ヨーグルトはどれも共通の菌と効果がある!日本と海外の規格の違いとは

ヨーグルトの乳酸菌が健康づくりに役立つことは常識と言って良いでしょう。もちろんその効果の中心は、善玉菌を増やし、腸内環境を良い状態にしてくれることです。

どのヨーグルトであっても、その効果を共通して持っています。

しかし、近ごろのヨーグルトなどにはさまざまな効果を宣伝している商品もたくさんありますね。そうした付随効果に着目してヨーグルトを選ぶのもまた良いものですよ。

ヨーグルトには共通する菌と効果がある!CODEX規格と日本規格の違いとは

日本の法律では、ヨーグルトを作る時に、特定の乳酸菌を使わなくてはいけないという決まりはありません。

それどころか、乳酸菌ではなく酵母による発酵で作られたものでも、ヨーグルトと銘打って問題ないのです。

規定があるのは、乳酸菌や酵母の数だけです。しかも、その菌が殺菌されていても、そのことを明示しておけばヨーグルトとして認められるのです。

それでもほとんどのヨーグルトは乳酸菌で作られる

乳酸菌の中でも、

  • ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種(通称:ブルガリア菌)
  • ストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)

この2種類を使って作られたヨーグルトが圧倒的に多いです。

その理由として考えられるのが、この2種類によって「味の良いヨーグルト」が作られるという古典的な要因です。

ですので機能性乳酸菌を入れるにしても、味は古典的な乳酸菌に任せる事が多いのでしょう。

国際食品規格CODEXには、ヨーグルトに使う乳酸菌を上の2種類であれと厳密に定めています。一方、そのCODEX規格においても、その2種類が中心的であれば、他の乳酸菌を混ぜることは認められています。

例えば、森永ビヒダスヨーグルトでも、この2種類の乳酸菌に、ビフィドバクテリウム属ロンガム種BB536株(通称:ビフィズス菌BB536)を加えた3種類の乳酸菌によって作られています。

▼森永ビヒダスヨーグルト森永ビヒダスヨーグルト商品イメージ

これはCODEX規格に定められている「ヨーグルトはブルガリア菌とサーモフィルス菌を、ヨーグルト1gあたり10の6乗CFU以上含んでいなくてはならず、トータルの乳酸菌数が10の7乗CFU以上含んでいなくてはならない」と言う条件に合致します。

これを私たちが普段良く目にする表現に変えれば、ヨーグルト100gにブルガリア菌1億個以上とサーモフィルス菌1億個以上を含み、乳酸菌合計で10億個以上を含んでいること、と言う条件になるのです。

では日本のヨーグルトは、国際規格ではヨーグルトじゃないものも多いのでしょうか。

ガセリ菌とかクレモリス菌とか、いろんな乳酸菌の名前が書かれていますよね。それは追加されているだけなのでしょうか。

発酵乳という大きなくくりで見れば国内規格も国際規格も近くなる

日本国内では「ヨーグルト」と言う商品名に法的な規定が存在しません。「発酵乳」と言う大雑把なくくりの中に含まれているのです。

発酵乳とは無脂乳固形分が8%以上含まれていて、乳酸菌または酵母が発酵乳1gあたり1000万個以上含まれていること、と規定されています。

CODEX規格では乳から作られたと言う大雑把なくくりですが、日本では乳たんぱくや乳糖などの無脂乳固形分含有量を縛っています。一方、菌に関しては、含有量こそCODEX規格と同じですが、酵母まで許している範囲の広さを持っています。

でも、CODEX規格でも上位区分に”Fermented Milks”(発酵乳)と言う規定があります。その中にヨーグルトと言う細分類があり、そこでは上に示したような乳酸菌配分が求められているのです。

CODEX規格と日本の規格が近くなる要素

CODEX規格にはその他の発酵乳もあります。まずは「代替菌ヨーグルト」と言うものです。これはヨーグルトの条件である乳酸菌の種類のうち、サーモフィルス菌は必須ですが、ブルガリア菌を他の菌に置き換えたものです。

置き換えて良いのは、ブルガリア菌と同じラクトバチルス属の、他の種の乳酸菌と言う内容になっていますから、例えばガッセリー種(ガセリ菌)やカゼイ種、プランタルム種、ロイテリ種など、おなじみの乳酸菌がたくさん存在しています。

つまり、日本で見られる多くのヨーグルトは、この代替菌ヨーグルトを広い意味でのヨーグルトと捉えれば、CODEX規格にも合致することが圧倒的に多くなります。

さらに、「アシドフィルスミルク」と呼ばれる乳酸菌飲料も発酵乳として認められています。これはラクトバチルス属アシドフィルス種(アシドフィルス菌)で発酵させた牛乳です。日本にも似たものは存在しています。

よく見るとCODEX規格の方が発酵乳の範囲が広い

また、日本でもおなじみの「ケフィア」はヨーグルトとからは独立した分類になっています。ケフィアグレインと呼ばれるスターターを使うのは日本でも一緒です。

ケフィアグレインには、ラクトバチルス属ケフィリ種やリューコノストック属・ラクトコッカス属などの乳酸菌、アセトバクター属の酢酸菌が含まれることが必要です。

さらに、乳糖を代謝するクルイベロマイセス属マルシアヌス種の酵母や、乳糖を代謝しないサッカロマイセス属の酵母もケフィアグレインに求められる条件です。こうした菌の存在がCODEX規格でケフィアに求められています。

先にお話したように、日本のヨーグルト(発酵乳)の規定では、こうした酵母の数も乳酸菌の数と同じように、発酵に関与する有用微生物としてカウントできることになっています。

そして、日本ではヨーグルト・発酵乳とは分類されていないであろう、クミスやアイラグなどの馬乳酒も、CODEX規格では発酵乳という扱いです。日本では1%以上のアルコールが含まれると、酒税法の対象となり、お酒に分類されます。

CODEX規格では、ブルガリア菌とクルイベロマイセス属マルシアヌス種の酵母が含まれることを求めています。

こうして見ると、日本の規格は「菌数」と「牛乳の成分」に重きを置き、CODEX規格は「菌の種類」に重きをおいているように見えます。

重きをおいているもの
日本の規格 菌数、牛乳の成分
CODEX規格 菌の種類
世界には数多くの発酵乳がありますから、すべてを網羅するのは難しいでしょう。なお、酪農の「酪」と言う文字は訓読みで「ちちざけ」と読みますから、日本にも昔は乳酒があったのかもしれませんね。

整腸効果はどのヨーグルトも持っている共通の効果

このようにさまざまな乳酸菌が発酵乳・ヨーグルトには含まれていますが、乳酸菌については整腸効果があることが共通した能力だと考えて差し支えありません。

これは乳酸菌と呼ばれる菌は共通して乳酸を作り出し、生きて腸に届いた場合、腸内環境を酸性に傾けることで、悪玉菌の増殖を抑え、もともと定着しているビフィズス菌などの善玉菌が活性化するからです。

また、腸に届いた時には死んでしまっている乳酸菌も、その菌体成分が人の免疫機構に働きかけて、腸内環境から、ひいては全身の免疫機能にまで良い影響をあたえることが知られています。

つまり、ヨーグルトや乳酸菌飲料など、乳酸菌発酵食品を摂ることは腸内環境の改善と、程度の差はあるでしょうが免疫機能の改善に役立つという共通の効果があるのです。

世の中に知られている効果のほとんどは製品ではなく菌の機能

例えば、明治プロビオヨーグルトR-1はインフルエンザ予防に良いと世の中では考えられています。

▼明治プロビオヨーグルトR-1
明治プロビオヨーグルトR-1商品イメージ

しかし、R-1ヨーグルトを手にとって見ても、どこにもそんなことは書いてありません。それどころか、R-1ヨーグルトはただの発酵乳で、特定保健用食品や機能性表示食品でもないのです。

ではR-1ヨーグルトにそうした効果があるというのは嘘なのでしょうか。

そんなことはありません。インフルエンザの予防に効果があると言った内容は、ラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種OLL1073R-1株(通称:R-1乳酸菌)を研究して見つかった物なのです。

そして、そのR-1乳酸菌を配合したヨーグルトがR-1ヨーグルトだと言うわけなのです。なんとなく屁理屈のように思えますが、法律を守るとこうならざるを得ないのです。

つまり「このヨーグルトはインフルエンザを予防する」と言うのはNGですが、「R-1乳酸菌はインフルエンザを予防できる」とした研究発表を行うことは、学問ですから問題ありません。

そして「このヨーグルトはR-1乳酸菌を使っている」と製品に書くことも問題はないのです。ほとんどのヨーグルトがこうした手法で効果を遠回しに主張しています。

実際に特定保健用食品や機能性表示食品で効果を示しているのは、整腸効果だけの場合が多いですね。

乳酸菌の個別の効果はその菌だけのものとは限らない

乳酸菌の効果を研究する場合にはいくつかの方法があります。代表的なものとして挙げられるのは、さまざまな菌株の乳酸菌を、試験管の中で培養し、目的の効果が得られる度合いを見るものです。

例えば、抗菌効果や抗ウイルス効果を見る場合には、そうした病原体と一緒に、菌株ごとに分類した乳酸菌を培養して、効果のありそうなものを絞り込みます。

例えば3000種類の乳酸菌の菌株から、病原体の増殖を抑えたもの上位50株を選び出すとします。そして今度はその50株を実験動物に投与して、一定期間後病原体に感染させます。

その結果で、発病率が低かったもの、例えば上位3株くらいを選び出して、臨床試験で人間に投与します。投与期間中とその後の追跡調査で、最も健康に役立ったものを選び出して、それを「効果のある乳酸菌」として商品化に踏み出すわけです。

つまり、最終的に商品化された乳酸菌は、一定の効果を持っていることは間違いありません。しかし、もともと3000種類の中から選び出しているわけですので、それ以外のものの中に効果があるものが残っている可能性は充分あります。

実際、世界中にどれだけたくんさんの乳酸菌の菌株があるのかは、誰も判らないんじゃないでしょうか。分類学上の分類としては、2008年の段階で21属280種あまりが乳酸菌として認められていました。

おそらく現在では軽く300種を超えているでしょう。そして、それぞれの種の中にたくさんの菌株があります。おそらく菌株数は、数万では届かないんじゃないでしょうか。

ですので、意外に地方の中小メーカーが作っているヨーグルトにも、研究の対象になっていないだけで、特別な機能が隠れているかも知れません。

逆に、同一種の複数の菌株を研究して、共通する効果を探る研究や、さらに大ぐくりに同一属の複数の種を研究して共通の効果を探るものもあります。

こうした研究で見つかったのは、いわゆる免疫機能に関するものが多いですね。もちろん特定の菌株でのみ見つかったものもありますが、死菌の菌体成分が免疫賦活効果を持つと言ったことは、割合広い範囲で見つかっています。

ほかのヨーグルトを食べても効果が落ちることはない

例えば、たまたまR-1ヨーグルトが売り切れだったから、やむを得ずほかのヨーグルトを買って食べたとします。そうするとR-1乳酸菌の効果が弱まるのでしょうか。

もちろん、それが1か月くらい続けば、R-1乳酸菌はお腹から出ていってしまっているかも知れません。しかし、数日程度であれば、お腹の中に残っているR-1乳酸菌が元気で働く環境を、その別の乳酸菌が作ってくれると考えて良いです。

そして、R-1乳酸菌を再び摂った時に、活躍しやすい腸内環境を整えて待っている状態になっているでしょう。

このことはR-1乳酸菌に限らず、他のどの乳酸菌ででも起こり得ることですので、あまり特定のものにこだわりすぎる必要はありません。大事なのは乳酸菌を摂り続けるということなのです。
菌株名を明らかにしてくれているということは、お気に入りの商品を見つけるのに役立ちますね。でも、特定の物だけにこだわる必要は全くないんですよ。

乳酸菌には人間と共生できる力がある

多くの乳酸菌は人間の体の中を通過して行くだけですが、その時に人間の体内に住んでいる乳酸菌を始めとした善玉菌を活性化させます。そしてそれだけではなく、死菌の菌体成分は人間の免疫を活性化させる力もあるのです。

ですから、さまざまな個性を主張する製品をいろいろ選んで食べるのも楽しいですし、ぜひそうして欲しいのですが、そうした物ではない、ごく普通の乳酸菌のヨーグルトもどんどん食べて下さいね。

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