいヨーグルトですね。

クレモリス菌はケフィアグレインにも含まれていてケフィアの独特の食感に一役買っています。きっとカスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方には普通に存在する菌なのでしょう。

エンテロコッカス属フェカリス種のヨーグルト

この乳酸菌はフェカリス菌と言う通称で呼ばれることが多いです。ヨーグルトに使われている例が見当たらず、乳酸菌飲料や整腸薬などに使われているものが多いようですね。

また、菌体成分に様々な効果が期待されていることから、生菌ではなく熱殺菌したものを利用しているケースが目立ちます。

エンテロは「腸の」と言う意味なので、エンテロコッカスは「腸球菌」と言っても良いのですが、実際に腸球菌と言われているのは、このフェカリス菌を含めて数種だけです。

フェカリス種は菌体が球形で小さいため、1000億個単位で摂ることが簡単なのも特徴ですね。実際加工原料としてのフェカリス菌を検索すると、数兆個単位の数値も数多く見られます。

フェカリス菌菌株未公開・伊藤園+チチヤス共同開発「朝のYoo」

朝のYoo商品イメージ

残念ながら、このフェカリス菌については、エンテロコッカス属フェカリス種と言うだけで、菌株が公開されていません。

伊藤園の研究データによると、このフェカリス菌1000億個を殺菌した成分を含む乳酸菌飲料を、花粉症の患者20人に、毎日2ヶ月間飲んでもらったということです。

その上で、飲用前と飲用後の花粉症の症状を比べました。症状を見るための試験は、花粉暴露施設で10月から12月に行い、自然の花粉の影響を受けにくいようにしたということです。

その結果、明らかに自覚症状の改善が見られたというデータが得られています。

(参照:花粉曝露試験施設にてEnterococcus faecalis(エンテロコッカス フェカリス)含有乳性飲料の花粉症症状緩和効果を確認|株式会社伊藤園中央研究所)

この試験では「フェカリス菌含有乳性飲料(1本200mL当たりフェカリス菌1000億個含有)」とだけ書かれていて、商品名は書かれていません。しかしながら、朝のYooの商品名にはフェカリス1000と言うサブタイトルも付いています。

実際には乳酸菌1000億個(フェカリス菌90%)以上ではありますが、ペットボトルも紙パックも200mL入りですから、まず同じものと見て間違いないでしょう。

このようにフェカリス菌の菌体成分にも免疫調整機能や抗炎症機能があるということですね。

129 BIO 3Bフェーカリス菌・新ビオフェルミンS

新ビオフェルミンS商品イメージ

ビオフェルミン製薬ではフェーカリス菌と長音記号を入れていますので、小見出しにはそのまま表記させてもらいます。エンテロコッカス属フェカリス種129 BIO 3B株と言うことです。

フェカリス菌は伊藤園+チチヤスの朝のYooしか、飲料・食品が見当たらなかったので、この項では整腸薬を紹介します。

新ビオフェルミンSでは、ビフィズス菌・アシドフィルス菌と同じ重さが配合されています。役割としては、小腸で速やかに増殖して腸内環境を整え、善玉菌の増殖しやすい環境を作ることが期待されています。つまり生菌だと言うことですね。

新ビオフェルミンSには、3つの乳酸菌がいずれも1日分として18㎎配合されていますが、桿菌や多形桿菌であるほかの二つに比べると、球菌は小さいので、同じ重さでも菌数が格段に多く入っているため、さらに増殖速度が上がるのでしょう。

また、ラクトミンと言う混合乳酸菌製剤にもフェーカリス菌は用いられています。ビオフェルミン製薬の製品では混合ではなくフェーカリス菌だけで構成されていますね。

このお薬には同様の先行医薬品やジェネリックもあって、例えば大日本住友製薬からはアタバニン散と言う先行医薬品、日東薬品からはビオヂアスミンF-2散と言うジェネリックなど、10社ぐらいからリリースされています。

フェカリス菌EC-12株・各社サプリメント

フェカリス菌はいくつかの菌株がサプリメントメーカーから出ています。それぞれに効果がうたわれていますが、一番商品が多そうだったのが、このエンテロコッカス属フェカリス種EC-12株です。

菌株メーカーの案内を見ると、熱殺菌したものが前提のようですね。1gあたり5兆個と言う、とんでもなく多い数値が示されています。

主な効用としては免疫情報伝達物質のサイトカインを誘導する能力が高いということで、免疫賦活効果を狙っているようです。一方、液物にはあまりなじまないようで、しかも死菌ですから発酵能力はありません。

つまり、純然と菌体成分による効果を狙った製品が多いであろうということになります。

生菌はビオフェルミンだけで、フェカリス菌については、ほとんどの場合熱殺菌した菌体成分の商品だということです。

ストレプトコッカス属サーモフィルス種のヨーグルト

ストレプトコッカス属は、日本語では「レンサ球菌属」と言われます、名前は有名でしょう。パイオジェニス種は「溶連菌」として、子供の病気でよく知られていますね。

一方、お年寄りにとって気になるのがニューモニエ種、つまり「肺炎球菌」です。その他、虫歯菌であるミュータンス種もよく知られた病原菌ですね。

そんな中にあって、サーモフィルス種だけは乳酸菌として、ヨーグルトに無くてはならない存在となっているのです。CODEX規格において厳密な定義のヨーグルトには、この乳酸菌が欠かせません。

LB81乳酸菌・明治ブルガリアヨーグルトLB81

明治ブルガリアヨーグルトLB81商品イメージ

明治ブルガリアヨーグルトのLB81乳酸菌は、ストレプトコッカス属サーモフィルス種1131株とラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種2038株との混合乳酸菌です。

このペア乳酸菌を関与成分とし、整腸効果を効果効能とした特定保健用食品の表示許可を得た、超有名ヨーグルトですね。

それと同時に、ヨーグルト製品ではなく乳酸菌単体での研究では、免疫能力の調整に資する可能性が示唆されています。免疫力のアップやアレルギー症状の抑制などが期待されるものです。

特に、腸管内部を保護する抗菌ペプチドの産生を促すことで、腸管免疫を通じた老化防止に効果があるのではないかとも考えられています。

菌株特定なしのサーモフィルス菌・ほとんどのヨーグルト

先にも紹介しましたが、食品の国際規格であるCODEXには「発酵乳」と言う分類があり、その中に「ヨーグルト」が含まれています。そして、そこにはブルガリア菌とサーモフィルス菌の含有が必須条件となっているのです。

数値的にはヨーグルト1gあたり、ブルガリア菌100万個以上・サーモフィルス菌100万個以上を含む、乳酸菌1000万個以上が求められます。

ですので、他の乳酸菌が入っていてはいけないというわけではありませんが、サーモフィルス菌が乳酸菌全体の1割以上を占めていないと、ヨーグルトという名前を使えないのです。

もちろん、日本にはもとからヨーグルトという狭い範囲の規定はなく、発酵乳と言う分類だけですので、菌の種類については乳酸菌か酵母であればOKなのです。

でも、ヨーグルトを美味しくするためにはサーモフィルス菌が非常に重要な働きを持っていますから、ほとんどのヨーグルトに入っていると考えて差し支えありません。

最初の方で紹介したカスピ海ヨーグルトでも、グリコの製品では味を重視したため、メインのクレモリス菌に、このサーモフィルス菌を配合して食味を改善しています。

サーモフィルス菌自体の直接的な健康効果はあまり知られていませんが、蟻酸(ぎさん)と言う最もシンプルなカルボン酸(脂肪酸の仲間)を作り出します。この蟻酸は、ブルガリア菌のエサになって、ブルガリア菌を育てるのです。

ほとんどが病原菌のストレプトコッカス属にあって、ほとんど唯一の善玉菌ですが、ヨーグルトには無くてはならないのです。

カスピ海ヨーグルトやケフィアもたまには食べよう

サーモフィルス菌は普通にヨーグルトを食べれば、自然に摂れてしまいますし、フェカリス菌はビオフェルミンで生きた菌がとれます。あとはクレモリス菌ですが、これはケフィアやカスピ海ヨーグルトぐらいでしか摂れません。

あのテクスチャが嫌いな人には無理にお勧めはしませんが、たまにはあれを食べて、乳酸菌が作り出す細胞外多糖(食物繊維の仲間)をお腹に入れるのもおすすめですよ。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る