ヨーグルトの正しい保存方法。常温放置で味や乳酸菌はどうなる?

ヨーグルトは普通、冷蔵で保存します。もしこれを常温で放置したらどうなるでしょう。

あまり良い結果を招かないであろうことは想像に難くありませんが、もともと冷蔵庫がなかった時代にもヨーグルトはあったわけです。

残念ながら実験データなどはありませんので、現代のヨーグルトはどうなるのかについて、乳酸菌マニアが理論的に推測してみます。

保存の方法に影響する?現代のヨーグルトには2通りの製造工程がある

ヨーグルトと言うとプラスチックや耐水加工された紙のケースに入って、特殊加工を施した紙のフタで密封シールされているのが一般的な販売形態ですね。しかし、実は製造工程には大きく分けて二種類の方法があるのです。

基本的にどちらも雑菌が入り込みにくい環境で製造されますから、開封前の賞味期限内であればそれほど品質が劣化することは少ないと思います。もちろん真夏の炎天下に放置したりすると、一発でアウトだとは思いますが。

ヨーグルトの前発酵と後発酵

この前と後と言うのは、牛乳などの原料を乳酸菌で発酵させるのと、小売用の容器への充填のどちらを先にするかと言う違いです。

前発酵
大きなタンクに原料と乳酸菌を入れ、温度を保ってヨーグルトを完成させてから、甘味をつけたり、フルーツを入れたりして混ぜ、それを小売用容器に充填してフタをします。

これは砂糖やフルーツを先に入れて乳酸菌で発酵させると、砂糖やフルーツの糖分が発酵に使われてしまって、風味が変わるのを防ぐのが主な目的です。

後発酵
乳酸菌を混ぜた原料を小売用容器に充填し、フタをしてから発酵させる手法です。ですので、基本的には無糖プレーンヨーグルトでしか使われない方式ですね。

後発酵は、納豆の製造方法と似ています。納豆も蒸し上げた大豆に納豆菌を混ぜて、小売用パックに詰めてから、まとめて恒温室に置いて発酵させています。

乳酸菌によっては発酵後に加えられる可能性がある

製法については各メーカーは詳しく発表していないので推測になりますが、一部の機能性乳酸菌については、ヨーグルトとして完成してから、あとで混ぜ込んでいる可能性もあります。

ヨーグルト自体はラクトバチルス属デルブルッキー種ブルガリクス亜種(通称:ブルガリア菌)とストレプトコッカス属サーモフィルス種(通称:サーモフィルス菌)で事前に作っておいて、あとで機能性乳酸菌を足すわけですね。

例えば、ビフィドバクテリウム属乳酸菌(通称:ビフィズス菌)の場合、発酵時に乳酸と同時に酢酸を作り出します。酢酸は腸の中で強い殺菌力を発揮しますが、味は「酢」の酸味です。

ヨーグルトから酢の味がしたのでは台無しですね。ですから、ヨーグルトとして完成してから冷蔵し、発酵が進みにくい状態にしてビフィズス菌を加えている可能性があります。

逆に、明治プロビオヨーグルトR-1に使われている乳酸菌は、ブルガリア菌の1073R-1株である上に、セールスポイントの免疫賦活作用は、乳酸菌が作り出す菌体外多糖によるものです。

ですから、最初から発酵に参加させても味に問題は出ませんし、むしろ参加させないと有効成分を作り出してくれないと言うことになります。

他にもガセリ菌やカゼイ菌などさまざまな乳酸菌がヨーグルトには配合されていますが、どのタイミングで入れるかは各メーカーが研究して決めています。

いずれにせよ、製品として完成したあとは、10℃を上回らない温度で冷蔵管理されて店頭に並んでいます。実際には4℃前後であることが多いのではないでしょうか。

冷蔵倉庫や冷蔵トラックの発達で、物流段階での温度変化も現在ではかなり少なくなっていますが、問題は店頭に並べる前のバックヤードやショーケース前に置かれる時間の長さですね。

検証!ヨーグルトを常温に放置したらどうなる!?

まず一番に思い浮かぶのは「腐るのではないか」という事です。もちろん温度や放置期間によっては腐敗するでしょう。また、製造段階での雑菌の入り込み具合によってもそれは左右されます。

一方、ヨーグルトというのは比較的腐りにくい食品です。もともと常温で作られ、常温で保存され、常温で食べられてきたという歴史があるわけですからね。

買ってきたヨーグルトを冷蔵庫に入れ忘れたら

例えばスーパーでヨーグルトを買ってきて、うっかりテーブルの上に置いたままお泊りに外出、翌日まで放置してしまったという場合です。

もちろん購入した時は冷蔵状態ですから問題ありませんし、スーパーで氷を貰って冷やしながら持ち帰った場合、ほとんど温度変化はないでしょう。問題はテーブルの上に出してからです。

周囲の気温にもよりますが、徐々に温度は上がり、やがて室温に達します。冬場で暖房が入っていなければ、10℃以下が保たれることも珍しくないので、この場合ほとんど悪影響はありません。

10℃を超えるくらいになると、乳酸菌の種類によっては、ゆっくりとではありますが発酵が再開されます。30℃くらいになればかなり盛んに発酵するでしょうし、真夏の留守宅の室内であれば乳酸菌の発酵至適温度の40℃くらいにまで室温が上がることもあるでしょう。

そうなった場合、色々と問題が起こります。まず、最もシンプルな無糖プレーンヨーグルトを考えてみます。どちらかと言うと、ブルガリア菌のほうが低い温度で発酵を再開する可能性がありますね。

すると、ヨーグルトの中に残っている乳糖をどんどん代謝して、乳酸を増やして行きます。もちろんヨーグルトとして成立していたわけですから、買ってきた段階でもpH4.6以下の酸性になっていたはずです。

それがどんどん乳酸が増え、pHが下がってゆくわけですから、自分自身の出した乳酸によって、乳酸菌自身が死滅する可能性が出てきます。この際、もし製造段階で入り込んだ雑菌がいたとしても、乳酸菌より早く死んでしまうでしょう。

一方、もともと入っていた乳糖は発行に使われて減って行きますから、今度は乳酸菌のエサが消費され尽くして、乳酸菌が死んでしまうことに拍車をかけます。

つまり、未開封のプレーンヨーグルトを、真冬以外の室温に放置すると、時間のかかり方に差は出ますが、基本的に乳酸菌が全滅した、ひどく酸っぱい、もろもろになった半固形状の物体ができるだろうと言うことです。

ビフィズス菌入りなどのヨーグルトはさらにややこしいことになる

ビフィズス菌入りのヨーグルトの場合は、温度が上昇すると製品を作る際にはあまり発酵に関わってこなかったビフィズス菌が、今度は積極的に発酵を行う可能性があります。そうなるとヨーグルトの中に酢の味が加わることになります。

ビフィズス菌は、理論的には2分子のブドウ糖から2分子の乳酸と3分子の酢酸を作り出すので、かなり悪い臭いがする、しかも酸味が強い物ができるでしょう。

最終的には普通のプレーンヨーグルトと同じように、乳酸菌やビフィズス菌が飢え死にしたり、酸で殺されたりした物体が出来上がると考えるのが妥当です。

また、加糖したヨーグルトやフルーツが入ったヨーグルトの場合、その糖分を栄養に発酵を行う部分もありますから、エサ切れより酸が増えすぎることによって乳酸菌が死んでしまいやすくなるでしょう。

そうなった場合、食用に耐えるかどうかは、あまり考えたくないですね。

いずれにせよ、室温まで温度が上がったからと言って、すぐにそう言った「食べられない物」になっているとは思えません。ですから、まずは開封して様子を見て、その上で自分で判断して下さい。

運が悪いと「見たくなかった」と言う状態になっているかもしれませんが、何事も経験です。

現代のヨーグルトは開封したら絶対に冷蔵するべし

冷蔵技術がなかった時代のヨーグルトは、発酵によって保存性を高めた乳製品でした。ですので、室温で保存可能だったわけですが、比較的短時間で食べ切ってしまう性質のものでもあったわけですので、ヨーグルトだから何週間も保存しておくということはなかったでしょう。

昔のヨーグルトは、乳酸発酵によって製品が酸性に傾くことで雑菌の繁殖を抑えていた部分もあります。今のヨーグルトは食べやすさ、美味しさを追求するため、冷蔵を前提の発酵になっています。

つまり、保存のために乳たんぱくが凝固するpH4.6より酸っぱくする必要が無いわけですね。ですから、それだけ昔のヨーグルトより雑菌が繁殖しやすくなっています。今の時代、開封後のヨーグルトは絶対に冷蔵保存して下さい。

開封すると空気中の雑菌が入り込む

開封すると、空気中にいる雑菌が入り込みます。ホエイが分離していた場合、スプーンなどでかき混ぜますが、その際にもスプーンについた雑菌が入ります。そうした雑菌は、ヨーグルトを栄養に増殖します。

ヨーグルト程度の酸性でも繁殖しにくい菌もありますが、乳酸菌並みに耐えるものもいます。また、酵母が入り込んでヨーグルト表面に膜を作ることもあります。

冷蔵技術がなかった時代には、例えば動物の内臓をなめして容器にしたものに牛乳を詰め、戸口にぶら下げておいたそうです。そうすると、人が通るたびにぶつかって中身が撹拌されます。

その結果、好気性細菌は牛乳の奥に入り込んで死に、乳酸菌のような嫌気性細菌は活動が抑制されて、過発酵を避けることができたのです。

そうした工夫はもちろん現代でも可能ですが、ヨーグルト自体が強い酸味を帯びて、味の面で不利になることは避けられないでしょう。

自家製ヨーグルトは完成したらすぐ冷蔵

ヨーグルトメーカーなどを使って自家製ヨーグルトを作る場合、最初に器具などを殺菌するのですが、発酵中は隙間が空いた状態で行いますので、わずかながらも空気中の雑菌が入り込みます。

ですので、発酵が終わったらすぐに冷蔵庫に入れて冷やし、過発酵を抑えると同時に雑菌の繁殖を抑制しましょう。

ヨーグルトメーカーのタニカ電器によると、発酵が終わった状態のままなら、冷蔵庫での保存は、原料牛乳に書かれていた賞味期限までを目安にしてほしいとしています。

それを一度でも開けたら、できるだけ早く食べきるように勧めています。専用の容器には小さな穴が空いているので密閉状態ではないものの、やはり開封すると入ってくる雑菌の量が桁違いになるからでしょう。

(参照:Q&A・作ったヨーグルトの賞味期限はどれくらい?|タニカ電器)

私の経験ですが、自家製ヨーグルトを作ってすぐに食べ始め、冷蔵庫で保存しても3日でだめになったことがありました。逆に10日くらい持ったこともあります。

現在の食品は冷蔵を基準に製造されている

常温保存が可能なものでも、現在の加工食品というのは、開封後は全部冷蔵が基本です。冷蔵庫という技術製品が各家庭に普及しているわけですから、それを利用するのが当然というわけですね。

一方で、温度管理をしなければ密封状態でも発酵が進むヨーグルトは、最初から最後まで冷蔵しておくことが基本になるのです。そうしないと、せっかくの乳酸菌がダメになりますよ。

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