ヨーグルトは消化の良い食べ物。カフェラテが飲めるなら胃腸に負担なし

ヨーグルトが消化に悪いとか、胃腸に悪いとか、果ては身体に悪いとかいう主張を見ることがあります。

どうしてこういう主張が出てくるのかよくわかりませんが、取り敢えずそんなことはありませんので、安心してヨーグルトを食べて下さい。

実はこれで終わってしまえる内容なのですが、それではあまりに不親切なので、乳酸菌マニアの筆者が少し掘り下げてみましょう。まずは消化時間と消化の内容に注目することにします。


ヨーグルトは半消化状態の食べ物なので消化が良い

ヨーグルトと言うと、昔の人は「牛乳が固まっているから消化に悪い」などと言って避けていたという、笑い話のようなことを聞くこともあります。

しかし、ヨーグルトは乳酸菌が牛乳に含まれる栄養素をある程度代謝してしまっている、いわば消化の途中にあるものですので、それだけでも牛乳よりは消化が良いものだと言えるでしょう。

乳酸菌はまず乳糖を分解する

ヨーグルトの栄養は乳酸菌由来の部分を除けば、すべて牛乳に由来するものです。その中でも特に多く乳酸菌に利用されるのが、炭水化物である乳糖です。

普通の牛乳は100g中5g弱くらいの炭水化物を含んでいて、その90%以上が乳糖です。一方、ヨーグルトは同じくらいの炭水化物を含んでいるものの、乳糖の量は牛乳の3分の2くらいに減っています。

これには2つの原因が考えられます。1つは乳酸菌が菌体外に分泌する消化酵素によって、乳糖がグルコースとガラクトースに分解されたために総量が変化せず乳糖だけが減ったという部分ですね。

もう1つは乳糖のまま乳酸菌に取り込まれて、一部のグルコースが乳酸に変化したものの、ガラクトースや利用されなかったグルコースが菌体外多糖として再構成されたという部分です。

グルコースやガラクトースなどの単糖類も、菌体外多糖も、いずれも炭水化物の総量としてカウントされます。また、ヨーグルトには100gあたり0.8gくらいの乳酸も含まれますが、これも炭水化物としてカウントされます。

おおむね、乳酸菌によって分解された乳糖のうち、半分弱くらいが乳酸になっているということです。これは二糖類である乳糖を分解してできる物のうちグルコースだけが乳酸になり、ガラクトースは乳酸にならなかったと考えて良い数値でしょう。

乳糖不耐の人であってもヨーグルトは食べられる

ヨーグルトが消化に良くないと主張する人の論拠を追っていくと、「日本人の大半がラクターゼ活性が非常に低いか全くない」と言う、必ずしも事実に基づかない論理の組み立てを行っています。

実は、乳糖不耐に関する研究は難しいんです。確実なデータを取るには、お腹に穴を開けるなどして小腸から内容物を取り出し、ラクターゼ活性を調べればいいのですが、これはいろんな意味で無理があります。

そこで、乳糖を投与して血糖値の上がり方を見るという方法がとられます。乳糖はそのままでは血糖値を上げませんが、ラクターゼによってグルコースになったものは血糖値を上げるからですね。

あるいは、乳糖を投与してから呼気中の水素を測るというやり方もあります。これは、ラクターゼ活性が低いと、乳糖がそのまま大腸の中の腸内細菌によって分解され水素を発生させるからです。

ところが、こうした研究から得られたデータでは、乳糖不耐の人の割合が半数未満から90%超えまで、データに大きなばらつきがあるのです。

これは、血糖値測定法では、対象者の耐糖能に問題があると、わずかなグルコースでも血糖値が上がってしまうからですし、腸内細菌の質によっても結果は大きく左右されます。さらに肝臓でガラクトースがグルコースに変換される効率にも個人差があります。

こうしたデータから、割合の高かったものだけを引用して、乳糖不耐の問題をことさら大きく見せようとする主張が多く見受けられました。

ヨーグルトの乳糖は牛乳に含まれている物の35%程度が、乳酸菌によって先に消化されていますから、乳糖不耐の人にも食べやすくなっているのです。

カフェラテが飲めれば通常の量のヨーグルトは問題ない

例えば、自分の周囲を見渡して、コーヒーが嫌い・苦手と言う理由ではなく、牛乳を飲むと下痢をするからと言って、カフェラテやカフェオレを飲めない人がどのくらいいるでしょう。

カフェラテやカフェオレ250mLに含まれる牛乳の量は、お店にもよりますが、コーヒーにエスプレッソを使っていた場合200mL程度、通常のドリップやサイフォンコーヒーを使っていた場合で125mL程度です。

エスプレッソマシンでコーヒーを抽出し、スチームで牛乳を温めているタイプのお店の場合、中くらいより大きいカップの物には牛乳200mL程度が入っていると考えて問題ありません。

こうしたカフェラテなら飲んでも下痢をしない人は、検査数値が乳糖不耐を示していても、実際にはかなりの乳糖を処理できていますから、生活の上での問題は起こらないでしょう。

さらに温かい飲み物の場合、お腹に入った時ラクターゼを含む酵素が活性化されやすいので、冷たい牛乳は下痢をするけど、ホットのカフェラテは平気と言う人もいるかもしれませんね。

いずれにせよ、上で書いたカフェラテに含まれる乳糖の量は、ヨーグルトに換算すると約300g、4連パックのものを全部食べたときに匹敵します。

ですから、カフェラテは飲めるけど、ヨーグルトを食べると下痢をするという人は、例えば冷たさがダメだとか、身体に異常はないけれど下痢の症状だけが出る機能性の下痢だとかの理由だと思います。

そんな場合にまで無理をしてヨーグルトを食べる必要はありません。

つまり「ヨーグルトは、大人には必要のない乳糖を含んでいるからお腹に悪い」と言う迷信には取り憑かれないようにして、自分で食べて問題なければ、栄養豊富で健康的な食べ物として利用してもらえれば、それでいいのです。

あっさりして美味しいラクトアイス1個(約140g)には、ヨーグルト210g程度の乳糖が含まれています。アイスクリームが平気な人も、乳糖について見れば、ヨーグルトを食べて問題ありません。

たんぱく質の一部を乳酸菌が消化してくれている

乳製品には、そこそこたんぱく質も含まれています。元が液体ですからそれほど多量と言うわけにはいきません。だいたい100gあたり3.5g内外です。これは、和牛もも肉赤身の4分の1弱の量に過ぎません。

和牛もも肉赤身のステーキ80g分に相当するたんぱく質を摂ろうと思うと、ヨーグルトでは350g近い量を食べる必要があります。ですから、たんぱく質が多すぎて消化に悪いとか、加熱してあるからダメとか言うことも全くないのです。

危険な「牛乳アレルギー」という呼び方

牛乳や乳製品を摂った時に起こる体調不良には、大まかに分けて3種類がありますが、これらをひとまとめにして牛乳アレルギーと呼んでしまうと非常に危険です。

まず、上で紹介した乳糖不耐の問題があります。乳糖不耐は乳糖と言う炭水化物を充分消化できないことで起こる現象です。基本的に不快なだけで危険性はありませんし、時間をおけば排便しなくても症状は治まります。

また、肝硬変の人などに見られる、たんぱく不耐症と言うのもあります。これは乳たんぱくだけでなく、たんぱく質全体に対して起こり得るものですので、豆乳でも乳成分を含まない製品でも起こります。

これらの2つは牛乳アレルギーではありません。まったく別の現象ですので混同しないようにしてください。

牛乳アレルギーとは、乳たんぱくの大半を占めるカゼインと、残りのラクトグロブリンやアルブミンに反応するアレルギーです。軽症で済むこともありますが、最悪、アナフィラキシーショックで生命を脅かすこともある危険なものです。

牛乳アレルギーは0歳児の時に最も多く見られるもので、年齢とともに耐性を獲得して消えて行くアレルギーです。成人になっても牛乳アレルギーが残っている人は、1%~4%程度だという事です。

乳児の牛乳アレルギーは、お母さんが牛乳を飲むと母乳を通じて赤ちゃんにアレルゲンを供給してしまうため、出生後の検査などでしっかり調べてもらえますから、見落とす心配はありません。

ヨーグルトにはカゼインやラクトグロブリンなども残っていますから、牛乳アレルギーがある人は絶対に食べてはいけません。また交差反応の恐れもありますので、大豆製品にも注意が必要です。

とは言え、牛乳アレルギーのある人はしっかり把握しているでしょうから、牛乳アレルギーと言う物が存在しているからヨーグルトは良くないという論理は成立しません。牛乳アレルギーのない人は、安心して食べてください。

乳酸菌はたんぱく質も消化してくれる

細菌は自分の身体を構成するためにたんぱく質を必要とします。一方で、たんぱく質は分子量が大きすぎてそのまま菌体内に取り込めないため、細菌は消化酵素を菌体外に分泌して、たんぱく質をある程度分解してから菌体内に取り込みます。

つまり、細菌がたんぱく質のある所に置かれると、そのたんぱく質は細菌によって消化されるという現象が起こります。乳酸菌のように、エネルギー取り出しに炭水化物を利用する細菌では、それほどたんぱく質の消化は進みません。

それでも、例えばカルピスから発売されている、ラクトトリペプチドやCS19ペプチドのような物質が乳酸菌の働きでできるという事は、人間にとって消化吸収しやすい状態にまで分解しているという事でもあります。

よく、たんぱく質はアミノ酸がつながったものであるという表現をします。しかし、これは必ずしも正しくありません。単純に繋がるだけでは、たんぱく質とは呼べないのです。

アミノ酸はたくさん並んで鎖状の構造を作りますが、これはペプチドであったり、アミノ酸の数が非常に多い場合はたんぱく質の一次構造と呼ばれたりします。

この鎖が途中で互いに繋がることでらせん状になったり、平面状になったりと言う二次構造を形成します。さらにそれがさらに立体的な構造を持つ三次構造と呼ばれるものになってはじめてたんぱく質と呼べるのです。

この三次構造をユニットとして複数集まり、別のたんぱく質を作ったものは四次構造と言います。赤血球の赤色色素であるヘモグロビンは四次構造を持っています。

たんぱく質の消化には手間がかかる

こうした複雑な構造を持つたんぱく質を消化するには、さまざまな酵素が働かなくてはなりません。たくさんの種類の消化酵素がありますが、大まかに二分類されています。

たんぱく質やアミノ酸の構造のうち、末端以外の結合を切り離すのがエンドペプチダーゼと呼ばれる酵素群です。この酵素群の大半は、その機能だけでは吸収できるほど小さな分子を切り出せませんが、末端を切り離せる酵素の助けになるのです。

つまり、末端からアミノ酸を切り離せる酵素がいくらたくさんあっても、末端が少なければ効率が悪いです。もともと1個のたんぱく質の主鎖には、末端が2か所しかありません。しかしエンドペプチダーゼによって1か所切り離されると、末端が4か所に増えますね。

そして、たんぱく質やペプチドの末端から、1分子のアミノ酸を切り取って短くして行くのがエキソペプチダーゼと呼ばれる消化酵素です。切り取られたアミノ酸は、人間にも細菌にも利用されやすい形というわけです。

ですから、牛乳をそのまま飲むより、ヨーグルトになったものを食べたほうが、あらかじめたんぱく質の一部が消化されているわけで、消化に良い食べ物になっていると言えるでしょう。

これと似たものは、フルーツや塩麹の酵素がお肉を柔らかくしてくれると言う現象でも見ることができますね。

ヨーグルトで固いお肉をマリネードすると、柔らかくしっとりした料理が楽しめるのも、この現象が関係しています。

ヨーグルトは低カロリーで低脂肪!脂質はそれほど含まれていない

脂肪分の多いものは消化に時間がかかりますが、もともとヨーグルトにはそれほど大量の脂質が含まれているわけではありません。ですのであまり気にしなくても良いでしょう。

京都大学の研究で、乳酸菌が独特の脂肪酸代謝をすることが発見されていますが、これは消化という面について見た場合、あまり影響しないと思います。

ヨーグルトは豆腐よりも低カロリーで低脂肪の食品

最近では乳脂肪のカロリーを気にする人がいて、脂肪ゼロのヨーグルトも作られています。しかし、もともとヨーグルトはそれほど高カロリーでも高脂肪でもないのです。ダイエット食としてもよく使われる豆腐と比較してみましょう。

▼食品100gあたりの栄養成分

栄養成分 ヨーグルト 豆腐
エネルギー 62kcal 72kcal
たんぱく質 3.6g 6.6g
脂質 3.0g 4.2g
炭水化物 4.9g 1.6g
ミネラル 0.8g 0.8g

このように、全脂ヨーグルトのほうが豆腐より低脂肪で低カロリーなのです。ですから、「脂肪が多いのでヨーグルトは消化に悪い」などということは決してありませんので、安心して食べてください。

ダイエット効果のある共役リノール酸も含まれている

脂質と言えば気になるのがトランス型不飽和脂肪酸ですが、ちょっと不思議な性質を持ったものもあるのです。それは共役リノール酸という脂肪酸の中の一部に含まれているものです。

このトランス型を含む共役リノール酸は、シス型の普通の脂肪酸と同じように、健康には全く害を及ぼしません。それどころか、脂肪燃焼効果などでダイエットの役に立ってくれるぐらいなのです。

牛肉や牛乳には、この共役リノール酸が含まれています。ただ、残念なことに、もともとそれほど脂肪を多く含んでいないヨーグルトですから、それだけでダイエット効果が得られるほど多くは含まれていません。

おまけの効果程度に考えておいて下さい。

共役リノール酸はサプリメントにもなっていますから、気になる人は、そうした製品をチェックしてみて下さい。

ヨーグルトは日本の食生活に定着してほしい健康的な食品

このように、ヨーグルトには消化に悪いとか健康に悪いとか言われる要素はありません。ですから、アレルギーなどで食べられないという人以外は安心して食べて下さい。

また、日本人の食生活から、ヨーグルトや乳製品は合わないという主張をする人もいます。

しかし、個人レベルで見た場合、還暦以前の人であれば、小学校の給食で牛乳は毎日飲んでいたと思います。少なくとも高学年からはそうでしょう。

また、それ以前であっても、脱脂粉乳を用いていましたので、乳糖やたんぱく質においては同等の飲み物が学校給食で使われていましたから、少なくとも戦後生まれの人であれば、子供の頃の食生活にミルクは完全に組み込まれていたはずです。

昭和29年施行の学校給食法による「完全給食」とは「パン(米飯)・ミルク・おかず」で、これの実施率は小学校で98%を超えていますし、主食を除いた「補食給食」や、主食とおかずを除いた「ミルク給食」と言うものでも、ミルクだけは供されています。

米飯給食が初めて実施された頃、「ご飯に牛乳はどうなんだ?」とも言われましたが、いまではすっかり定着したようですね。ヨーグルトも私たちの生活に馴染んだと言って良いでしょう。

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